子育て

今日の読売新聞に、米エール大学の中国系米国人教授、エイミー・チュア氏の子育て論についての議論が掲載されています。1月8日付のウォール・ストリート・ジャーナルに「なぜ中国人の母親は優れているか」と題されたエッセイを掲載されていましたが、それは、彼女が出版した体験記「タイガー・マザーの闘争賛歌」(Battle Hymn of the Tiger Mother)の内容を紹介したものですが、読売新聞では、このエッセイを読んだアメリカ人の反応や、エイミー氏の著書についての反応について書かれています。
中国は、今や世界屈指の経済大国に上り詰め、あらゆる分野でも中国人の活躍が世界で目立っているからです。ここ数日間で行われているアイススケートでも、中国人活躍が目立ちます。しかし、あまりに熾烈な競争社会の中で勝ち抜くために、年齢詐称疑惑で騒がれたりしているのも、その熱烈ぶりを裏付けることでもあるのでしょう。その中国と地理的にも近い位置にあり、過去から幾度となく競ってきた日本では、その躍進ぶりが気になることでしょうし、いろいろな分野で関係が深くなっている隣国としては、連携の在り方にも課題があります。
この本の内容は、優秀な子どもを育てるには親が子どもにビシバシとやらせなければ駄目だというのです。中国人がピアノやバイオリンの国際コンクールや学力テストで世界トップクラスを独占しているのは、母親のスパルタ教育のおかげだというのです。読売新聞には、「ソフィアさんにはピアノ、次女ルイーザさんにはバイオリンの練習を何時間も強制し」としてしか書かれていませんが、その強制の仕方がジャーナルには書かれてありました。“7歳のころ、ルルはフランスの作曲家イベールの「白い小さなろば」という曲を練習していた。小さなろばが主人に引かれて田舎の道をポクポク歩いている情景が浮かぶような愛らしい曲なのだが、右手と左手でそれぞれまったく違うリズムを奏でなくてはならないので、小さな子どもにとっては難曲だった。一週間その曲ばかり練習したが、右手が左手につられ、左手が右手につられ、どうしてもうまく弾けない。ピアノの先生に見てもらう前日、ルルは母親のエイミーに、もうこの曲は弾けないと宣言し、エイミーを殴ったり蹴ったり、楽譜を引き裂いたりする。だが、エイミーもルルのドールハウスを取り上げて車に入れ、救世軍に寄付しちゃうよと脅す。それでもすっかり嫌気がさしているルルは、大事なドールハウスさえもどうでもよくなって、母親に「ふん、まだいたの?もう救世軍に行ったのかと思ってた」と憎まれ口をきく。そんなルルに、今度はエイミーが、昼食も夕食も抜きだよ、クリスマスのプレゼントも無しだよ、3年も、4年も誕生パーティもやってあげないよといって無理矢理練習を続けさせた。それでもルルはうまくならない。エイミーは、追い打ちを掛けるように、「ほんとうは弾けるようにならないことが恐いんだろう。だからそうやって大声でわめいてばかりいて真面目に練習しないんだろう」と叱りつける。それだけではない。怠惰だとか意気地なしとか甘えているとか情けないとか言葉を尽くして娘を罵倒した。母子の激しい応酬を見かねた夫も、エイミーに娘を侮辱するのは止めろ、娘を脅迫するのは何の助けにもならないと口を出すが、彼女は侮辱などしていない、やる気を出させようとしているだけだと言い返す。彼女は「わたしは嫌われ者でいい。あなたは、あの子たちにパンケーキを作ったりヤンキーズの試合に連れて行ってあげて、いいお父さんでいればいいわ」と言って、さらに厳しいレッスンを続ける。トイレにも行かせないというのだから、まるで拷問だ。家は戦場のように殺伐とし、エイミーは怒鳴りすぎて声が出なくなった。しかし、ルルは、あるとき突然、その曲が弾けるようになった。彼女は大喜びで何度も繰り返しその曲を弾き、今度はピアノを離れようとしなくなったという。その晩、彼女は母親のベッドで寝た。母子の仲も修復されたそうだ。”
子どもの自尊心を重視する西洋式の教育に対し、子どもを「ゴミ」と呼んで叱咤激励する「中国式」のやりとりを読んで、私はかつて家庭内暴力を描いた「積み木くずし」という本を思い出しました。結果は違うのに、なぜ、同じように思えてしまうのでしょうね。

子育て” への6件のコメント

  1. 夕べ、NHKのBSの「プラネットベービーズ」という番組で、オランダのある家庭の子育てを紹介していました。(録画をしそこなって残念!)アムステルダムに住むペーターさん一家は、その日の出来事を家族で話し合う時間を大事にしている。この「話し合い」によって、子供たちはお互いを理解するスキルを学ぶ。娘のアヌークちゃんが通う小学校(イエナプラン学校)では、生徒の大半が移民の子。様々な国籍や文化の違いを「話し合い」で乗り越えていく子供たち、それを見守る教師や親の優しいまなざしがとてもまぶしく見えました。エイミー・チュア氏が『親が子育てを何をおいても一番のプライオリティとしなくてはならない。』と主張している点には反論はしませんが、彼女が考える「子どもの幸福」とは社会的な知性ではなく特別な才能によって得られるとすれば、大いなる間違いと言わざるを得ないと思います。

  2. こういう記事を読んで同じようなことを目指す親もいるんでしょうね。ルルはたまたまピアノで難しい曲が弾けるようになった、ということが書かれてあるだけですが、これを子育て全般に当てはめてしまうようなことがあるとすればちょっと怖い気もします。物事を見るときにある重要な部分だけを抜き取るやり方がありますが、私はそういう場合に省かれてしまう小さなことも含めて大事にしないといけないと思っています。自尊心を重視するか、叱咤激励するか、見方次第でどちらの主張も間違っていないということにもなるのかもしれませんが、私は自尊心を重視する方で行動していきます。

  3. 私も新聞でこの「タイガーマザー」の記事を読みました。賛否両論というより、否定的感想が多いようでした。まぁそうでしょうね。今回のブログで紹介されている部分を読んだだけで、そこまでしてどうする?と思うところがあります。が、ある方にこの「米エール大学の中国系米国人教授、エイミー・チュア氏」の略歴その他を伺ってさもありなん、との感想を得ました。同氏は現在エール大学ですが、それ以前はハーバードやスタンフォードだったそうで、まぁ相当な秀才で、おそらくご自身が娘にさせたと同種の経験をして育ち現在の地位を得たのでしょう。それから本も売れているそうです。これはまさにブラックエンターテイメント。また、韓国人のある親はわが子がネイティブ並みの英語が話せるようにと子どもの舌を手術したという話を読んだことがあります。いずれにせよ、そうした子育てもあるんだ、くらいの認識です、はい。それよりも何よりも、北アフリカ・中東各地で起こっている不穏な動きに米英欧中露が介入して世界大戦にならなければよいが、と子育て中の親としてとても心配しております。

  4.  今回のブログを読んで、我が子を虐待する親は、実は子どもの頃、自分も親から虐待を受けていたという虐待の連鎖を連想しました。そして私自身が親からどう育てられ、また、その親達が祖父母達にどう育てられたかを思い返しつつ、我が子の育て方や接し方を考えています。そしてふと思ったのですが、藤森先生は、子どもの頃、ご両親やご家族、先生、となり近所の方々から、どのように育てられたのでしょうか?やはり見守られてきたのでしょうか?そこがとても気になります。

  5.  今回のブログを読んで、かなりのショックを受けました。母親がわが子に対しての教育が行き過ぎて、かなりのスパルタになってしまうのはニュースなどで親の虐待として取り上げられ、聞きますが、ここまでのスパルタ指導があったとは本当に驚きました。確かに中国をはじめ韓国や北朝鮮などの国は競争意識が高いのは知っていますし、中国に関してはGDPが日本を抜いて2位になりました。競争がいけないというわけではありませんが、それにより自分の良さを出せずに苦しんでいる子どもが何人いるのか・・・。しかし、それは日本にも言えることで母親が子どもに対して無理難題を押し付け、この子の為と思って、たくさんの習い事をさせていることが、返って負担になってしまい、大人になって影響が出ている気がします。

  6. かなりショッキングな内容ですね。これが「中国式」なのかと思うと怖いです。実際似たような境遇の子どもたちのいる施設に行ったことがありますが、かなり人間不信で人に飢えている様子があったのを思い出しました。「子どものため」とひとえにいうのですが、一体それは誰のため?と考えるいい機会になりました。こういった話を聞くたびに思うのですが、能力と感情・感性どちらが大切かというと私は後者のほうが人間として大切だと思います。しかしそれははっきりと目に見えてすぐ結果の出るものではありません。しっかりと先を見つめ、本当に「子どもの人としてのありかた」を見つめていかなければいけませんね。

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