心で感じる

明日の日曜日まで、東京ミッドタウン・タワー5階にある「ミッドタウン・デザインハブ」で、「グッドデザインエキシビション2010」が開催されています。ここでは、今年のグッドデザイン賞において受賞したデザインを、それぞれのデザインの特徴や、社会に訴求しうるデザインポイント、デザイナーのメッセージなどとともに紹介しています。ブログでも取り上げましたが、私の2回受賞していますので、毎年なんとなく気になります。
今年、受賞したものについては後で取り上げますが、2005年度にユニバーサルデザイン賞を受賞したものに 特定非営利活動法人ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンによる「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というものがあります。
この内容について、企業側の説明に「“ダイアログ・イン・ザ・ダーク”は時間が経っても手の先さえも見えない暗闇の中 を、視覚に障害のあるアテンド・スタッフの案内により、晴眼者の参加者が体験する ワークショップ型の展覧会です。参加者は視覚以外の聴覚や触角などの感覚を使っ て、日常の空間を認識します。これは不自由さを体験する障害者の疑似体験ではありません。それよりは、人間の尊厳と可能性に気付くためのプロジェクトといえるかもしれません。」この内容に対して、グッドデザイン賞受賞について審査員からのコメントは、「ためにするバリアフリーデザインが氾濫するなかで、障害者をアクターとしてポジティブに捉え直した優れたユニバーサルデザイン提案である。視覚偏重の状況に対しても一石を投じると同時に、触覚・聴覚デザインの新領域を開いた点、そして障害者と健常者が逆転した立場でのユニバーサルコミュニケーションデザインである点を高く評価した。真っ暗な美術館など、新しい施設開発への発展性も感じさせる新領域的可能性も内在させている。」
この展覧会は、とても面白いワークショップです。私はまだ参加していませんが、一度参加してみたいような気がします。参加するには、時間を指定して空席のチケットを購入します。大体5?6千円です。現在は、日本では常設されていないので、イベントとして行われていますが、今年から通年行われています。1回の参加者は8人です。まず、ビルの地下にアテンドと呼ばれる案内役の視覚障害者の声に導かれ、白いつえを手にして進みます。中は、まったくの暗闇です。そして、暗闇の中で森、民家、食堂などいくつかの空間を約90分間で体験していくのです。このイベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(暗闇の中の対話)」は、DIDと呼ばれ、1989年にドイツで始まりました。現在では、世界25カ国、120都市で開催され600万人以上が体験しているそうです。日本では99年から毎年、東京などで最長で3カ月間、開催され、5万人が体験したようです。
 この発案者である哲学博士のアンドレアス・ハイネッケ氏は、こう語っています。「現在の物質的に豊かになった世の中では、人間は倫理と人道的な価値観とを損ないがちであり、利己主義になる。しかし暗闇のなかで人間は誰でも平等であり、それぞれの中にある根本的な価値観を思い出し、謙虚さや感謝を甦らせることができる。困難に直面しても、お互い協力し合えば一緒に乗り越えられることを誰でも知っている。」
 現代は、あまりに光が多すぎ、そのさまざまな光が、本質が見えなくなるようにさまざまな方向から照らしています。本質を見極めるためには、目をよく見開いて見るのではなく、目を閉じ、感じることが必要な気がします。そうすると、子どもの声が聞こえてきます。これは、現在の私の課題です。