ミマモリストの実践

ミマモリング=心を寄せること。

カグヤでは一緒に働き、一緒に生きる中で、お互いに心を寄せ、思いやることの大切さと、そこで生まれる感動や豊かさを大切にしたいと思っています。ただ仕事をするのではなく、自分の心の環境がそのまま仕事に表れるからこそ、「心を寄せること」を大切にしていきたい。そんな「ミマモリングを実践していく人々=ミマモリスト」の取り組みをご紹介いたします。

2017/08/16

「生産性や均一化の先に消えていくもの」

今月末に聴福庵近くの神社で行う「天神祭」
このお祭りに併せて聴福庵にはお客様がお泊り頂くことになりました。

その際のお食事に使われる「出汁」。

その一つに鰹節を削って取る「一番出汁」があります。

その鰹節について、今日は深めるため、
長野から戻り、築地市場に子どもたちと出向きました。

何かと話題の築地市場、最近では火事も起き、
場外市場の一部が燃えてしまっていました。

しかし、築地市場。。。

広いですね!!!

今は海外の観光客の方々のメッカになっています。

場内は撮影禁止ということで、カメラを持って歩くことはできません。

いくつかの鰹節の卸問屋さんをお邪魔し、
鰹節についてお話をお聴きすると、、、

皆さん、鰹節一筋で代々やってこられた方々だけあって、、、
熱いですね!!!(そりゃそうだ、、、)

鰹節とひとえに言っても

カツオを茹でて干したのみの「生利節(なまりぶし)」
それを燻製にした「荒節(あらぶし)」
荒節にカビをつけて水分を抜きながら発酵熟成を繰り返す
「本枯節(ほんかれぶし)」があります。

今回はこの「本枯節」についてお話をお聴きしました。

日本では「鹿児島県」「静岡県」「高知県」が鰹節の質として有名です。

理由は獲れるカツオの品質だそうです。

カツオ節に適していているカツオは赤身が多く身がしまっていて脂分の少ないもの。
脂分が多いカツオだと、熟成の段階で旨味が出しづらいそうです。

獲れるカツオ自体の品質が何よりも左右されるのが「かつお節」。

しかし、このかつお節の品質も時代の流れで随分と変わってきてしまったそうです。

明治初期、かつお節は鹿児島枕崎産のものが最も旨味が強く高級だったそうです。
しかし、静岡、高知の官民一体となった改良や対策により、
生産量と、品質のばらつきの差が少なくなり、
それから10年後に改良や対策に鹿児島の官民が取り組むまでの間に、
この二つの県との差は多きく開いてしまったそうです。

しかし、この品評会は最高級品を決めるのではなく、
県全体の品質(良いと悪いの差を減らす)ことが目的です。

なぜなら、その方が県全体としてのステータスや全体の売り上げが上がるからですね。

この取り組みのお陰で様々なものが失われていったといいます。

それをお聴きすると、悲しい顔でお話をされました。

「誰でも、簡単に品質の高いものをできるような行程」
「良いと悪いの品質差が少なくなるような工程」

これを追求するあまり、

「今まで最高級のものを作っていた本物の職人さんが持つ技術が採用されなくなった」
「手間暇がかかる生産工程が採用されなくなった」

ということです。

具体的には鹿児島のかつお節の長所の一つに
「煮る前に捌いて、骨抜きをする」ということがありました。

これが、静岡、高知の生産工程を真似、
煮てから捌くようにしてしまったおかげでなくなりました。

これによって、今まで必要だった
「新鮮なカツオを見分ける目利き」
「新鮮なカツオを扱う技術」
「生の状態で皮を剥いだり、おろしていく技術」
「個性を生かした働き方」
がいらなくなったといいます。

これは、カグヤの仕事でいえば
「お客様の今に寄り添う心」がなくなることであり、
「お客様に寄り添う環境」がなくなることであり
「体験から振り返り改善していくこと」
「その人らしさで貢献していくこと」がなくなることでもあるかもしれません。

一斉画一で均一を求めるがあまり、
個々の状態を見極める力や
個々に寄り添う力、
それを積み重ねて磨いていく体験
自分らしさを生かしていくことをなくしていく。

結果、最低基準は上がっていきますが、
最高基準は下がり、全体としては下降の一途を歩みます。

これは仕事でも保育でも共通することなのかもしれません。

こうやって、文化が継承されなくなってきている現状の中、
この「技術」と「体験」がモノをいうかつお節づくりは
衰退の道を歩んできたといいます。

鹿児島県ではその本物の技術と体験を駆使して作る
「薩摩型本節」という作り方を残そうとする人たちは
年々減少し、2010年にはあと一人というところまで来てしまいました。

http://www.fushitaka.com/satsuma.html

あれから7年、今もまだ一人つくり続けていらっしゃるそうです。

http://www.fushitaka.com/katsuo7.html

この方が作ったかつお節はとお聞きすると、あまりに貴重であるため、数が少なく、
今はインターネット販売もしているため、店頭とインターネットと両方で販売すると
知らぬうちに在庫がなくなっていたなど、在庫管理が難しくなるため、
現在はインターネットでしか販売していないとのことで
見ることはできませんでした。

また、現在では日本で一人しか作ることができないため、
値段も高いと店主はおっしゃいます。

しかし同時に、この技術を継承していくためには
この人のかつお節が年間で1万本売れないと難しいとおっしゃいます。

2本で7000円ということは、
売上高で一万本というと3500万の計算です。

奄美大島の漁師による一本釣りの一級品のカツオを一万本入手する材料費。
それを加工するためにかかる経費。

どれをとっても、確かに最低限それくらいは必要になってくるのだと感じます。

かつお節を家庭で削るという文化がすでに衰退してきている現代。
価格競争ばかりでコストカットを進める店舗ばかりの現代。

そんな中では、これは簡単なことではありません。

しかし、そんな世の中だからこそ、「本物」を求めてくる方々も
いらっしゃるようです。

「良いもの」を作っていても、それが世の中に知られる機会がなければ
広まったりしていくことはありません。

今回もこのことを教えてもらったきっかけは、HPという媒体を通じて
築地に訪問するきっかけを頂きました。

どんな仕事も、世の中に発信して行くこと抜きには伝わっていかないからこそ、
口頭や協働、媒体を通じた実践発信、様々な形で発信をしていくことを
私たちも大切にしていきたいと思います。

ミマモリスト
眞田 海