ドイツ報告4

どの国でも同じですが、いくらいいと言っても、どの園においても円満な「オープン園」への移行が行われたということはありえません。程度の差はあっても、さまざまな障害や困難、職員同士のぶつかり合いが待ち受けていたそうです。以前のドイツの園では、ひとクラス複数担任制で3歳から6歳の異年齢児25名を常時2人の先生でみていました。しかし、ドイツの幼稚園の開園時間は午前7時から午後5時までであるため、クラス担当の先生は、3名ないし4名でのシフト制をとっています。当時クラス活動は、ほとんどドアが閉鎖された状態でなされており保育内容についてはクラス内の担任同士で相談し、分担しあっていました。遠足についてはクラス単位での活動が主で、一例としては、ひとクラス全員で動物園に遠足に行き、別のクラスは川遊びに行くという具合だったそうです。2つのクラスが一緒に遊ぶ機会は、庭で遊ぶ時のみでした。

このクラス別活動形態が徐々に変わってきました。「オープン園」に移行する決断を園長が下し、職員全体での「オープン園」移行へ向けての研修を行います。オープンスタイルにスムーズに移行するためには、まず大人側の発想の転換が必須だからです。従来の保育方法に慣れている先生たちは、最初は「すべての子どもを把握するなど不可能」という反応を示したそうです。さらに次々と露呈してくる疑問や困難を職員全体で乗り越える協力体制を作っていかなければなりません。

まず、注目したのは、がらんとしていた廊下スペースです。庭だけではなく、廊下が両クラスの子どもたちが出会う場所となるように、左右に積み木ゾーンと、読書コーナーを作りました。次に改革したのは担任制のとりやめでした。先生の持ち場と持ち時間は週案により、月曜日に決めることにしました。さらにその際に、それぞれの先生の持ち寄る保育内容についても話し合います。毎朝全員の子どもたちが「朝のお集まり」として多目的室に集合します。その最後に数名の担当の先生がその日の設定保育について紹介します。この時に製作や、体操に内容が偏らないように、予め各自の保育内容を月曜日に申告しておきます。毎日複数の設定保育が提案できるように調整されているのです。

朝のお集まり時に設定保育を紹介された子どもたちは、自分のしたい製作や、遊びを選んで、担当の先生とともに、場所を移動することとなります。遠足やお散歩については、希望者のみでの移動となり保護者に対して個別の連絡など煩雑になることも多いのですが、あくまで子どもの希望に応じて実行されます。

園での大人の動線が軌道に乗ってきた頃、今度は子どもたち全員が園内で自由に動きまわれるようになります。自由遊び時間には、子どもたちは、幼稚園内であれば、どこで誰とどのぐらい遊んでもいいのです。この変化に伴って、クラスのドアは常に開かれた状態となりました。

さらなる改革は、保育室の模様替えです。従来は、ごっこ遊び、お絵かき製作、ボードゲームなどのそれぞれのコーナーが各保育室に配置されていましたが、子どもたちの動きを観察して、二つの部屋に同じ目的のゾーンは不必要であることが明らかになってきました。そのため一方の部屋には、ごっこ遊びとボードゲームコーナーを、もう一方には製作コーナー、ごろごろゆっくり過ごすコーナーと、それぞれの部屋に特徴をもたせることにしました。

ここまでの改革には数年かかったそうです。

上海報告11

豫園から少し歩くと川べりに出ることがわかりました。大雨でしたが、せっかくなので、そこに行って上海タワーを見ようということになりました。上海タワーは、2016年に完工した中国で一番高い超高層ビルで、ドバイのブルジュハリファ(高さはなんと828m)に次ぐ世界第2位の高さを誇ります。ですから、大雨のこの夜は、たぶん雲に隠れて見えないだろうとは思いましたが足をびしょびしょにしながら川をめがけて歩きました。

上海タワーの延床面積は433954平方メートルで階数は128階、最頂部高さ632m、構造物の高さ580mです。(塔も含む建造物全体では、2m高い東京スカイツリーに次ぐ3番目の高さです。)2008年11月29日に着工し、2016年3月12日に上海タワーとして正式に完工しました。 設計は、いくつもの国内外の設計団体たちによりコンペが行われ、アメリカのSOM建築設計事務所、アメリカKPF建築士事務所及び上海現代建築設計グループ等が設計に携わりました。最後は、アメリカのGensler建築設計事務所の“龍型”のビル案と、イギリスのフォスター建築事務所の“尖頂型”が残りましたが、審査の結果、“龍型”のビル案に決定しました。上海タワーの外見はギターのピックのような形で、高くなるに従って、一層ごとに1度近く曲がります。この様な設計は風圧を削減できます。

川のほとりに着きました。この川は、黄浦江(こうほこう)と言い、上海市内を流れる、長さ97kmの川です。下流の呉淞口で長江に合流し、東シナ海に注ぎ込んでいます。川幅は平均400mほどですので、対岸はかなり向こうの方に見えます。着いたところは、川沿いに整備された公園で、普段は多くの人でにぎわっているようですが、私たちが行った夜は大雨でしたので、他人は誰もいませんでした。川向うには様々な形をした高層ビル群が見えます。実は私は以前上海を訪れた時、この公園から対岸を眺めました。対岸には、すでに高層ビル群が並んでいたのですが、その中で特別に目立っていたのが、上海のランドマークにもなっている、東方明珠電視塔でした。この塔は字の通り上海テレビ塔で、高さ467.9mで、スカイツリーが完成するまでは、アジア一位の高さを誇っていたそうです。

今回、川の向こうの方に雲に見え隠れしながら上海タワーを見ることができました。ちなみに、中山さんと邨橋君は次の日に上ってみたそうです。今回、そのビルというよりも、ネオンで鮮やかに彩られた川下りクルーズ船を見ることができました。船内からは、楽しそうな声が聞こえてきます。この「黄浦江クルーズ」は、外灘と浦東の観光ポイントを一度に眺められるので観光客に大人気のようで、この日は大雨でしたが、夜景観賞のために、多くの乗船客が桟橋に並んでいました。ほぼ1時間かけて川を一周するそうですが、3時間というクルーズもあるそうです。

その後タクシーで宿泊先のホテルまで帰ろうとしたのですが、なかなか拾えず、ちょうど近くにホテルがあったので、そのフロントでタクシーを呼んでもらって、無事にホテルに戻ることができました。

次の日の午前中、私は二人に見送られて羽田に向かいました。とてもエキサイティングな上海講演でした。

上海報告10

講演が終わった翌日には、私は朝一番で帰国しなければなりませんので、(それは、決して猛烈サラリーマンのようにアクティブということではなく、中国東方航空上海発羽田行きがその時間にしかないため)今回観光は全くできそうもないので、講演の後、夕食を食べがてら少し観光しようということになりました。最悪、かなりの大雨でしたが、ホテルからタクシーで「豫園」というところに向かいました。ここは、上海市にある明代の庭園で、観光スポットになっていますし、この庭園の周辺は、ショッピングエリアになっています。

「豫」は愉を示しているそうで、「豫園」というのは「楽しい園」という意味になります。ここにはいろいろな歴史がありますが、現在は、西園の約半分を庭園として残りの部分が豫園商城となっています。この豫園商城も上海を代表する観光スポットの一つで、買い物&グルメスポットです。ここは観光スポットですが、多くの人たちは基本的には国内の人がほとんどで、海外からの観光客は少なかった気がします。そして、その建物はお土産物屋にしては、伝統建築様式の小さな店が並んでいます。この店の中に、スターバックスがあったのですが、伝統的なしつらえでした。また、豫園商城の道も、豫園新路、豫園老街、文昌路、凝暉路などのメインストリートと、それらをつなぐ細い路地から成っていて、活気があふれていました。

このあたりをブラブルしていると次第に暗くなり始め、どこかで夕食を食べようという話になりました。せっかくなので、上海焼きそばを食べてみようという観点で店を探しました。そこで、観光の書籍に掲載されている店を見つけ、そこに入りました。まず、頼んだのは、もちろん上海焼きそばです。私の住んでいる地域に、上海焼きそばと広東焼きそばがあるのですが、上海焼きそばは随分と違ったものでした。

あと問題なのが、試しに頼んだ上海ガニです。出てきた上海ガニを口にした途端、あまりに甲羅、足が固くて歯で砕くこともできません。どう食べるのかを見せの人に聞いてみたのです。すると、なんと「わからないので上の人に聞いてきます。」と言うのです。待っていると、上の人が出てきて、手で食べるというのです。それも自信なさげに言うので、「えっ?」という顔をしていると、ビニール手袋を数枚持ってきました。これを手にはめて食べるといいというのです。店の人が去ったあと、しばらく格闘しましたが、ほとんど中身がなく、甲羅もバリバリ食べるには硬く、基本的には下の方に餅があったので、かには単にダシ取りではないかということになりましたが、ちょっと心が不消化でした。

上海報告9

上海での私の講演は、4月23日「自然教育と食育フォーラム」のなかで、午前9:30〜11:00の時間帯でした。まず、会場であるFreesoul幼稚園での実践報告を動画で見せてもらいました。この園は、モンテッソーリ教育を行っていますが、実際にローマにある子どもの家に研修に職員が行ったりしているだけあって、子どもたちの活動は、その理論通りにきちんとしていました。食育ということなので食事の前のテーブルクロスを敷いたり、食器を並べたり、そのセッチングの場面は見事でした。きちんと決められた方法でテーブルクロスを広げ、敷くときには、角に刺しゅうされたマークを机の角に合わせ、静かに淡々と準備をしていきます。その手順の正確さは、まさにロボットがやっているようでした。

そして、私が話した後、立川にあるふじ幼稚園の園長先生である加藤さんが自分の園の食育についての実践を発表しました。ふじ幼稚園は、その建物を含めて世界では非常に有名な園です。よく、世界から見学に来る団体は、私の園とセットで見学に行くことが多くあり、加藤さんは、中国では何十回も講演をしているそうです。保育内容としては、緩やかなモンテッソーリ教育で、食育内容としては、日本の伝統的食事の話をされました。個人的には加藤さんと私はかなり以前から懇意で、私の環境セミナーにも参加されたことがあります。

すべての講演が終わった時点で、もう一度舞台に呼ばれ、表彰式がありました。なんだか、表彰式というのはなじめないのですが、こんな賞状を頂きました。

そして、昼食を頂きました。園の給食をメインにして、1品だけ足したそうです。とてもおいしくいただきました。食事が終わったころ、主催者である中国教育国際交流協会の副代表という人が来て、7月に北京で国内園長対象の講演をしてもらえないかと言ってきました。私の講演に感動してくれたそうです。この講演会には、他に日本からは日比野設計さんが講演をするそうですが、随分と多くの人が招待されているようです。この協会は、中国教育国際交流協会は、1981年7月に設立され、中国の教育界における非政府的な外国教育協力と交流を行う国家組織で、本部は北京にあります。随分と、世界からいろいろと学ぼうとしているのですね。

そのあと、せっかくなので、会場である幼稚園を案内してもらうことにしました。「ヨーロッパの古典建築と自然の組み合わせは、宮殿風の宮殿様式の子どもの家」という紹介文にある通りの限界に驚いたのですが、園内はもっとびっくりしました。

まず、ベランダに出て見せてもらったのが園庭です。目の前一面、森が広がっています。そして、プールです。まさに、宮殿の中のプールで水は温水のようです。そして帰りにお土産をもらったのですが、その部屋が職員室でした。私たちが行く前に、職員さんたちがお茶を飲んでいました。

肝心の保育室ですが、正統派モンテッソーリ教育を行っているだけあって、教具がきちんと並べられ、素晴らしい環境でした。中国の格差を見た気がしました。

上海報告8

私は以前中国に行ったことが4度ほどあります。香港、上海、広州、南京あたりです。その時は、どの回も基本的には観光ではなく、教育事情視察で、しかし随分と前のことですので、だいぶ今回と印象が違います。まず、町の中で印象的なのは、自転車が多かったという印象ですが、今回は、特に上海ということもあって、自転車に乗っている人はほとんど見ず、自転車レーンではなく、バイクレーンが設置されているほどバイクをよく見かけます。もちろん、車も多いのですが。また、以前行った時にはまだ海外からの視察は、政府によって決められた場所の見学、決めた店舗での買い物、決められた紙幣のみの使用が許可されたものでした。ですから、一般庶民の生活はあまり見ることは自由にできませんでした。

今回も日程的な事情で観光は基本的にはできませんでしたが、それでも地下鉄に乗り、タクシーに乗り、街を歩きました。中山さんと邨橋君はリニアモーターカーにも乗ったそうです。この上海リニアモーターカーは、日本でも今試運転中ですが、上海では、2001年に建設が開始され、2004年に正式営業を開始したそうです。最高速度は431km/hで商業ベースの路線では世界一の速さを誇っているそうです。区間は、私たちが利用した「上海浦東(プードン)国際空港」と市街側にある「龍陽路駅(竜陽路)」までの約30kmで、その間をノンストップで、8分で行くそうです。料金は、片道50元(860円ほど)です。8分にしては高いですね。しかもそんなに短い区間でもいわゆるグリーン車は、100元もします。ちなみに地下鉄は、普通のチケットは、1回のみで3元〜で、1日パス(24時間乗り放題)は18元です。

23日の講演の日には、ホテルまで車で迎えに来てもらい、研修会場である「Freesoul幼稚園に向かいました。この園は、モンテソリ教育を実施している幼稚園で、入学年齢は、IC混合年齢(18ヶ月〜3歳)とCASA年齢クラス(3-6歳)で構成されています。定員はよくわかりませんが、確か5~60人といった気がします。この園についてまずびっくりしたのが、その建物です。園のHPに書かれてある「ヨーロッパの古典建築と自然の組み合わせは、宮殿風の宮殿様式の子どもの家」そのままでした。そのゲートをくぐると、今回の研修会の看板があり、面白いのは、その看板に、参加者がサインをすることです。その形式は中国の研修会ではどこでもやるのかわかりませんが、面白いですね。

そして、講演会場に案内されました。そこには、参加者が100~200名くらいがすでに座っていました。舞台の上には、今回のテーマである「食育」についてのスライドが投影されていました。今回、私は食育について話すことを頼まれたのですが、その内容について迷っていました。なぜなら、たとえば、食育についての取り組み事例や、安全食品の大切さなどを中国で話してみたところ、なんだか聞く人は興味を持たないでしょうし、本当は、私が提案する「見守る保育」について話をしたいと思っていたからです。ということで、直前になって考えたのが、“「与えられる」から「自分から」Mimamoru Approach”というタイトルで話をすることでした。その内容として、「子どもの心と体の健康は、栄養を子どもの体に注入することではなく、自ら食べる、自ら選ぶ、自ら表現をするといった行為によってもたらされることがわかっています。それは、今後求められる子どもたちの力と関係しています。

食は、生きる力の基礎となるのです。」というものにしました。

上海報告7

私の上海行の飛行機は先方がとってくれたのですが、往復で買うため、帰りが羽田空港着便は中国東方航空しかないために、関西国際空港から上海までの飛行機も中国東方航空の便でした。行きは、ビジネスクラスをとってくれたのですが、エコノミークラスと大差はなく、CAはすべて中国語で話しかけられますので、昼食のメニューもよくわかりませんでした。なんとなくチキンヌードルらしき発音があったため、それにしてもらいました。唯一ビジネスらしいのは、おやつに焼き鳥が出たことくらいです。まあ、飛行時間は、1時間15分ですので、国内の飛行時間よりも短いくらいでした。

到着後イミグレ前にカウンターで入国カードを記入したのですが、困った欄が、滞在住所です。ホテルは先方がとってくれてあり、住所などはわかりようがありません。まあ、相手はどうせわからないだろうと、適当に上海ホテルと書いておきました。その後、また長い列に並び、やっと審査を受け、今度は難なく通過できたました。どうも、中国では、このカードがあれば、ほとんど質問はないそうです。無言で通してくれます。その点は楽なのですが。

イミグレでカードをもらって記入したことは、出国の時にも困った状況が起きました。それは、機内でそのカードををもらうと、入国カードと出国カードはミシン目でつながっていて、出国の時には、その半分の出国カードを出すことがわかるのですが、私はイミグレの時にカウンターにおいてあるカードに記入したので、出国の時にもカードが必要であることがわからず、入国の時と同じように、長い列を並んでやっとたどり着いたにもかかわらず無言ではねられてしまったのです。今度は、「外国人出境卡」のカードへの記入です。また、カウンターでそのカードを手に入れ、記入しました。また、長い列を並ばないといけないのですが、帰りになると少し度胸がつくのか、係員に、今まで長い列を並んでいたということをなんとか話し、今度は特別に政府高官の通過する場所で通過させてもらいました。出入国の際はツアーでもなく、仲間がいるわけでもなく、全く一人だったので、まあ、ある意味では、一人旅の面白さというか、思い出になりますね。

そんな思いをしてやっと上海に入国してところで、中山さんが待っていてくれました。しかし、1時間も前に出た邨橋君がいません。中山さんに聞いてみると、私と一緒に来るものと思っていたそうで、まだ、落ち合っていないそうです。周りを探しても見当たりません。しかも、中国の方で今回いろいろとお世話になる方も迎えに来てくれることでしたが、見当たりません。連絡しようにも、中山さんに携帯は充電が切れてつながりません。1時間くらい待ったのですが、落ち合うことができません。そこで、もしかしたら邨橋君は、ANAで来ているので、その到着ゲートの方に行ってみることにしました。ここで、また中国らしさを体験します。違う航空会社に移動するたびに、荷物チェックをするのです。鞄をX線に通過させ、ポケットのものを全部出さなければならないのです。

すったもんだあったのですが、結局、3人はほどなく出会うことができました。しかし、現地で迎えに来てくれるはずのロンさんとは連絡がつかないため、とりあえず私たちだけで地下鉄でホテルの近くまで行き、そこからタクシーに乗ることにしました。

 

上海報告6

私は海外に行くときには、Wi-Fiを借りていきます。最近は、どの国でもネット環境がよくなり、ホテルの中はもちろん、飛行機の中でもできるようになりました。しかし、それが不安定であったり、外に出るとつながらないこともあって、海外用Wi-Fiをレンタルして持っていくことにしています。今回、上海にも借りていくように予約をしておきました。すると、直前になって、中国渡航者に対して注意事項がメールできました。それは、2017年6月に施行されたサイバーセキュリティー法により規制が厳しくなり、さらに今年の4月に入り、より規制が厳しくなって、SNS(LINE,twitter,facebookなど)やグーグルサービス(Gmail,YouTubeなど)などの殆どは規制されていて見る事が出来ないと言うのです。

ということで、中国で海外のサイトを閲覧する場合やSNSサービスを使う場合は、VPNが必須だと言うのです。

しかし、VPNがなんだかわかりません。調べてみると、Virtual Private Network(バーチャル プライベート ネットワーク)のことで、仮想プライベートネットワーク、仮想専用線とも呼ばれています。インターネットとは本来、公衆網で、プライベートネットワークを拡張する技術、およびそのネットワークなのです。それがVPNによって、イントラネットなどのプライベートネットワークが、本来公的なネットワークであるインターネットに跨って、まるで各プライベートネットワーク間が専用線で接続されているかのような、機能的、セキュリティ的、管理上のポリシーの恩恵などが、管理者や利用者に対し実現されるというのです。すなわち、これを使えば、日本やアメリカなど外国のIPアドレスを取得することができます。その結果、中国にあるパソコン(スマホ・タブレット)が外国のパソコン(スマホ・タブレット)として認識されるので、検閲に引っかからないという仕組みです。

そこで、中国に行くときは、VPN機能が付加されたWi-Fiを借りる必要があるのです。

このように、中国ならではのルールがいくつかあります。私が、まず戸惑ったのは、中国への入国、中国からの出国審査の時に必要な書類があるということです。いつもドイツに行くときには、入国の時にはパスポートともしかしたら飛行機の搭乗券を見せます。たまに質問されることがあるので、それにはドキドキします。英語で聞かれ、英語で答えないといけないからです。その内容は、どの都市に行くのか?目的は?何日間滞在するのか?というようなことです。全く聞かれないこともありますが、基本的にはそのようなことです。

中国に入国するときにも、そのようだと思い、並んでやっと審査員の前に行くと、ダメ!と指で拒否されます。なぜだかよくわかりません。そこで、一応どうしてかと食い下がってみると、書類が必要なので、それを書いても持ってくるようにというのです。中国に入国する際は、どうも「外国人入境卡」というカードへの記入が必要なようです。どうもこのカードは、機内で配られるのですが、私の乗った飛行機は、中国東方航空なので、乗客は中国人が多く、出入国カードを配りにきたCAさんが日本人客と気づかず通り過ぎてしまったようです。それは、出入国カードは中国人はいらないからです。

そこで、イミグレーション前のカウンターで受け取って記入します。また、その内容が難儀でした。

上海報告5

今回訪れた1園目のFortune Kindergarten内にある日本語部の「上海ふたば幼稚園」の園長先生から、中国における幼児教育の現状のお話を伺ったそうです。栗田代表の中国教育進歩のイメージは、

赤線が日本の教育の進歩ならば、黒線は中国。突然進歩するのが中国という話でした。そして、中国は大きいのが好き。したがって木も切らないので、以前園内の木を切ったら怒られたそうです。また、中国は良くも悪くも政府の力が強く、政府の一声ですぐに新しい政策ができたり、あるいは廃止になったりするので、それについていくのは大変だということでした。例えば、体育は幼稚園では重要視されていなかったのに、今は重要となったりしているそうです。

また、ふたば幼稚園の周りには1部屋1億元(約20億円)を超えるマンションがたくさんあり、もともとこのあたりに土地を持っていた地元の人は、その土地を譲渡する見返りにマンションの部屋を家族ごとにもらい、それを売却した人は裕福になったそうです。そして、不動産は2002年から約10倍の価格になっているそうです。その中で、日本人が4大を出ていてもVISAを取るのが難しくなってきているそうです。現在、上海で認可が取得できている就学児未満の日本人学校は2校のみだそうです。中国はまだまだ学歴社会ですので、園の評価はどれだけ良い小学校に入れるかということのようです。そのためか、中国は幼稚園が主流で保育園はまだ少ないそうです。

アメリカのリビングストーンというインターナショナルプリスクールも日本語部をやっていて、現在園児は200名を越えているそうです。中国のインターナショナル幼稚園のスタッフは分業方式をとっていて、外国人先生、中国人先生、世話係先生(主に、排泄、給仕、午睡等を担当)と分かれて子どもの相手をしているそうです。外国人先生と中国人先生はあくまで教育に特化するような構造であり、一方、世話係先生は保育に特化しています。このあたりの事情は、アメリカにおけるティーチャーとケアギヴァーに分かれているのと同じようですね。栗田代表の話では、保育園の文化がそこまで浸透していないせいか、保育を担当する世話係先生の地位は決して高くなく、家庭のお手伝いさん的な位置づけだそうです。

中国では、今必死になって世界から保育専門家を呼んで、いろいろと保育を勉強しているようです。その中で、とくにイギリスに興味を持っているようで、イギリスの研究者が多く講演をしています。日本からは、立川になるふじ幼稚園の加藤園長先生が多く講演をしているそうです。今回、「2018上海国際幼児教育会議」の中で、21日に中山さんが「見守る保育」について話をすることになったのです。内容としては、「見守る10か条」について話をしたそうで、会場から随分と反響があったそうです。

上海報告4

中山さんと水野さんが「上海ふたば幼稚園」を訪問した日には、「フルーツパーラー屋」さんに見立てたスペースで、お楽しみ会を実施していたそうです。そこで、二人も参加したそうです。園児は、フルーツパーラー屋さんにいるような疑似体験。ここでも、子どもが何を食べたいか選べるようなセミバイキング方式をとっていたようです。

右写真:カイコを育てている

 

この園では、登園後はすぐに医者のチェックが行われ、赤の斑点が一つあるだけでも帰らされるとのこと。手足口病も、田舎で数人の死者が出た報告を受け、上海のような都心部も含め、全国一律で発見次第すぐ帰宅という方針となったそうです。

感染症の疑い、体調が悪い子等は、通常口とは別にある特別ルートを通って帰らせられる。

2園目の訪問先は、Xiehe Kindergartenです。園長先生が対応をしてくれました。

この園は、2歳児以上の幼稚園です。この園には、「見守る」と通ずるポリシーはいくつかあったそうです。例えば、自由遊びは子どもの主体性を重要視しています。

中国の場合、①の教育要領の重要性が80%を占めており、各園の独自色を出せるのは②と③の20%のみ。

当園は4クラス混合の計14クラスで、先生がリードするのは学習面で、言葉、算数、生活、英語、音楽等を1回20分~30分行います。

図書スペースには多くの本があり、ITで貸し出し管理をしていました。左は図書室。右は、図書の貸し出し管理をする最新の機器。

コーナー遊びは子ども主体です。多くの大型什器がセットされています。

右写真:スーパーマーケットのようなセットアップになっているコーナー
左写真:制作したブロック作品をそのまま展示できるコーナー

左写真:世話係の先生が給仕。右写真:昼食

3園目の訪問園は、Fortune Kindergartenです。対応してくださったのでは、外国人向け園長のChristineさんと、中国人向け園長のAnna Miaoさんでした。この園の月謝は、14,300元(約30万円)で、内訳は、教育費12,500元(近い将来に13,000元を越える予定)でバス代が1,150元、給食代が650元です。月謝は決して安くはありませんが、それでも地元の中国人もここFortune Kindergartenに入れたがるそうです。理由は、今の中国の小さい子どもの親世代は、自身の過去につらい中国教育を体験しているために、子どもは同じ道を通らいないようにしたいという願いが強いためだと言っていました

数年前までは4人に一人ぐらいの割合で日本人の子どもも当インターナショナルスクールに通園していたそうですが、最近はだいぶ減ったそうです。理由は、月謝の高騰。日本企業はそこまで月謝の負担をすることができなくなっているそうです。それでも現在、ウェイティングリストに収まらない数の人が待機中だと言っていました。そして、体操はプロの先生が来て教えていたそうです。上海に1年しか滞在予定がない日本人家族がFortune Kindergartenに入園したいと言ったら断るそうですが、その理由は、子どもにとっての負担が大きいためだと言っていました。左写真:タッチパネル式の最新IT機器で効果的に文字を習っているとのこと。

今回上海で訪れた園は、Xiehe Education(共和教育)という法人立の園です。この法人では、学校数が44、生徒数20,000人(内4,000人が外国籍)、教師数は、3,000人(内480人が外国籍)いるそうです。学校の種類として、Xiehe Kindergarten(幼稚園部)、Fortune Kindergarten(インターナショナルプリスクール)、Shanghai United International School(インターナショナルスクール)、Team Awesome International Youth Club(K12の課外活動スクール)を運営しています。そのなかで、今回訪問した園は、Xiehe Kindergarten(幼稚園部)とFortune Kindergarten(インターナショナルプリスクール)でした。

上海報告3

上海に行く段取りを整え、後は当日どのような話をするかを準備するだけことになったら、先方から次のようなメールが来ました。

「まず、4月19、20、21日のホテルは、上海兴荣温德姆至尊豪廷酒店 (Wyndham Grand Plaza Royale Oriental Shanghai)になります。次に、4月22、23日のホテルは、上海证大美爵酒店 (Grand Mercure Shanghai Century Park) になります。主催側からは、中山副園長のご講演を4月21日のにアレンジしております、11:30~12:30になります。日本語でご講演して頂いて、わたくしの方から同時通訳を行わせていただきます。(今回の会議の全体的スケジュールはこちらになります http://a.xiumi.us/board/v5/2NhEr/80761895?from=timeline&isappinstalled=0)」

そして、私には、「今回上海へ航空便についてのご相談ですが、藤森先生がご希望した15:55発のNH975(大阪→上海)と帰りのMU539(上海→東京)が往復のフライトではないため、行きのエコノミークラスでも15万円以上にかかるため、主催側から16:55発のMU748(大阪→上海)のビジネスクラスに変更させ、帰りはMU539(上海→東京)のエコノミークラスに変更させて頂きたいというお願いが来ております。ご迷惑をお掛けして、ご検討をよろしくお願いいたします。」

ということは、まず中山さんの講演は21日ということになり、水野さんは20日滞在しか無理なので、行っても講演の助手はできません。しかし、すでに手配済みのため、せっかくなので、予定通り行ってもらい、20日は、上海に「見守る保育」を実践している園(日本人経営)があるので、そこに訪問することにしてもらいました。

私は仕方ないので、邨橋君とは別の便で、予定より1時間遅れで上海に行くことにしました。ということは、上海空港で、私と中山さんと邨橋君と3人は別々の行動で、現地で落ち合うことにしたのです。

とりあえず、先に行っていた中山さんと水野さんが、現地の保育園を視察して、その報告を水野さんがしていますので、本人の承諾を得てその報告書を紹介します。

訪問日:2018年4月20日(金)

【訪問園1】Fortune Kindergarten内にある日本語部の「上海ふたば幼稚園」

この園は、2019年3月末をもって園を閉じることになっているそうです。現在年長に23人(定員24人)、職員は5名、月謝は6,000元(約120,000円)です。

このふたば幼稚園にくる保護者の狙いの一つとしては、上海に来ていきなりインターナショナルスクール等に入園させると心を閉ざす子もいるので、そういった子は当幼稚園に入園することで心の負担を軽減することができるということを考えてだそうです。

栗田園長が新宿せいがを訪問して、「見守る」をできるところから導入していったそうです。例えば異年齢保育は、栗田代表自らが周りを押し切って導入したそうです。幼稚園ということで難しいところもあったが、結果的に導入して良かったと言っていました。また、人工知能よりも大工を重視するような発想の教育を展開。そのために、園児が、一人ひとりのこぎりで木を切る作業も実施しています。