上海報告8

私は以前中国に行ったことが4度ほどあります。香港、上海、広州、南京あたりです。その時は、どの回も基本的には観光ではなく、教育事情視察で、しかし随分と前のことですので、だいぶ今回と印象が違います。まず、町の中で印象的なのは、自転車が多かったという印象ですが、今回は、特に上海ということもあって、自転車に乗っている人はほとんど見ず、自転車レーンではなく、バイクレーンが設置されているほどバイクをよく見かけます。もちろん、車も多いのですが。また、以前行った時にはまだ海外からの視察は、政府によって決められた場所の見学、決めた店舗での買い物、決められた紙幣のみの使用が許可されたものでした。ですから、一般庶民の生活はあまり見ることは自由にできませんでした。

今回も日程的な事情で観光は基本的にはできませんでしたが、それでも地下鉄に乗り、タクシーに乗り、街を歩きました。中山さんと邨橋君はリニアモーターカーにも乗ったそうです。この上海リニアモーターカーは、日本でも今試運転中ですが、上海では、2001年に建設が開始され、2004年に正式営業を開始したそうです。最高速度は431km/hで商業ベースの路線では世界一の速さを誇っているそうです。区間は、私たちが利用した「上海浦東(プードン)国際空港」と市街側にある「龍陽路駅(竜陽路)」までの約30kmで、その間をノンストップで、8分で行くそうです。料金は、片道50元(860円ほど)です。8分にしては高いですね。しかもそんなに短い区間でもいわゆるグリーン車は、100元もします。ちなみに地下鉄は、普通のチケットは、1回のみで3元〜で、1日パス(24時間乗り放題)は18元です。

23日の講演の日には、ホテルまで車で迎えに来てもらい、研修会場である「Freesoul幼稚園に向かいました。この園は、モンテソリ教育を実施している幼稚園で、入学年齢は、IC混合年齢(18ヶ月〜3歳)とCASA年齢クラス(3-6歳)で構成されています。定員はよくわかりませんが、確か5~60人といった気がします。この園についてまずびっくりしたのが、その建物です。園のHPに書かれてある「ヨーロッパの古典建築と自然の組み合わせは、宮殿風の宮殿様式の子どもの家」そのままでした。そのゲートをくぐると、今回の研修会の看板があり、面白いのは、その看板に、参加者がサインをすることです。その形式は中国の研修会ではどこでもやるのかわかりませんが、面白いですね。

そして、講演会場に案内されました。そこには、参加者が100~200名くらいがすでに座っていました。舞台の上には、今回のテーマである「食育」についてのスライドが投影されていました。今回、私は食育について話すことを頼まれたのですが、その内容について迷っていました。なぜなら、たとえば、食育についての取り組み事例や、安全食品の大切さなどを中国で話してみたところ、なんだか聞く人は興味を持たないでしょうし、本当は、私が提案する「見守る保育」について話をしたいと思っていたからです。ということで、直前になって考えたのが、“「与えられる」から「自分から」Mimamoru Approach”というタイトルで話をすることでした。その内容として、「子どもの心と体の健康は、栄養を子どもの体に注入することではなく、自ら食べる、自ら選ぶ、自ら表現をするといった行為によってもたらされることがわかっています。それは、今後求められる子どもたちの力と関係しています。

食は、生きる力の基礎となるのです。」というものにしました。

上海報告7

私の上海行の飛行機は先方がとってくれたのですが、往復で買うため、帰りが羽田空港着便は中国東方航空しかないために、関西国際空港から上海までの飛行機も中国東方航空の便でした。行きは、ビジネスクラスをとってくれたのですが、エコノミークラスと大差はなく、CAはすべて中国語で話しかけられますので、昼食のメニューもよくわかりませんでした。なんとなくチキンヌードルらしき発音があったため、それにしてもらいました。唯一ビジネスらしいのは、おやつに焼き鳥が出たことくらいです。まあ、飛行時間は、1時間15分ですので、国内の飛行時間よりも短いくらいでした。

到着後イミグレ前にカウンターで入国カードを記入したのですが、困った欄が、滞在住所です。ホテルは先方がとってくれてあり、住所などはわかりようがありません。まあ、相手はどうせわからないだろうと、適当に上海ホテルと書いておきました。その後、また長い列に並び、やっと審査を受け、今度は難なく通過できたました。どうも、中国では、このカードがあれば、ほとんど質問はないそうです。無言で通してくれます。その点は楽なのですが。

イミグレでカードをもらって記入したことは、出国の時にも困った状況が起きました。それは、機内でそのカードををもらうと、入国カードと出国カードはミシン目でつながっていて、出国の時には、その半分の出国カードを出すことがわかるのですが、私はイミグレの時にカウンターにおいてあるカードに記入したので、出国の時にもカードが必要であることがわからず、入国の時と同じように、長い列を並んでやっとたどり着いたにもかかわらず無言ではねられてしまったのです。今度は、「外国人出境卡」のカードへの記入です。また、カウンターでそのカードを手に入れ、記入しました。また、長い列を並ばないといけないのですが、帰りになると少し度胸がつくのか、係員に、今まで長い列を並んでいたということをなんとか話し、今度は特別に政府高官の通過する場所で通過させてもらいました。出入国の際はツアーでもなく、仲間がいるわけでもなく、全く一人だったので、まあ、ある意味では、一人旅の面白さというか、思い出になりますね。

そんな思いをしてやっと上海に入国してところで、中山さんが待っていてくれました。しかし、1時間も前に出た邨橋君がいません。中山さんに聞いてみると、私と一緒に来るものと思っていたそうで、まだ、落ち合っていないそうです。周りを探しても見当たりません。しかも、中国の方で今回いろいろとお世話になる方も迎えに来てくれることでしたが、見当たりません。連絡しようにも、中山さんに携帯は充電が切れてつながりません。1時間くらい待ったのですが、落ち合うことができません。そこで、もしかしたら邨橋君は、ANAで来ているので、その到着ゲートの方に行ってみることにしました。ここで、また中国らしさを体験します。違う航空会社に移動するたびに、荷物チェックをするのです。鞄をX線に通過させ、ポケットのものを全部出さなければならないのです。

すったもんだあったのですが、結局、3人はほどなく出会うことができました。しかし、現地で迎えに来てくれるはずのロンさんとは連絡がつかないため、とりあえず私たちだけで地下鉄でホテルの近くまで行き、そこからタクシーに乗ることにしました。

 

上海報告6

私は海外に行くときには、Wi-Fiを借りていきます。最近は、どの国でもネット環境がよくなり、ホテルの中はもちろん、飛行機の中でもできるようになりました。しかし、それが不安定であったり、外に出るとつながらないこともあって、海外用Wi-Fiをレンタルして持っていくことにしています。今回、上海にも借りていくように予約をしておきました。すると、直前になって、中国渡航者に対して注意事項がメールできました。それは、2017年6月に施行されたサイバーセキュリティー法により規制が厳しくなり、さらに今年の4月に入り、より規制が厳しくなって、SNS(LINE,twitter,facebookなど)やグーグルサービス(Gmail,YouTubeなど)などの殆どは規制されていて見る事が出来ないと言うのです。

ということで、中国で海外のサイトを閲覧する場合やSNSサービスを使う場合は、VPNが必須だと言うのです。

しかし、VPNがなんだかわかりません。調べてみると、Virtual Private Network(バーチャル プライベート ネットワーク)のことで、仮想プライベートネットワーク、仮想専用線とも呼ばれています。インターネットとは本来、公衆網で、プライベートネットワークを拡張する技術、およびそのネットワークなのです。それがVPNによって、イントラネットなどのプライベートネットワークが、本来公的なネットワークであるインターネットに跨って、まるで各プライベートネットワーク間が専用線で接続されているかのような、機能的、セキュリティ的、管理上のポリシーの恩恵などが、管理者や利用者に対し実現されるというのです。すなわち、これを使えば、日本やアメリカなど外国のIPアドレスを取得することができます。その結果、中国にあるパソコン(スマホ・タブレット)が外国のパソコン(スマホ・タブレット)として認識されるので、検閲に引っかからないという仕組みです。

そこで、中国に行くときは、VPN機能が付加されたWi-Fiを借りる必要があるのです。

このように、中国ならではのルールがいくつかあります。私が、まず戸惑ったのは、中国への入国、中国からの出国審査の時に必要な書類があるということです。いつもドイツに行くときには、入国の時にはパスポートともしかしたら飛行機の搭乗券を見せます。たまに質問されることがあるので、それにはドキドキします。英語で聞かれ、英語で答えないといけないからです。その内容は、どの都市に行くのか?目的は?何日間滞在するのか?というようなことです。全く聞かれないこともありますが、基本的にはそのようなことです。

中国に入国するときにも、そのようだと思い、並んでやっと審査員の前に行くと、ダメ!と指で拒否されます。なぜだかよくわかりません。そこで、一応どうしてかと食い下がってみると、書類が必要なので、それを書いても持ってくるようにというのです。中国に入国する際は、どうも「外国人入境卡」というカードへの記入が必要なようです。どうもこのカードは、機内で配られるのですが、私の乗った飛行機は、中国東方航空なので、乗客は中国人が多く、出入国カードを配りにきたCAさんが日本人客と気づかず通り過ぎてしまったようです。それは、出入国カードは中国人はいらないからです。

そこで、イミグレーション前のカウンターで受け取って記入します。また、その内容が難儀でした。

上海報告5

今回訪れた1園目のFortune Kindergarten内にある日本語部の「上海ふたば幼稚園」の園長先生から、中国における幼児教育の現状のお話を伺ったそうです。栗田代表の中国教育進歩のイメージは、

赤線が日本の教育の進歩ならば、黒線は中国。突然進歩するのが中国という話でした。そして、中国は大きいのが好き。したがって木も切らないので、以前園内の木を切ったら怒られたそうです。また、中国は良くも悪くも政府の力が強く、政府の一声ですぐに新しい政策ができたり、あるいは廃止になったりするので、それについていくのは大変だということでした。例えば、体育は幼稚園では重要視されていなかったのに、今は重要となったりしているそうです。

また、ふたば幼稚園の周りには1部屋1億元(約20億円)を超えるマンションがたくさんあり、もともとこのあたりに土地を持っていた地元の人は、その土地を譲渡する見返りにマンションの部屋を家族ごとにもらい、それを売却した人は裕福になったそうです。そして、不動産は2002年から約10倍の価格になっているそうです。その中で、日本人が4大を出ていてもVISAを取るのが難しくなってきているそうです。現在、上海で認可が取得できている就学児未満の日本人学校は2校のみだそうです。中国はまだまだ学歴社会ですので、園の評価はどれだけ良い小学校に入れるかということのようです。そのためか、中国は幼稚園が主流で保育園はまだ少ないそうです。

アメリカのリビングストーンというインターナショナルプリスクールも日本語部をやっていて、現在園児は200名を越えているそうです。中国のインターナショナル幼稚園のスタッフは分業方式をとっていて、外国人先生、中国人先生、世話係先生(主に、排泄、給仕、午睡等を担当)と分かれて子どもの相手をしているそうです。外国人先生と中国人先生はあくまで教育に特化するような構造であり、一方、世話係先生は保育に特化しています。このあたりの事情は、アメリカにおけるティーチャーとケアギヴァーに分かれているのと同じようですね。栗田代表の話では、保育園の文化がそこまで浸透していないせいか、保育を担当する世話係先生の地位は決して高くなく、家庭のお手伝いさん的な位置づけだそうです。

中国では、今必死になって世界から保育専門家を呼んで、いろいろと保育を勉強しているようです。その中で、とくにイギリスに興味を持っているようで、イギリスの研究者が多く講演をしています。日本からは、立川になるふじ幼稚園の加藤園長先生が多く講演をしているそうです。今回、「2018上海国際幼児教育会議」の中で、21日に中山さんが「見守る保育」について話をすることになったのです。内容としては、「見守る10か条」について話をしたそうで、会場から随分と反響があったそうです。

上海報告4

中山さんと水野さんが「上海ふたば幼稚園」を訪問した日には、「フルーツパーラー屋」さんに見立てたスペースで、お楽しみ会を実施していたそうです。そこで、二人も参加したそうです。園児は、フルーツパーラー屋さんにいるような疑似体験。ここでも、子どもが何を食べたいか選べるようなセミバイキング方式をとっていたようです。

右写真:カイコを育てている

 

この園では、登園後はすぐに医者のチェックが行われ、赤の斑点が一つあるだけでも帰らされるとのこと。手足口病も、田舎で数人の死者が出た報告を受け、上海のような都心部も含め、全国一律で発見次第すぐ帰宅という方針となったそうです。

感染症の疑い、体調が悪い子等は、通常口とは別にある特別ルートを通って帰らせられる。

2園目の訪問先は、Xiehe Kindergartenです。園長先生が対応をしてくれました。

この園は、2歳児以上の幼稚園です。この園には、「見守る」と通ずるポリシーはいくつかあったそうです。例えば、自由遊びは子どもの主体性を重要視しています。

中国の場合、①の教育要領の重要性が80%を占めており、各園の独自色を出せるのは②と③の20%のみ。

当園は4クラス混合の計14クラスで、先生がリードするのは学習面で、言葉、算数、生活、英語、音楽等を1回20分~30分行います。

図書スペースには多くの本があり、ITで貸し出し管理をしていました。左は図書室。右は、図書の貸し出し管理をする最新の機器。

コーナー遊びは子ども主体です。多くの大型什器がセットされています。

右写真:スーパーマーケットのようなセットアップになっているコーナー
左写真:制作したブロック作品をそのまま展示できるコーナー

左写真:世話係の先生が給仕。右写真:昼食

3園目の訪問園は、Fortune Kindergartenです。対応してくださったのでは、外国人向け園長のChristineさんと、中国人向け園長のAnna Miaoさんでした。この園の月謝は、14,300元(約30万円)で、内訳は、教育費12,500元(近い将来に13,000元を越える予定)でバス代が1,150元、給食代が650元です。月謝は決して安くはありませんが、それでも地元の中国人もここFortune Kindergartenに入れたがるそうです。理由は、今の中国の小さい子どもの親世代は、自身の過去につらい中国教育を体験しているために、子どもは同じ道を通らいないようにしたいという願いが強いためだと言っていました

数年前までは4人に一人ぐらいの割合で日本人の子どもも当インターナショナルスクールに通園していたそうですが、最近はだいぶ減ったそうです。理由は、月謝の高騰。日本企業はそこまで月謝の負担をすることができなくなっているそうです。それでも現在、ウェイティングリストに収まらない数の人が待機中だと言っていました。そして、体操はプロの先生が来て教えていたそうです。上海に1年しか滞在予定がない日本人家族がFortune Kindergartenに入園したいと言ったら断るそうですが、その理由は、子どもにとっての負担が大きいためだと言っていました。左写真:タッチパネル式の最新IT機器で効果的に文字を習っているとのこと。

今回上海で訪れた園は、Xiehe Education(共和教育)という法人立の園です。この法人では、学校数が44、生徒数20,000人(内4,000人が外国籍)、教師数は、3,000人(内480人が外国籍)いるそうです。学校の種類として、Xiehe Kindergarten(幼稚園部)、Fortune Kindergarten(インターナショナルプリスクール)、Shanghai United International School(インターナショナルスクール)、Team Awesome International Youth Club(K12の課外活動スクール)を運営しています。そのなかで、今回訪問した園は、Xiehe Kindergarten(幼稚園部)とFortune Kindergarten(インターナショナルプリスクール)でした。

上海報告3

上海に行く段取りを整え、後は当日どのような話をするかを準備するだけことになったら、先方から次のようなメールが来ました。

「まず、4月19、20、21日のホテルは、上海兴荣温德姆至尊豪廷酒店 (Wyndham Grand Plaza Royale Oriental Shanghai)になります。次に、4月22、23日のホテルは、上海证大美爵酒店 (Grand Mercure Shanghai Century Park) になります。主催側からは、中山副園長のご講演を4月21日のにアレンジしております、11:30~12:30になります。日本語でご講演して頂いて、わたくしの方から同時通訳を行わせていただきます。(今回の会議の全体的スケジュールはこちらになります http://a.xiumi.us/board/v5/2NhEr/80761895?from=timeline&isappinstalled=0)」

そして、私には、「今回上海へ航空便についてのご相談ですが、藤森先生がご希望した15:55発のNH975(大阪→上海)と帰りのMU539(上海→東京)が往復のフライトではないため、行きのエコノミークラスでも15万円以上にかかるため、主催側から16:55発のMU748(大阪→上海)のビジネスクラスに変更させ、帰りはMU539(上海→東京)のエコノミークラスに変更させて頂きたいというお願いが来ております。ご迷惑をお掛けして、ご検討をよろしくお願いいたします。」

ということは、まず中山さんの講演は21日ということになり、水野さんは20日滞在しか無理なので、行っても講演の助手はできません。しかし、すでに手配済みのため、せっかくなので、予定通り行ってもらい、20日は、上海に「見守る保育」を実践している園(日本人経営)があるので、そこに訪問することにしてもらいました。

私は仕方ないので、邨橋君とは別の便で、予定より1時間遅れで上海に行くことにしました。ということは、上海空港で、私と中山さんと邨橋君と3人は別々の行動で、現地で落ち合うことにしたのです。

とりあえず、先に行っていた中山さんと水野さんが、現地の保育園を視察して、その報告を水野さんがしていますので、本人の承諾を得てその報告書を紹介します。

訪問日:2018年4月20日(金)

【訪問園1】Fortune Kindergarten内にある日本語部の「上海ふたば幼稚園」

この園は、2019年3月末をもって園を閉じることになっているそうです。現在年長に23人(定員24人)、職員は5名、月謝は6,000元(約120,000円)です。

このふたば幼稚園にくる保護者の狙いの一つとしては、上海に来ていきなりインターナショナルスクール等に入園させると心を閉ざす子もいるので、そういった子は当幼稚園に入園することで心の負担を軽減することができるということを考えてだそうです。

栗田園長が新宿せいがを訪問して、「見守る」をできるところから導入していったそうです。例えば異年齢保育は、栗田代表自らが周りを押し切って導入したそうです。幼稚園ということで難しいところもあったが、結果的に導入して良かったと言っていました。また、人工知能よりも大工を重視するような発想の教育を展開。そのために、園児が、一人ひとりのこぎりで木を切る作業も実施しています。

上海報告2

何回かの上海とのやり取りの中で、最終的には23日に私が話をすることになり、助手として副園長の中山さんについていってもらうことになりました。その旨を先方に伝えたところ、こんな返事がきました。現地との調整をしてくださっているのは、中国国際教育協会の戎(ロン)さんで、現在は日本の筑波大に所属しています。

「まず、4月23日午前9:30〜11:00の時間帯にご講演していただくことが決まりました為、お知らせいたします。当日は私の方から逐次通訳を致しますので、実際に1時間程度のご講演内容を準備して頂ければと助かります。謝礼を、中国へ渡航する前にお渡しさせていただきます。なお、藤森園長様の航空券は、主催側で予約致しますが、中山副園長様の航空券のご手配は後日でご自身で予約しても主催側に取って頂いて、後日に清算しても大丈夫だと思います。また、4月19日〜21日の上海国際幼児教育年会の方に関して、ご相談させていただきたいことがございます。4月20日のほうが講演の聴講者が23日より圧倒的に多い為、藤森園長様が長年に渡って実践してきた見守る保育を紹介する良いチャンスと考えております。ただ、主催側に対して、予算がある為、恐らく中山副園長様の航空券とご講演費用を負担しかねますので、今少なくともホテル代金を払ってもらうようにお願いしております。藤森園長様のお考えはいかがでしょうか?」

そこで、せっかくの機会ですので、中山さんには19日から24日まで上海に滞在してもらい、私は22日夕方、宇和島から上海に行って、そこで合流することにしました。その予定で行くと、私の講演の時には中山さんに一緒にいてもらえて心強いのですが、中山さんの講演の時には一人では心細いだろうということで、私の園に、高校までニュージーランドにいて、大学を出てから様々に起業をしている水野さんという職員がいるので、彼が一緒に上海に行ってくれるということになりました。しかし、彼は、19日は園の新人歓迎会(彼は今年2月に園に就職したので)に夜まであり、21日は用があるので、随分とハードなスケジュールになってしまいました。結果、こんなスケジュールになりました。

私:4月22日(日)4月22日(日)15:55関空発 17:10上海着4月24日(火)13:05上海発 16:45羽田着、中山さん:4月19日(木)18:30羽田発 20:35上海着 4月24日(火)17:05上海発 21:00成田着、水野さん:4月20日 02:45羽田発 05:00上海着4月21日01:10上海発 05:05羽田着

このスケジュールを見ると、3人バラバラですが、中でも水野さんの動きが半端ではありません。さすが、外資系の会社にいただけあって、0泊2日の日程は私たちには考えられませんが、その段取りで手配をしました。また、最近私は出張の時には体調のこともあって、皆が心配してくれて助手をつけてくれます。(現在、特に悪いところはないのですが)今回、宇和島には、助手が一緒に行くのですが、彼は次の日には園で用があるので一緒に上海には行けません。そこで、松山空港で別れて、その後は一人で行くことにしました。しかし、職員が心配して、元職員で、現在大阪である子ども園の副園長そしている邨橋君に、私の助手を頼んでくれました。そこで、彼に関空から私の助手として一緒に行ってもらうことになり、予定の飛行機の便を教え、同じ便を予約してもらいました。これでとりあえず一件落着と思いきや、またもや変更がありました。

 

上海報告1

今回は、事後報告となります。

昨年5月に、上海から日本の保育の見学にきました。その日程の中で、あるGT園に見学に行ったそうです。その時に、中国では日本の保育に興味をもっている人が多いので、上海に来て日本の保育を紹介してもらえないかという話がその園の園長先生にあったそうです。この会は、「2018上海国際幼児教育会議」という、4月19日から21日まで開催する研究大会です。この年次総会には、海外からゲストを招待して、海外の就学前教育を紹介するという会で、参加者は3000人くらいあるそうです。

主催は、「中国教育国際交流協会と上海モンテソリ投資管理有限公司」で、会場は「Freesoul幼稚園(モンテソリ教育を実施している幼稚園)」だそうです。

http://index.freesoul-school.com/s/tcb3o8#slider「2018上海国際幼教会」という大会では、イギリスの数学前教育についてと、日本の就学前教育についての紹介をするそうです。見学を受けたGT園の園長先生は、講演は無理なので、私にお願いをしたらどうかと私の園を紹介してくれました。そこで、先方から依頼の電話がありました。しかし、その大会の日程に私は宇和島で講演することになっていました。宇和島も昨年、日程が合わずに代わりに副園長に行ってもらっていたので、今回は変更できませんので、私から、「4月23日であれば私は可能ですが、もし日程調整ができなければ、私の園の副園長である中山利彦であれば、伺って話すことは可能です。」と返事を差し上げました。

その返事で、「私も藤森さんが書いた本を読ませて頂きました。ぜひ中国の幼児教育分野の大勢の園長や先生たちに、藤森園長のメソッドをご紹介して頂ければ幸いでございます。

また、日程ですが、4月20日に副園長である中山様にご講演して頂きたいですが、ご都合はいかがですか?」ということで、副園長の中山さんに参加のお願いをしまいした。

ここから、エキサイティングに話が展開していきます。

すると、次のような返事がきました。「度々誠に申し訳ありませんが、上海国際幼児年会(以下SIEE)の主催側に連絡したところ、どうしても藤森園長様ご本人に講演して頂きたい為に、23日にSIEEが閉会後に、自然教育と食育に興味関心のある方々に、自然教育と食育フォーラムを開催する予定です。そこで、藤森園長さんに食育に関して、ご講演して頂きたいと思っております。ご検討をよろしくお願い致します。」そこで、急いで、私が23日に上海に行けるかを調べたところ、22日の朝宇和島を出て、松山に行き、そこから飛行機で伊丹空港に行き、電車で関西国際空港に行き、そこから16時55分発、上海浦東国際空港18時40分着で行けることがわかり、講演依頼を受けることにしました。

講演の詳細は、「講演時間は、4月23日の午前中になります。詳細は決まり次第にすぐご連絡いたします。

主催側:中国教育国際交流協会と上海モンテソリ投資管理有限公司

場所は: Freesoul幼稚園(モンテソリ教育を実施している幼稚園)

http://index.freesoul-school.com/s/tcb3o8#slider

住所:上海市浦東新区雲山路1988号」ということで落ち着いたかに思い、その準備を始めようとしたのです。

融合

ある傾向、たとえば、青年男性の暴力が、進化的な考察をもとにすると「自然」であったとしても、その傾向が道徳的に「よい」とか必然的であるわけではありません。現代文化における子どもの発達についていえば、学校教育は「進化によるメカニズムが必ずしも適応的ではない」最たる例かもしれないとビョークランドは言っています。進化発達心理学の観点からすると、私たちの祖先が決して直面することのなかった課題を教えるという点で、学校で子どもに教えることの多くは「不自然」であるからです。そして、行動の「正常な」個人差、活動レベルの高い子どもが示す行動などであっても、現代の環境ではとりわけ不適応になってしまうものもあるのだと言うのです。

発達心理学は、進化論が主要な役割を果たした19世紀後半の生物学の考え方に端を発しているそうです。進化論は20世紀の大半にわたって主流の発達的な説明からは姿を消しましたが、主として、通常ヒトより下等な哺乳類や鳥といった種を研究した発達心理生物学者の考えの中で生き続けてきたそうです。進化論は復活し、学会でも、自然淘汰や進化による心理的メカニズム、大型類人猿との共通点についての考えを公言できるようになり、また真剣に受けとめられるようになりました。

発達心理学者はこの流れに少し乗り遅れていたと言います。その一因はこの分野の歴史と主題にあるとビョークランドは考えています。主流の進化心理学者は、一見して適切な環境的文脈が与えられた成人に現れる「ダーウイン的アルゴリズム」を論じていたため、発達を考慮する必要性はほとんどないように思えたのです。それは生物学的進化の有力な説明、つまり現代の総合説においても同じであり、基本的に個体発生が系統発生に影響を与える余地はないとされてきました。しかし、発達学者は新生得主義、行動遺伝学などの独自の理論を生み出し、また、進化における個体発生の役割に注目する者は、暗黙的あるいは明示的に進化に関する仮説を組み入れていきました。しかし、これらの理論家は必ずしも進化や個体発生の過程を同じように考えていたわけではなく、統一された発達理論は出てきそうにありませんでした。

時代思潮は変わり、個体発生の進化にもとづく理論の可能性を考える発達心理学者が増えつつあり、その一員であることをビョークランドは嬉しく思っていると言っています。そして、この考えは、発達を真剣に考えるすべての人に広がっていくことだろうと言うのです。現在重視されている発達の進化的な説明が次第に消えていくこともありえますがビョークランドらはそうならないと考えていると言います。実験を行い、理論を立てる上で進化を重視する研究者が多くなるにつれて、発達の説明における進化の役割は時間と共に必ずや変化していくだろうと言います。しかし、現代の生物学の基礎となっている理論は、現代の心理学や発達心理学の基礎にもなるはずであり、それがすぐに過去のものになってしまうことはないと信じていると言います。

ビョークランドは、もともと発達心理学者です。子どもが受精し出生して、大人になり、そして年を経て死に至ります。その過程での変化を強調するのが発達心理学です。それに対して、進化論に基づき、淘汰の過程を成熟個体が子孫を残すことを通して自らの遺伝子を伝えるところに求めるのが進化心理学です。その二つを融合しようとしたのが進化発達心理学です。それは、それぞれの主流の考え方には、あまりにも争点が多いからだと言います。今後もこのような融合された視点から育児、保育を考えていく必要があると思っています。

進化適応の環境

遊びによって運動と、自分の現在の環境に関する知識が得られ、社会的階層を確立し、コホートにおける「自分の立場」を学習するための安全な場として遊びは機能します。子ども期が長くなったことによって、子どもは複雑な成人の社会的集団における生活を学習し、準備をする時間を得ることができるのは明らかだと言います。しかし、生殖可能な成人として生きる助けとなる経験を子どもに与えたとしても、子どもが乳児期、子ども期をうまく乗り越えられなければ何の役にも立ちません。進化は子ども、そして他の種の幼体に、未来の環境に向けて準備するためだけではなく、その直接的な環境にうまく適応していくための多くの特徴を与えてきたとビョークランドらは、提起しています。また遊びの他にも新生児模倣や自分の能力の過大評価など、いくつかの社会、認知的な現象も、成人としての質的に異なる生活の準備をするためではなく、主として乳幼児が個体発生のある特定の時期に適応するために機能する可能性があると彼らは考えています。

子どもらがとる行動には、そのような意味があるとしたら、唐突ですが、私は子どもが持つ愛着という行為も、同様だと考えます。愛着というものは、子どもたちが、将来、複雑な成人の社会的集団における生活のために必要なものであり、同時に、乳幼児が個体発生のある特定の時期に適応するために機能する可能性があると思えるのです。

進化心理学の基本理念によれば、進化したのは領域固有の情報処理プログラムであり、私たちの祖先が進化適応の環境で繰り返し直面してきた比較的特殊な問題に対処するために淘汰されてきたと考えられます。心は広範囲の問題に等しく十分に応用できる多目的の装置ではなく、一連の独立し、特殊化したモジュールから成っているというのです。発達学者の視点からいえば、乳児はある情報を他のものより容易に処理し、学習するよう「準備」して生まれてきて、その準備は子ども期から青年期にわたって社会的、認知的発達をとげるための土台として役立ちます。モジュールは、とりわけ物理的な知識である物の永続性、数学、言心の理論について提起されてきたのです。

主流の進化心理学のいう領域固有のメカニズムの重要性について、ビョークランドらは基本的に同意していますが、次のようにも考えていると言います。つまり、ヒトには領域一般の能力があり、その能力は系統発生を経て淘汰されてきており、個体発生の過程で領域固有のメカニズムと相互作用するのであると考えます。当然ながら、単一の領域一般のメカニズムで、すべての学習や認知を説明できるとは考えていないと言います。しかし、多くの課題成績に影響を与えるいくつかの領域一般のメカニズムであるワーキングメモリ容量、処理速度があり、そのメカニズムが進化の過程で淘汰圧を受けたと彼らは提起しています。この提起は現存するデータを説明するように思われ、どのような進化心理学理論であれ、これを検討することなくして十分明確なものとはいえないと言うのです。

社会的、行動的、認知的傾向のなかには、先史時代の祖先に適応的であったというだけで、それが現代のヒトに適応的であるわけではないものもあります。同様にある傾向、たとえば、青年男性の暴力が、進化的な考察をもとにすると「自然」であったとしても、その傾向が道徳的に「よい」とか必然的であるわけではありません。