かるた

 子どもは、さまざまな遊びから社会を学んだり、生活の知恵を学んだり、もじやかず、科学を学びます。もうすぐクリスマスですが、子どもたちはサンタクロースからどんなものをプレゼントでもらうのでしょうか。デパートなどではクリスマス商戦たけなわですが、中でもおもちゃ売り場は大賑わいです。プレゼントにおもちゃをもらう子どもが多いのでしょう。そんな時期だからこそ、ドイツの保育園、幼稚園では、「おもちゃを使わない月間」という期間を設定するのでしょう。私の子どもの頃は、基本的には、もうすぐ来るお正月の時期こそがおもちゃを使ってよい時期でした。そして、その時に遊ぶおもちゃをクリスマスにもらうということでした。たとえば、すごろく、かるた、トランプ、凧、はねつき、コマ、百人一首、これらの遊びは、お正月限定の遊びでした。
 今、保育園と幼稚園との一体化議論の中で幼稚園は「これまで幼稚園が果たしてきた満3歳以上の子どもに対して、学校教育としての「教育」を提供する役割」を大切にすべきであると提案されています。OECDでは、「“学校”という言葉は多くの国や地域で威光と多様性の両方を保持する。」と指摘するように「学校」という言葉に特別な意味を感じるようです。この言葉が、「学ぶところ」を意味するのであれば特に問題はないのですが、どうも私は、認知的な内容をトップダウンで子どもに伝える場所としてのイメージが強くなり、「幼児教育は、学校ではありません」とつい言いたくなるのですが、日本では言葉の定義は統一されていませんから、議論は難しくなるのでしょう。
 ただ、乳幼児施設では、少なくとも小学校とは異なった学習方法があります。たとえば、小学校で教わる内容である「もじ・かず」の学び方も、子どもたちは遊びと生活の中から学んでいきます。そして、その学びは椅子にすわり、机に向かって学ぶのではなく、子ども同士の関わりの中で学んでいくことが多いのです。
 たとえば、文字の中の「ひらがな」を学ぶときに、その文字が一つ一つの音を表していることを知らなければなりません。それは、単語の音節分解を知ることから始まります。小学校1年生の国語の教科書の最初は、「りす」という単語のわきに「●●」というように2音節であることを示すドットがついてあることが多いのは、まずはそれを理解してもらうためです。これを幼児のころに理解するために遊んだのが、「しりとり」と「かるた」なのです。「しりとり」は、単語の最後の音節を最初に持っていって単語をつくっていくという遊びです。「りす」「すいか」という具合です。また、「かるた」は、文章の最初の単語の頭音の一文字が書かれてある札を取り合う遊びです。
 今年の園から子どもたちへのクリスマスプレゼントは、園を読みこんだ職員手作りの「かるた」です。「かるた」のいわれも書いてあるのですが、「カード」という単語をポルトガル語で表した言葉です。ドイツ語では「カルテ」、フランス語では「カルト」と言っています。このように、「カルタ」がポルトガル語であることや、現在、滴翠美術館に唯一残っている「天正カルタ」の図柄が、初期ポルトガル様式の特徴を持つことから、日本にカルタを伝えたのは、ポルトガル人ではないかと推測されています。今からおよそ400年前、九州各地の港に、ポルトガル船が相次いで入港しました。このポルトガル船が日本にカルタを伝えたということになれば、ポルトガル人が種子島に漂着した1543(天文12)年から、ポルトガル人来航禁止令がでた1639(寛永16)年までの、およそ100年の間に伝わったようです。
 遊びの中には、文字数だけでなく、歴史や地理、探究心を増す要素も含まれています。