タブレット

 今日、神戸地方裁判所でJR福知山線脱線事故のJR西日本前社長の初公判が行われました。JR福知山線脱線事故は、2005年4月に発生、乗客106人が死亡、493人が負傷した事故です。事故原因については、一応最終報告書が発表されています。「脱線した列車がブレーキをかける操作の遅れにより、半径304mの右カーブに時速約116km/hで進入し、1両目が外へ転倒するように脱線し、続いて後続車両も脱線した」という典型的な単純転覆脱線と結論付けられています。現在では現場にATSが設置されています。
 列車事故にはいろいろとありますが、踏切やポイント切り替えを手動でやっていたときには事故を起こさないようにするのに大変だったでしょうね。特に、昔の路線のほとんどは、単線だったために、その区間では本線上で列車を衝突させないように運転するには一定区間に複数の列車を同時に存在させないことが原則となります。このように、一定区間にひとつの列車を運転することを「閉そく」といい、その区間を「閉そく区間」というそうです。単線路線で、複線になっている駅ですれ違う時に、もし早目に出発したり、遅く出発したら正面衝突をしてしまうか、正面で向き合って、すれ違えなくなってしまいます。ですから、同時に複線になっているところに着かなければならないのです。今では、無線や、集中管理ができるために指示を出せるのでしょうが、そのせいツ美がない場所ではいろいろな工夫が必要だったようです。
 閉そく装置には、自動制御する方式と非自動閉そく方式に区別されます。自動制御する方式はA?B各駅の閉そく区間両端の線路に電気を流して 閉そく区間への列車の進入を自動的にチェックすることで信号機を替えます。一方、非自動閉そく方式はA?B各駅間で電話機で打合せを行い それにあわせて信号を取扱う方法です。もうひとつ、非自動閉そく方式のひとつに、タブレット(通票)の授受による運転を行う「タブレット閉そく方式」という方法があります。中間駅のタブレット閉そく装置は2台で一組になっていて、中にはタブレット(通票)という厚めの金属製の円盤が数個入っています そしてA、B両駅あわせて同時に1個のタブレットしかタブレット閉そく装置の外に取り出せない仕組みになっています。タブレット(通票)の真中には丸、三角、四角、長円の穴が開いており、A?B駅間運転の場合は丸、B-C駅間運転の場合は三角など閉そく区間により形状を変えて装置から取り出します。それをタブレットキャリアに入れ運転士に渡し運転士は運行ダイヤ票のタブレットの形状と同じかどうか確認してから列車を発車させます。
そのタブレットの受け渡しはどうしているかというと、各駅停車の列車のばあいは、駅ごとに泊まりますので、止まっている間に駅長がタブレットの受け渡しの任務にあたります。しかし、もし列車が該当駅を通過する場合には、渡す暇はありません。そんなときには、列車がホーム進入すると、ホーム上のタブレット受器にタブレットキャリアを引っ掛け受取ります。その直後に、同じホーム上のタブレット授器にセットされている隣駅までのタブレットが入ったタブレットキャリアに腕を引っ掛けて受取ります。
この動作を、私は小さいころによく見ていたことを思い出しました。もちろん、その時には、何をしているのか、何をひっかけているのかわかりませんでしたが、そのタブレット受器を、先日の喜例川駅で見て思い出したのです。それは、らせん状のパイプでできています。
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これに通過する瞬間に引っ掛けて、引っかけられたタブレットはらせんをくるくる回って下に落ちていき、しばらくすると駅長がそれを取りに来たことが鮮明に思い出されました。今になって、その行為はそういうことだったんだと納得いきました。
小さいころに目に焼きついた出来事は、あるとき突然思い出すものです。