本影食

今月21日の夕方に、2007年8月以来、3年ぶりに国内で皆既月食を観察できます。 劇的なのは、もちろんいつもこうこうと輝いている太陽が欠けて、昼間なのに薄暗くなる「日食」です。それに対して、月食は、普段でも満ち欠けがある月が、欠けても対したこ音がないように思われますが、それでも、欠けた後の様子が少し違います。普段は、月は太陽の光を反射している部分が明るく見え、反射していない部分が欠けて見えます。ですから、満月に対して新月という、月が全く反射する部分がない月の場合は、地球、月、太陽と並んだ時です。それに比べて、皆既月食は、月、地球、太陽が一直線に並んだ時に、月が地球の影の中にすっぽりと入って暗くなる状態で、並び方としては満月に見える時と同じで、時間の経過により、満月が徐々に欠けてくるように見えます。
地球の影には、太陽光の一部だけがさえぎられた影を「半影」と言い、月が半影に入ることを「半影食」といいます。半影はぼんやりとした影なので、目で見ただけでは月食なのかどうか、はっきりとはわかりません。一方、太陽光がほぼさえぎられた影は「本影」と言います。そして、月がこの本影に入ることを「本影食」といいます。本影は暗い影なので、本影食が始まると、肉眼でも、まるで月が欠けているかのように見ることができます。一般に「月食」という場合は「本影食」のことを指します。月がこの本影の中に入ると、月食が始まります。月の一部分だけが本影の中に入ることを部分月食といい、今回のように本影の中にすっぽりと入ってしまうと、部分月食に続いて皆既月食となります。
今年の皆既月食は、国立天文台によると、天気さえよければ、全国で見ることができるそうで、月の出の時刻は各地で異なりますが、月食の各現象は全国同じ時刻に起こります。皆既月食は16時40分に始まり、17時54分に終わります。その後、徐々に満月に戻っていき、月食(部分月食)が終わるのは、19時2分です。東京では同日午後4時23分頃、東北東の空に下8割が暗く欠けた状態の月が姿を現し、すぐに皆既月食になってしまいます。月の出が遅い西日本では、皆既月食になるのは月の出よりも早いので、皆既月食になった後で上ってきます。以前のブログでも書きましたが、今年はとても珍しい年で、1月と6月に部分月食があり、これで3回目です。このように、次に1年に3度月食を観察できるのは、国内では2094年だそうです。
まん丸い月が、突然欠け始め、やがて赤黒く輝きます。影に入ると言っても、真っ黒になるわけではありません。地球のまわりには大気がありますので、太陽光がこの大気の中を進むと、大気がレンズのような役割をして、ほんのわずかですが屈折して進みます。この時、青い光は大気中の塵などで散乱してしまいますが、赤い光は散乱しづらいため、屈折して本影の中に入り込みます。このかすかな赤い光が皆既中の月面を照らします。このため、皆既中の月は赤黒く見えるのです。しかし、皆既中の色は月食の度に変わることが知られています。大気中にチリが少ないと明るいオレンジ色に、逆にチリが多いと赤い光も月まで届かずに、黒っぽく見られます。今回の月食では、皆既中の月はどのような色に見えるかということをより多くの人々に観察して、報告してもらおうと、国立天文台では、「皆既月食を観察しよう」という観察キャンペーンを呼びかけています。「月食中の月がいったいどのように見えるのか?」ということで、報告内容は、観察時刻、月の見え方、観察方法、観察地、年齢などです。報告先は、国立天文台のホームページにアドレスが掲載されるそうですので、報告してみてはどうでしょうか。子どもでも見ることができる時間帯ですので。