自給

 中国がレアアースの輸出制限を行ってから、ほとんどを中国からの輸入に頼っている日本では、ずいぶんと困ることが起きました。日本は、中国だけでなく、意外といろいろなものを海外に依存しています。よく食料自給率が日本が低いことが問題になります。カロリーベースの食料自給率は、平成21年度においては、前年度から1ポイント低下しましたが、それでも40%です。しかし、生産額ベースの食料自給率は、平成21年度においては、前年度から5ポイントも上昇し、70%にもなっています。それに対して、諸外国の自給率を2007年で見てみると、オーストラリアでは、173%、カナダでは、168%。フランス111%、ドイツ80%、アメリカでは、124%にもなっています。これは、世界中が輸出禁止になったら、日本人は生きていけなくなるかもしれませんね。
しかし、レアアース、食料、穀物だけでなく、リンやカリウムなどの肥料原料にも影響を広げています。肥料原料のリン鉱石の生産も約3割が中国に偏在しています。米国、モロッコなどを合わせた上位4カ国で世界生産の7割を占めていますが、中国政府は今月1日から一部の化学肥料に110%の輸出関税を課すと発表しました。それは、今月末までの措置で、来年1月以降については触れていませんが、事実上の輸出規制をかけ始めたのです。これは、もう、自国では無理なので、中国以外の国から輸入するか、それを使わない肥料を考えるしかないでしょうね。現在は、ペルーのリン鉱石の権益の一部を取得し、今後は南米でリンやカリウム鉱石の権益取得も目指しているそうですが、なかなか難しいようです。 
以前、ブログで取り上げたチタンについては、鉄鋼や航空機の大手企業が組み、航空機の機体に使うチタン材を国産化していくそうです。今日の読売新聞の1面で取り上げられていたのが、「漢方薬メーカーなどの間で、6割程度を中国からの輸入に依存する原料の薬草が“第2のレアアース(希土類)になりかねない”との不安が高まっている。」というものです。確かに、漢方薬というのは、中国の薬品ですので、その材料は中国に生息している草木であるのはあたりまえですが、その草木について、レアアースと同様、中国当局が輸出制限に乗り出してきていて、今後、全面禁輸の可能性があるそうです。最近、風邪がはやってきました。昨年は、私は喉が痛くなり「甘草」の世話になり、鼻水が出て仕方なかった先週は、「小青竜湯」の世話になりました。青竜は中国の神話に出てくる四神の1つで、東方を守護する神です。もちろん、この漢方薬には、甘草他、数種類の薬草が入っています。
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 中国政府では、これらの薬草の乱獲による砂漠化を食い止める目的で、10年ほど前から野生品の薬草の採取や輸出を制限し、すでに一部の輸出を停止しているのです。また、中国国内でも経済成長で医療保険の適用対象が拡大した結果、漢方薬需要が急増している面もあるといわれています。その中で、甘草についてブログで書きましたが、現在は、国内で販売される漢方薬の約7割の品種に欠かせず、もともとは、日本でも栽培していたのですが、現在では、すべて輸入に頼っており、しかも年間輸入量1600トンのほとんどを中国から調達しているために、制限の中、輸入価格は平成17年の1キロ当たり2ドルから、現在は、7・43ドル程度にまで高騰しています。こうした中で、企業のグリーンイノベーションも甘草の人工栽培の技術開発に着手、水耕栽培技術を使って、4年かかる収穫期間を1年半程度に短縮できるようにしました。数年後には国内需要の全量を賄う規模まで拡大し、中国への輸出も検討しているそうです。
 もっと、日本の技術力を生かして自立を図っていく必要がありますね。最終的には、それぞれの国は、自国の国民が優先ですから、もう少し、自国で供給できる範囲での暮らしも考える必要がありそうです。