もしドラ7

ドラッカーは、非営利機関の使命と目的を行動に転化させるためには「戦略」が必要であると言っています。「戦略とは、それほど重要なものであるが、非営利機関にはこれを軽んずる傾向がある。ほとんどの非営利機関にとっては、自分たちがニーズを満たしていることはあまりに明らかであって、ニーズをもつものならば誰でも、自分たちのサービスを欲するに違いないと考えてしまう。」
 たとえば、保育園にしても都市部では待機児が多いというようにある意味では黙っていても子どもたちは集まります。それは、ニーズを満たしているかのような錯覚をもち、戦略を考えようとしません。また、過疎地において、子どもが少なくなり、園児が少なくなるのは不可抗力であり、ニーズを考えなければいけない対象が少なく、戦略を考えないことが多いような気がします。それは、ある意味で、利益のために必死にならないでいいという非営利の陥りやすいところかもしれません。本当のニーズは何のかを考え、戦略を練らないといけないのです。
 「戦略は、まず第1に、市場を知ることから始まるとドラッカーは言います。誰が顧客か、誰が顧客であるべきか、誰が顧客になりうるかを知ることから始まります。それは、自分たちが差し伸べる支援を受け取る人々を、恵みを受け取る人を見ないこと、善を施すべき対象を見ないことである。」と警告しています。どうしても、私たちは、ニーズを声から聞いてしまいます。声で伝わってくることを優先してしまいます。しかし、ニーズは、審の利用者が、声を出さずに訴えることがありますし、言葉にあらわしたときに、その表し方がわからず、違う意図に聞こえてしまうことがあるのです。ですから、その声のままに答えることがニーズにこたえるということではないのです。たとえば、子どもが危ないところから飛び降ります。それを大人が注意します。しかし、何度注意しても辞めないでまたやってしまうことがあります。それは、その行為は、おもしろくてやっているだけでなく、大人に中止されたい、大人に自分のことを見てほしいという訴えかもしれないのです。
このようなニーズは、今迄の刷り込みでものを見たり、古い切り口からものを見たりしてはとらえることはできません。改善とイノベーションは、互いに重なり合っているとドラッカーは言います。改善はどこで終わるとか、イノベーションはどこから始まるとかは、誰にも言えないと言います。たとえば、極めて革新的なイノベーションとしての例を挙げています。それは、旧ドラッカー財団(現リーダートゥリーダー)の会長、フランシス=ヘッセルバイン氏が、かつてガールスカウトのトップに 就任した際、ガールスカウトの活動は盛り下がっていました。そこで活動を活性化するために、地域の現場の声を実際に調査して回った結果、それまでガールスカウトが団員として、受け入れてきた年齢層よりも更に低年齢の女の子達を受け入れて欲しいというニーズが非常に高いということがわかりました。そこで、それまでの伝統を破って、5才児から参加できるプログラム、デイジースカウトを作り、多大な成果を上げることができたのです。
今、幼保の一体化の議論の中で、幼児教育は3歳児からという伝統を今こそ破るイノベーションが必要な気がします。それは、社会のニーズを調べるとそれは周知のことです。ただ、だからと言って、ただ低年齢化するとか、早い時期から行うということではなく、それぞれの年齢においての教育の在り方は考えなければならないとは思いますが。