イチョウ

東京都の木は、「イチョウ」ですが、至るところに「いちょう並木」があります。今週末まで銀杏祭りが行われているところに神宮外苑があります。ここは、青山通り口から外苑中央広場円周道路に至る300m、四並列の146本、9m間隔で街路樹として植栽されています。ここに植えられているイチョウはとても由緒があります。明治41年(1908年)に新宿御苑の在来木から採集したいちょうの種子を代々木の宮内省南豊島御料地内(現在の明治神宮内)の苗圃に蒔きました。そこで、樹高6m内外に成長していた1,600本から選ばれ、更に年々樹形を整えてきたものを植栽したものです。この時の兄弟木は、スケート場前から明治神宮北参道に通じるJR千駄ヶ谷駅前道路(旧内外苑連絡通路)の並木など、内・外苑の各所に植栽されました。現在では、最高28.0m、目通り周り2m90cm、最低17.1m、目通り周り1m64cmに成長しています。
ドイツで、平成12年(2000年)首都をボンからベルリンへ移しました際、その前年、記念としてベルリン市内の緑化のための植樹キャンペーンの象徴として、日本から当外苑いちょう並木の枝をフンボルト大学のいちょう古樹に接ぎ木して、日本とドイツを結びつけるといったセレモニーが行われました。なぜイチョウかというと、イチョウは、ヨーロッパでは珍しい樹木で、17世紀末、独医師・植物学者ケンベルが初めてヨーロッパにもたらしました。葉の形が珍しく神秘的な感じを抱かせること、ゲーテの書いた有名な詩「いちょう」にみられるように恋愛に重なるエキゾチックな香りと親しみがあり、また、ドイツ・フランスを中心に医薬品としても知られています。
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 昨日の新聞に、3月に強風で倒れた鶴岡八幡宮のご神木の大イチョウが、紅葉シーズンが終わりに近づいても、今秋はほとんど色づかず緑色の葉を茂らせているということが報道されました。そう言えば、実朝暗殺の時に公卿が隠れていたと言われている八幡宮のイチョウが倒れましたね。その時に胴切りにし、高さ4メートルの幹を近くに移植したのです。その移植した幹の葉は黄色よりも緑色が勝っているそうです。大イチョウ再生の指導に当たっている東京農業大学の浜野教授は、「元気がありすぎです」と言っています。
 もともと葉の中には「葉緑体」があって、太陽の光と水と二酸化炭素を使って、植物に必要な栄養と、酸素に変えています。その「葉緑体」は、緑のつぶです。というより、光の中の緑色だけを反射するので、緑に見えるわけですが、光合成には、緑色の光はいらないようです。この葉緑体の中には、葉緑素(クロロフィル)という色素が含まれていて、消臭・抗菌・殺菌効果などがあるため、これが含まれたガムや、口臭予防液、体臭除去液など多くあり、また、ビタミンCと同時に使うことで美白・美顔効果もあるため、化粧品にも利用されています。しかし、秋になって、寒くなり日照時間が短くなるとこのクロロフィルが分解され、緑色が減少します。すると、黄色の色素である「カロテノイド」は、若葉の頃から葉に含まれていますが、秋に葉のクロロフィルが分解されることによって、目につくようになるので、黄色に変わったように見えるのです。
きれいに紅葉する年とそうでない年があります。きれいな色の葉になるためには、いかに多くの糖分が葉に蓄えられるか、葉緑体がいかに早く分解されるか、色素を作るために光合成をいかにするかのようです。そのためには、クロロフィルの分解を促進するため,日中は温暖で夜間に急激に冷え込むこと、夜の気温が高いと昼に蓄えた糖分が呼吸などに使われるため、昼夜の温度差が激しいこと、光合成をして色素を作るため,空気が澄んでいて、葉が充分に日光を受けることのようです。今年はどうだったのでしょう。
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