出前

 丼物といえば、私は食堂で食べるというよりも、出前で食べるというイメージがあります。出前は、家に運んでもらうために、おかずとご飯が一つの丼に入ったものは運びやすいということと、出前を頼むことが多い蕎麦屋で取り扱っているメニューだからということがあります。ということで、私が子どもの頃に出前で頼むことが多かったのは、「日本そば」と「中華そば」が多かったかもしれません。たまに、私が子どものころ住んでいた我が家の裏に洋食屋があったために、たまに洋食の「オムライス」や「マカロニグラタン」や「カレー」の出前を頼んでいました。これらの出前には、「岡持ち」という四角な竹カゴや平桶に入れて運びます。この岡持ちは、最初のころは木で作られていましたが、次第にアルミニウム合金製のものが主流になってきます。上部には、持ち運びのための木の棒がついていて、蓋は、全面を上にスライドさせて開けます。この語源は、岡という字の意味はもともと「小処(おか)」ということから来ていて、何かの傍らという意味です。ですから、「傍らに下げて持ち運びする」「横に下げて持つ道具」ということになります。
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 今日、職員と外でコーヒーを飲んでいたときにこの出前が話題になりました。というのは、4?50年前私が子どもの頃、下町の問屋街に住んでいたのですが、その時の出前で多かったのがコーヒーの出前でした。店に銀行の人が来るとか、商談をするとき、必ずコーヒーの出前を頼んでいました。そうすると、ウエイトレスさんが、ステンレスのお盆にコーヒーを入れた真っ白いコーヒーカップを載せて、運んできたものでした。たまに贅沢をして、バタークリームを載せたケーキも頼みました。そして、容器は後でとりに来ました。出前を頼むくらい、下町にはいたるところに純喫茶と呼ばれる喫茶店があったのです。
 出前かどうかわかりませんが、子どもの頃は、さまざまなものを店ではなく、売りに来ました。天秤棒を担いで売りに来たのが、魚や野菜などで、そのほか、豆腐、納豆なども売り歩いていました。それが、出前の起源だとすると、うどんやそばなどの出前は江戸時代から存在しています。二八そば・すし・天ぷらなども天秤棒を担いで移動しながら販売をしていたようですし、魚屋、シジミ売り、八百屋なども天秤棒を担いで売る方法が主流でした。
最近は、天秤棒を担いで売りに来ることはなくなりましたが、出前はまだありますが、いろいろな形の出前があります。その分け方は厳密ではないようです。同じ出前でも、祝い事や法事などに用いる和食の弁当や寿司、パーティ用の食べ物などの配送の場合は、「仕出し」と呼ばれることが多いようです。それは、火急に配達することを求める「出前」と違って、「仕出し」や「配達」は、予約しておく場合が多いようです。
また、店内に飲食スペースを設けない店や無店舗営業の業者が配送「デリバリー」という出前があります。日本では、20年ほど前にピザーラ創業者が映画「E.T」を見て、アメリカのデリバリーを知り日本でも業務をスタートしたことに始まるそうです。また、似たようなサービスにケータリングというのがあります。ケータリングは、注文主が用意する台所、あるいは移動調理車などを使って、現場で調理をするものです。「出前」「仕出し」は、完成した料理を配達しますが、ケータリングは食材を持ちこみます。
 出前の形も少しずつ変わってきていますが、他の見方も、昔は声をかけていたのが、電話になり、今はほとんどメールで頼むようです。

出前” への8件のコメント

  1. 昔、出前はちょっと贅沢な楽しみでした。父親が「出前でもとるか」というとわくわくしました。
    お客さんなどのときは、お寿司などを子どもだったわたくしもご相伴させてもらえていました。
    出前は、ある意味、人間性もわかるところがあると思っています。
    それは、丼や食器を返すため、置いておく際です。
    うちは今マンションなのですが、ラーメンの器他に割り箸の折れたものや紙くず、ひどいものは吸殻が入ったまま、エントランスに置いてあるのを見ることがあります。
    職場でも給湯室の流しくらいあると思うのですが、家ならなおさらです。
    お店に食べにいったときは、そのまま下げてもらいますが、出前の食器は洗って返すと親から習った記憶がありまして。

  2. バイクの荷台に岡持ちを乗せて運ぶ装置を「出前運搬機」(通称出前機)というそうです。かつては、片手ハンドルで岡持ちを提げていたのを、安全に運べるようにした画期的な発明です。バイクの上下動をバネ付きのサスペンションで吸収し、車体の傾きにも垂直を保つ優れた構造になっています。あるテレビ番組で、出前機の能力を試す実験をやっていました。その結果、震度7の地震体験車に乗せても、プロのレーサーがバイクでコーナーを回っても、ジェットコースターで1回転しても中身がこぼれることがなかったのには驚きました。東京オリンピックの聖火もこれで運んだという逸話もありますが、出前の衰退とともにずいぶん見かけることが減ったようです。

  3.  出前と聞くと、やはりラーメンとそばでしょうか。たまにバイクで配達している人を見ますが、よく落とさないで持ち運べるなぁと感心して見ています。そんな出前ですが、私が覚えている中では幼稚園の時でしょうか、ラーメンの出前を頼んで食べた記憶があります。あとは、中学の時に自宅に急な来客があり、お寿司の出前を頼んだくらいです。ですから出前で食事を頼むことに、かなり憧れを抱いていました。しかし、コーヒーの出前と言うのは私も初耳です。言ってしまえば、コーヒーくらいは出せるイメージなのでわざわざ出前・・・という印象ですが、出前でコーヒーを頼むことに、相手に特別な印象を与えるのでしょうか。ただ、よく考えるとクリスマスや誕生日など特別な日に宅配ピザを頼んでいるので、出前をしていましたね。ポストに宅配ピザ屋の他に色々な食事を宅配してくれる店のチラシが増えました。こういう便利なものが増えると、本当に外に出なくても生活ができるようになりますね・・・。

  4.  コーヒーの出前は経験がありませんが、映画「珈琲時光」という作品の中で、そういうシーンがあり、粋なコーヒーの飲み方だなと思いました。主人公の友人が、千代田区神田神保町にある古本屋の店番をしていて、近くの純喫茶からコーヒーを出前で頼むというシーンでした。別のシーンでは、御茶ノ水の喫茶店も出てきました。とてもいい雰囲気の店だったので、ある日、その店の場所を調べて行ったのですが、残念ながらすでに閉店していました。その時、ふと自分が御茶ノ水の病院で生まれたことを思い出し、その病院を探しました。すぐに見つけたものの、立て替え中で当時の建物を見ることはできませんでした。そして病院の隣には、むかし通った大手予備校が今でもありましたが、こちらも建物はすっかり新しくなっていました。時間は常に流れているのだなぁと感じた一日でした。
     さて来週は、親の誕生日祝いに寿司を出前で頼もうかと話しています。

  5. 仕出しの利用経験は多いのですが、出前となると数えるほどしかありません。子どものころからなじみがなかったこともありますが、持ってきてもらう間に冷めてしまうことが気になりますし、その食べものをというよりそれを作っている場ごと楽しみたいという思いが関係しているのかもしれません。よく利用していた友人がいたのですが、それを見ていても自分が積極的に利用しようとは思わなかったですね。サービスも様々ですが、その受け取り手も様々です。

  6. 私が住んでいる住宅の一階駐車スペースに出前のバイクを見かけることがあります。ピザ屋、中華料理屋、すし屋、などなど。最近はファミレスやコンビニも「ケーターリング」と称して出前をしてくれますね。便利な世の中になりました。コーヒーの出前は私も経験したことがあります。近くの喫茶店の方が会議中のテーブルにひとつひとつ丁寧にコーヒーをサーブしてくれました。何だか贅沢な感じがしました。今でもやっているのでしょうか。天秤棒を担いで売るベンドーアも懐かしいものがあります。魚や野菜を持ってきてくれました。背負い籠一杯にりんごを入れて売りに来たおばさんもいました。「出前」文化。人と人とがモノの売買を通してコミュニケーションをはかるとても重要な行為のような気がします。

  7.  出前で持ってきている箱はよく目にすることはありましたが名前までは知しませんでした。また昔はコーヒーを出前していたそういうは驚きです。今では出前と言ったらピザなのでだいぶ時代は変化し、便利になっていますね。
     昔は色々な物を出前していたので人と人が触れ合うことが多かったようですね。それだけ多くの出前があればいろいろなお客さんと触れ合うことができます。今の時代を見ると便利さが先行していて何か寂しさを感じてしまいます。

  8. ピザなどはたまに頼むことがありますが、まさかあの「ピザーラ」ができたのが「ET]からというはなかなか面白い話ですね。わたしがちいさかった頃、なんどか出前をたのんだことがありました。さすがにコーヒーというのはなかったのですが、「丼物」や「ラーメン」を頼んでいたのを覚えています。そして、食べ終わるとその器をあらって玄関先においておくとそれを回収してもって変えるというシステムだったように思います。しかし、最近では器も使い捨てのものになってあまり昔ながらの出前という雰囲気ではないように思います。時代でしょうが、小さなところでもコミュニケーションする場は減っていっていますね。

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