よく、神社や仏閣などの建物を見ると、屋根がきれいな緑色をしているのを見ることがあります。また、新しく屋根をふき替えたばかりだと、金色にピカピカに輝いているのを見ることがあります。これは、銅葺きの屋根で、とても高価で、最高素材とされ昔から重宝されてきました。銅は、時間が経つと緑色になってきますが、この緑色は銅が水と炭酸ガスと結びついて塩基性炭酸塩になる一種の錆びです。この錆びは、緑青といって、これが出来ると保護膜になり、非常に耐久性があります。緑青色になるまでにはかなりの年月がかかります。このきれいな緑青の色は、古色として好まれ、最近では数時間で緑青ができる薬剤もあり、人工緑青を生成する技術も開発されています。神田には湯島聖堂、ニコライ堂などの屋根はきれいな緑青がふいています。また、皇居新宮殿は人工緑青が施されたのですが、20年以上経過した今日では天然緑青に転換していると言われています。
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 私は、子どものころから「銅の表面に生成する緑青は有毒であり、食べると身体に害がある。」と教わってきました。その根拠がどこにあったかわかりませんが、社団法人日本銅センターでは、何の根拠もないまま有毒と考えられてきた緑青について、過去二回、東京大学医学部において長期動物実験を行いました。その結果、緑青は無害同様の物質であることが確認され、この研究の成果を細かく厚生省に報告しました。これを受けて、厚生省では昭和56年、国の研究として緑青の動物実験(研究機関/国立衛生試験所・国立公衆衛生院・東京大学医学部)に着手し、3年間にわたる研究実験を行い、この時の研究結果が、昭和59年8月、厚生省から広くマスコミに公表されました。その結果、緑青は過去に考えられていたように有毒ではなく、無害に等しいことがはっきりと解明されたのです。
建物には、外を覆うものとして屋根と壁があります。その材料を何にするのか建物を建てる時に考えます。特に外壁材は種類も多く、占める面積が大きいためその建物の顔になるので、何を選択するか悩まされる部分です。日本では石、土壁、板壁、漆喰などが用いられてきましたが、時代的なはやりもあります。明治、大正時代は、煉瓦壁が多く、第二次世界大戦後は、コンクリート、石膏ボードなどが多く用いられてきました。その中で、私が子どものころから下町で多く見られた外壁材が銅でした。屋根にも多く用いられた素材ですが、外壁にも銅葺きが用いられてきました。
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先日、築地のあたりを歩いていたら、懐かしい銅葺きの外壁を持った建物を見つけました。この建物はいつの時代のものかわかりませんが、私が子どもの頃、神田のあたりで多く見られた建物です。

” への5件のコメント

  1. 金銀銅は順位付けでよく使われていた覚えがあって金がやたらともてはやされていた?ように思いますが、いつも変わらず輝いている金よりも、銀や銅の寂しげな色に変化していく様の方が好きでした。その中でも銅は不思議な存在でした。銅といってもいろんな色があるんですよね。特に青銅は金属でないような色で、見るたびに不思議に感じます。今回は緑青のことを知りました。酸性雨の影響でうまく緑青がつくられないこともあり、天然緑青がずいぶん貴重な存在だということも分かりました。銅葺きの屋根や銅葺きの外壁を見る機会があれば、じっくり観察してみようと思います。と書きながら、気づいていないだけで実はちょくちょく目にしていたなんてこともあるかもしれません。何を意識して何を見るかは大事ですね。

  2. かつて足尾銅山で起こった鉱毒事件のイメージが、緑青の毒性を疑わせる迷信を作ったようです。確証もないのにいわれなきデマで悪者にされるなんて話はよくあることです。真実を見極める目を持ちたいものです。足尾銅山とともに日本の銅生産を担ったのが、愛媛県新居浜市の別子銅山です。1691年(江戸時代後期)から1973年(昭和48年)まで283年にわたって住友鉱業によって採掘がおこなわれました。坑道は全長700km、最深部は海抜マイナス1,000mで日本で人間が到達した最深部になります。閉山後の今は、その後行われた植林によって徐々に自然の姿を取り戻して、我々山好きを愉しませています。山の春を告げるカタクリの花を探しにまた山へと心急く今日この頃です。

  3. お寺や神社の屋根は最初から、あの綺麗な緑色ではなく、元々は金色というのは初耳です。写真のような寺や神社などの屋根の色を見ると、ずっと前に建てられ、長い間その土地の変化を見てきたのかな?と感じます。そして住宅の壁も銅を使っていたとは知りませんでした。私の勝手なイメージで、昔はほとんどが木造だと思っていました。藤森先生の子どもの頃は、銅の壁が主流だったようですが、私の子どもの頃はコンクリートもあれば、木造もありました。昔の住宅を見ると私なんかは、つい「古いなぁ」と思ってしまいます。藤森先生のように「懐かしい」という感覚が無いので、なんだか羨ましく思います。

  4. 屋根の緑青色、あれは銅板屋根が緑青化したものだったのですね。今まで結びつきませんでした。「銅の表面に生成する緑青は有毒」と私も今の今まで信じて疑っていませんでした。それゆえ「無害に等しい」とはまさに目から鱗、です。緑青といえば、長い間床下に放置されて緑青化した十円銅貨のことを思い出しました。緑青は「有毒」と思い込んでいましたので、触っただけで毒に犯され、死にはしないけど病気になってしまう、と本気で思っておりました。掲載写真にあるように外壁に銅板を用いやがて緑青色に変わった家、私も何だか記憶しています。何とも奇妙な色の壁だと思っていました。それにしても「思い込み」はいけませんね。私の「思い込み」のおかげで「緑青」さんは長い間有毒だと思われていたのですから・・・。

  5. 銅葺きの外壁というのはあまり見たことがありません。写真で見てもあまりピンと来ず、今度街中を色々と見てみようと思いました。意外と残っているのかは分かりませんが、色んなものに目を向けてみようと思いました。神社の屋根の色はもともとあのような緑青色ではなかったんですね。そもそも神社の屋根が銅であったということすら初耳だったのですが、銅が参加するとあのように緑青色になるんですね。良く考えると昔の青銅の鏡を見ると確かに緑青色になっていたのを思い出しました。気にしていなかっただけでいろいろなものに発見があるものだとこのブログを読むと良く思いまし、勉強になりました。

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