かれい

 先週の土曜日の新聞にこんな記事が掲載されていました。「JR肥薩線嘉例川駅(霧島市)の2代目名誉駅長として2004年4月から特急「はやとの風」の出迎えなど、乗客とのふれあいや駅のPR活動に取り組んできた福本平さんが退任することになり、16日、霧島市隼人町の旅館で新旧名誉駅長の引き継ぎ式があった。」
 この鹿児島県霧島市の山間の集落にある嘉例川駅の開業は明治36年で、その当時に建てられた築100年を超える木造駅舎は九州で最も古い駅舎の一つです。切り妻造りの平屋に下見板張りの外壁の駅舎は、明治時代の小さな駅舎の標準型で、国の登録有形文化財になっています。
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現在は無人駅ですが、福本さんは、元国鉄職員で、この駅から戦地に赴き、この駅から復員、そしてこの駅に勤め続け、名誉駅長を務めていたのです。また、地元では、この駅を保存し、地域の元気を取り戻そうと、平成15年、地元自治体が駅舎を買い取り、地域おこしの一環として、コンサートや手作りのひな人形の展示会などを行い、駅舎の活用を図っています。同時に、この駅がある肥薩線は、九州新幹線の営業開始と共にJR九州が観光路線として売り出し、多い時には1日500人もの観光客が訪れているそうです。
私は、先週末霧島に行ったので、この駅に連れて行ってもらいました。ちょうど後任の3代目名誉駅長になったばかりの篠原繁文さんとお会いできました。篠原さんは、99年、東郷小学校長(薩摩川内市)を最後に教職生活を退職し、以後、嘉例川駅周辺の中福良公民館長などを務め、嘉例川地区活性化推進委員会と一緒に駅や鉄道のPRに努めてきました。
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 篠原さんは「福本さんの後を引き継いで少しでも近づけるようになりたい」と話したひとです。名誉駅長というのは、JR九州が、無人駅での清掃美化や地域住民、乗客とのふれあいなどを目的に、87年から元鉄道職員や地域の名士に委嘱しているもので、現在、鹿児島支社管内は43人いるそうで、仕事はボランティアだそうです。
 もうひとつこの駅が有名なのは、「百年の旅物語『かれい川』という駅弁で、「九州の駅弁ランキング」で三連覇中の人気の駅弁です。特急「はやとの風」の登場を記念して発売されました。
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この駅弁の販売は、毎週土、日曜日に限定されており、その駅弁を食べてみましたが、竹皮製のお弁当箱の中に、ご飯は、竹林に囲まれた喜例川駅をイメージし、霧島市の棚田でとれたかけ干し束「ひのひかり」に、地元で原木栽培した「しいたけ」とタケノコを炊きこんだものです。おかずとして「ガネ」と言われる鹿児島特産の紅さつま芋入りの天ぷらで、野菜の水分だけで作られています。「ガネ」というのは鹿児島弁で蟹のことで、揚げ上がった形が蟹に似ているところからそう呼ばれています。あと、喜例川産の千切り大根と蒟蒻の煮物、茄子と南瓜の麦味噌田楽、大根と人参のスセと呼ばれる酢の物、地元のシイタケ、タケノコを混ぜ込んだコロッケの6品です。
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肉や魚は使われていません。「安心安全で体にいいものを」と地元産の食材を中心に、すべて手作りで、1日200個が限界だそうです。この内容は、妙見温泉観光協会(現・妙見温泉振興会)が企画し、地元で試作品を募って審査した結果、選ばれたものですが、発案者によると、炊き込みご飯は、母親から受け継いだ味で、ガネは近所のおばちゃんたちの直伝で、どれも家庭料理です。
 非常に辺鄙なところでも、地域おこしは可能な例をまた見ることができました。