万人のための教育

昨日の夕方、菅直人首相が、ニューヨークの国連本部で開催された途上国支援に関する「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」首脳会合で演説しました。この中で首相は、政権の理念に掲げる「最小不幸社会」が途上国でも実現するよう、保健・教育分野で2015年までに85億ドル(約7200億円)を拠出することを柱とした支援策「菅コミットメント」を表明しました。特に「紛争国を含む世界中の子供たちが教育を受けられるよう35億ドルを支援する」と表明し、途上国での学習環境改善に「日本は先頭に立つ決意だ」と訴え、今回の首脳会合の内容をフォローアップする国際会議を、来年日本で開催することを提案しました。
その演説の中で「世界中の子どもたちが教育を受けられるよう」と言いましたが、その内容は別に悪いことではないのですが、すでに「万人のための教育(EFA:Education for All)世界会議」が、平成2年(1990年)、ジョムティエン(タイ)において、ユネスコ、ユニセフ、世界銀行、国連開発計画の主催により開催され、初等教育の普遍化、教育の場における男女の就学差の是正等を目標として掲げた「万人のための教育宣言」及び「基礎的な学習ニーズを満たすための行動の枠組み」が決議されています。
今なお世界中に「読み・書き・そろばん(計算)」といった基礎教育を受けられない立場にある者が多いなかで、各国が協力しながら、国連ミレニアム開発目標(MDGs)に基づき、2015年までに世界中の全ての人たちが初等教育を受けられる、字が読めるようになる(識字)環境を整備しようとする取り組みです。この取り組みはユネスコが取りまとめの国際機関となっていますが、ユニセフ、世界銀行等の他の国際機関や、我が国を含む各国政府機関、NGO等も積極的に協力しています。
今の私たちの生活からは考えられないくらい、世界ではいろいろな人たちがいます。識字率にしても、日本は江戸時代から世界の中でも有数な高い国でしたからあまり思わないのですが、現在でも15歳以上の人口のうち7.7億人を超える人々が字を読むことができないでいるといわれています。また、学校に通うことができない児童数は約1億人に達するとされています。しかし、決議されてから10年たった平成12年(2000年)に、EFAの進捗状況を踏まえて「世界教育フォーラム」が開催され、今後の展開の方向性等に関する討議が行われました。そしてその討議結果は、「ダカール行動枠組み(Dakar Framework for Action)」として採択され、6つの目標が掲げられました。これは、とても重要な取り組みで、全世界がそれに向けて行動をしています。
(1)最も恵まれない子供達に特に配慮を行った総合的な就学前保育・教育の拡大及び改善(2)2015年までに全ての子供達が,無償で質の高い義務教育へのアクセスを持ち,修学の完了(3)全ての青年及び成人の学習ニーズが,適切な学習プログラム及び生活技能プログラムへの公平なアクセスを通じて満たされる(4)2015年までに成人(特に女性の)識字率の50パーセント改善を達成(5)2005年までに初等及び中等教育における男女格差を解消。2015年までに教育における男女の平等を達成(6)読み書き能力,計算能力,及び基本となる生活技能の面で,確認ができかつ測定可能な成果の達成 などが謳われています。
 この万人のための教育を目指した次の年2001年に、今度は、OECDが、乳幼児期に対しての教育と 養護の大切さを提案したのです。

万人のための教育” への6件のコメント

  1. 私が以前勤めていた職場の皆さんと先日25年ぶりで再会しました。現在「世界遺産」や「世界寺子屋運動」などで有名な団体です。わが国の総理による海外教育支援の表明は「別に悪いことではないのです」が既に日本の国連機関団体によって既になされていることで、むしろそうした事実を踏まえて日本としての海外教育支援について語って欲しかったと思います。しかし、海外に目を向けるのもいいですが、膝元の教育事情についてどのような認識を持っていられるのか一度伺いたいところです。意欲の低下、自尊感情・自信の喪失、コミュニケーション能力・問題解決能力不足による暴力件数の増加をどう認識されているのでしょうか。親も先生も、そして当の子どもたちが今の学校を評価しているとは思えません。少なくとも、子どもたちは学校というところに勉強以外の目的で通っているか、あるいは仕方なく行っているというところが実状でしょう。「学校に行って勉強したい」という生の声にアジアの数カ国を旅した時触れました。わが子から始まってそうした声を日本で耳にすることはありません。これは幸せなことなのでしょうか。

  2. 「最小不幸社会」て何ですかねぇ。民主主義の基本は「最大多数の最大幸福」ではないでしょうか。国民誰もが安心安全に生活でき、将来に夢を持って生きられるようにすることが政治の役割だと思っていますが…。今の日本に問題なのは、国民全体に漂う閉塞感で、前途に希望の光が見えないということだ。首相は折に触れて、スウェーデンの例を出すが、彼の国は、時に50%を超える累進所得税に26%の消費税、日本より低く抑えられた法人税という高福祉国家だ。今の日本は逆立ちしたって真似できない。生煮えの社会主義的な政策を国際的な援助政策として国連で発表するとは…。ただのバラマキにならなければいいのですが。

  3. 私は外に向けて何か行動を起こそうとするたびに、自分の足元はきちんと定まっているだろうかと自問します。外に目を向けることの重要性は理解していますが、そんな時こそ内に向ける目とのバランスが取れていなければ決して上手くいかないと考えるからです。足元の状況が把握出来ていてこそ外に向ける目が定まってくると思うからです。外に向けて何をすべきかが見えてくると思うからです。足元である日本の教育に対しての熱い熱い思いも、ぜひ聞かせていただきたいです。

  4.  世界中の子ども達が教育を受けるようにすることはとても大切なことです。教育のために多額な費用を使うことは無駄ではないと思いますが、その名言がすでに90年に「万人のための教育宣言」として掲げられているのですね。いつも日本は世界に教育に関しては遅れをとっていると思いますが、こうして少しずつでも世界の動きについていくことが大切だと思いました。

  5. 日本にいてはあまり実感することがないですが、7.7億人以上の人がまだ字を読んだり、書いたりすることが出来ない子どもたちがいるのに驚きました。だからこそ、世界的に教育を受けられない子どもたちに資金援助をすることはとても価値のあることですね。しかし、90年頃から言われていることを改めてそれを世界に発表することはなにか滑稽なように思います。これがきっかけになり、世界の教育と日本の教育との違いに目を向け、日本国内の教育ももっと時代に合わせて変わっていくといいのですが。

  6. 先生、昨日はおめでとうございます。そして、お疲れ様でした。世界水準の保育を世に打ち出し、その保育に共感された方々があのように集まり、笑い、頷き、先生の古希を祝っておられました。改めて先生の進まれてきた道の尊さを知る思いがしました。この度の内容を読み、なるほどそれもその筈なのは、先生の保育が世界中の子どもたち、それを取り巻く大人、保育者、教育者を網羅しようとする保育であるからで、そのような視点で保育が考えてこられなかったこと、そして先生はそれを考えてこられたのだということを改めて感じました。この保育が育てるこれからの社会、きっと誰もに優しい、豊かな社会であると改めて期待が膨らみます。

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