食卓

今年の3月のフランスの新聞に「現代のフランスの若者の姿」という特集があり、その中で「将来に対してどのくらい若者が自信を持っているか」というデータが掲載されていました。そこでは、例えばデンマークなどでは60%、アメリカが54%、スウェーデン49%、中国43%、ドイツ36%、スペイン32%という数値の中でフランスはとても低く、26%しかありませんでした。(ちなみに日本は5%)そのようなこともあり、フランスでは今幼児教育改革が行われています。このような低い数値では、フランスの将来が危ないということでしょう。今まで、ただ少子化を防ごう、子どもを増やそうというスローガンのもと、経済効率を優先してきた付けが回ってきたことへの反省でしょうか。
フランスでは、このような経済効率化はいろいろな所にひずみを起こし、国民の心だけでなく、体にも栄養を及ぼし始め、その反省からいろいろなことに取り組み始めています。そのひとつに「食」があります。フランスは、食料自給率が100%を超える農業大国です。(ちなみに日本は40%以下で先進国で最低)しかし、フランスでは農薬を使っている農家の方々ががんなどの深刻な健康被害にあっていることが問題になっています。
そんな中で2006年からバルジャック村の給食センターはオーガニックを導入。有機栽培で育った食材、そしてなるべく地元の食材(地場産食品)を使った給食を、ガール県の公立校3校、私立1校、村の一人暮らしの高齢者を対象に200食を届けることになり、同時に、校庭の隅の小さな畑で子どもたちは野菜作りにチャレンジします。そんな試みにフランスの小さな村が立ち上がり、挑戦します。その1年間を追ったドキュメンタリー映画が「未来の食卓」です。先日、妻と二人で見に行きました。
この映画は、昨年11月にフランスで公開され、当初20館で上映が始まりました。公開後、見た人の口コミで広がり、56館まで拡大し、また映画を観た人が自分のライフスタイルにオーガニックを取り入れることを意識し始め、生徒の決定により食堂をオーガニック化した大学も現れるなど、社会的なムーブメントを起こしているそうです。この映画の冒頭で「人間の行動が病を生むのです。その最たる物が化学汚染です」と発言するシーンが出てきます。
日本では正確な数字はわからないとしていますが、日本農薬要覧によると、1年間で農薬26万590トン、うち殺虫剤は10万360.5トンが出荷数量として記録されているようです。この数字は耕地面積1haに対して撒かれる散布量を算出すると、世界2?3位だそうです。しかも、食料純輸入額の4兆600億円は世界ダントツ1位で、食料の60%を輸入に頼っているのが現状ですから、恐ろしくなりますね。
夏の間、ドイツのケストナー博物館では「食を巡る400年の歴史」(Zu Gast. 4000 Jahre Gastgewerbe)が開催されているようです。この展覧会では、400年前の食器やテーブルマナーからファストフードなど現代の食文化に至るまで、食に関する膨大な資料を通して、生命を維持し、文化を発展させてきた「食」の真髄を探るということで開催されています。また、外食する際に、味と同等、もしくはそれ以上に印象に残るのが接客サービスや食事環境ということからの観点の展示もあるようです。
どの国でも「食育」が盛んのようですが、フランスのように農薬使用の見直しとか、殺虫剤の散布の見直しとか、食料自給率向上とか、ムーブメントとしての具体的な運動に発展していかないのでしょうか。

食卓” への4件のコメント

  1. 無農薬・無肥料の自然農法で有名なリンゴ農家の木村秋則さんは、かつて農薬をふんだんに使っていた日々をこのように振り返っています。『リンゴ生産のために使用した農薬はダイホルタン、石灰ボルドー液などで、あの頃は手散布でした。季節は夏で暑いので、普通のジャンパーを着たり、古着を着て作業をします。すると、ちょうど顔や首筋、腕とか、長靴の上に農薬がかかります。超アルカリ性のやけどです。白く、ポツポツと出た後、皮がぺろりと全部とれてしまい、その痕が真っ赤になります。』昔は、栽培者が命がけで、農薬や殺菌剤を使って、病虫害防除をしていた時代があったのです。消費者はそれを知らずに食べていたわけです。怖いことです。「早寝早起き朝ごはん」の食育キャンペーンもいいですが、子どもたちの口に入る食べ物の安全性ももっと真剣に考えないといけないですね。

  2. 今回はフランスの話ということですが、「将来に対してどのくらい若者が自信を持っているか」の数値で、26%のフランスに対して日本が5%。あまりにも数字が違いすぎるので驚きましたが、危機感をもたなければいけないのは明らかに日本の方です。で、食に対して取り組み始めたフランスに対して日本はどうか。取り組みが甘いのが現状でしょうね。農薬問題や地産地消を取り上げて食を見直そうという取り組みをよく見かけますが、それも大切だと思いますが、食育基本法にもある「我が国の伝統のある優れた食文化、地域の特性を生かした食生活」を大切にする視点が抜けているような気がするのが少し残念なところです。

  3.  「未来の食卓」という映画は始めて聞きました。口コミで上映する映画館が増えたという事は、世間は食育にとても興味を持っているのですね。私はまだまだ食に関しては、あまり意識していません。とくにスーパーなどで野菜などを買い物をする際に、農薬の事など、考えてもいませんでした。また、キャベツなどに青虫が入っていると、つい汚いと感じてしまいますが、それは全くの逆ですね。日本が農作業に使う農薬の量がこれほどにも多いとは本当に驚きました。フランスのように農薬、殺虫剤の散布や自給率の向上などの面から改善していく事が、まずは最初の一歩なんですね。

  4. フランスの農地を飛行機の窓から眺めました。途轍もなく広大な農地です。農業生産に適した国土。そしてその国土を大切にしてきていることがわかります。食料自給率は100%を超え他国へも輸出しているとのことです。広大な農地の裏面には「深刻な健康被害」がある。おそらくこのことは大量に農薬を用いて農産物を大量に生産し国内外に大量に輸出している国全てに当てはまる現実かもしれません。「食料の60%を輸入に頼っているのが現状」・・・まことにもって「恐ろしくなります」。大量に農薬を用いた農産物をわが国まで船で運ぶ。かなりの時間がかかります。腐敗を防ぐために「防腐剤」が用いられています。何だかこうして考えて行くととても恐ろしくなります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です