fujimori の紹介

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実際にやってみよう

子どもはあなたをモデルとして「自信」を身につけます。もしあなたがただ闇雲に突進するだけなら子どももそうなりますし、困難に直面した時にすぐ締めてしまうようなら、あなたの子どもも粘リ強く取リ組まないでしょう。

エレノア・ルーズベルトが言ったように、自分の「目の前の恐怖に立ち向かう」ことから始めようと呼びかけます。あなたがこれまで受け入れたことがないことを、あえて受け入れてみます。新たに何か計画する時、自らリーダーシップをとるために自分の知識を披露します。こうした挑戦があなたの自信を育てる糧になります。キャシーらの友人にも新しい趣味を思いきって始めてみたら完全にはまってしまった人がいるそうです。ヨガをやりたいと思っているなら、今始めよう。演劇をやってみたいのだが何となく恥ずかしくて気が引けると思うなら、劇団員を募集しているクラブに申し込み、退路を断とう。あなたの子どもにあなたが新しいことにチャレンジしようとしていることを語れば、必ず応援してくれますし、子どももあなたの決断に刺激されて、何か始めるに違いありません。学校から帰ってきた時、ヨガのポーズをしているあなたを見つけたら、子どもは間違いなく興味をそそられるでしょう。

子どもの個性は千差万別です。ある子は生まれつき自信に満ち溢れていますが、別の子は自信を育てなければなりません。自分の子ども時代を思い出してもそうだろうとキャシーは言います。木登りをしたり、暗いトンネルに入っていったりできる子だったか、それとも尻ごみして安全が確認されるまで待つ子だったでしょうか。子どもの成長のペースは様々です。ただあなたの子どもが友達を作り、難しい問題を解こうとする自信を身につけられるように配慮する必要があります。知能指数であるIQならぬ自信指数であるCQを高めるのです。

社交の場面を思い浮かべてみます。ある子は初対面の人、特に大人に出会うとどこかに隠れてしまいますが、別の子は相手の目を見つめ、握手しようと手を伸ばします。あなたの子どもには初対面の人に会ったら、まず相手の目を見て握手するということを教えようとキャシーは言います。これが習慣になるまで練習すれば未知の大人に会ってもひるむことはなくなるというのです。

自信豊かな子どもを育てたいと考えるなら、子どもの能力、頭の良さを褒めてはいけないと言います。褒めるのは努力です。子どもがどうせやっても失敗するだろうと思うと、更に自分が失敗したら親が取り乱すだろうと思うと、新しいことに挑戦するのを避けるようになります。親は失敗にあたふたせず、もう一度やり直すように子どもを励ますといいと言います。間違えたり、失敗したときに、ただ叱っても自信を育てることにはなりません。慌てず冷静にどんなことが起きたのか尋ねる方が、効果があるとキャシーは言うのです。叱るだけで、どうして失敗したのか考える機会を作らなかったら、間違えた理由が解らず、改善できません。じっくり考えて、失敗を振り返れば、次に同じ間違いはしなくなります。「次はこれまでとは違って、どんなやり方をしてみるつもりか?」という問いを投げかけ、子どもが行動の主体者としての責任をもって、我がこととして取り組むようにサポートすることが私達に求められることなのです。

どのレベル?

結局、学位を持った優秀な人だけが失敗を恐れることなく挑戦しようとするのではないかとっているかもしれませんが、そんなことはないとキャシーは言います。ローザ・バークスの例があります。アラバマ州モンゴメリーに住むアフリカ系アメリカ人で縫製工場の一従業員だった彼女が世界を動かしたのです。1955年11月1日、バスに乗っていたバークスは白人に席を譲ることを拒否たのです。ここから市民運動は始まったのです。1992年、公共ラジオ放送のリン・ニアリーによるインタビューで彼女ははこう語っているそうです。

「私も同じお金を払って乗車しているのに、席を奪われるという不当な扱いを受けたくなかった。まさにこの時、これまでなされてきた酷い扱いに対して感じていたことをはっきりした態度で表現する機会が到来したのだった。」

当然ながら、この後彼女は逮捕されましたが、彼女の勇気がきっかけとなり、私達の社会を大きく変える一連の活動が巻き起こっていったのです。

こうした事例はいくつでも挙げることができるそうですが、失敗を恐れず、挑戦し続ける自信を生むカギは必要だと思ったことを実現しようとする情熱を持つことだろうとキャシーは言います。アフリカ系アメリカ人も平等に扱われること、心臓病を克服し命を救うこと、発明を製品化して大きな収益を上げること、どんな目標であれ自分が必要と感じたら現実のものにするために活動し続けること。それがレベル4の自信(Confidence)なのだというのです。

以前、ブログで紹介したポーンは犬ぞりレースの祝賀会で、20人の犬ぞり師仲間の貢献を心から讃えました。彼らは北極の未踏の荒野を地図で表すために勇気を持って探検に臨んだのです。失敗して命を失う危険があるにもかかわらず果取に挑んだ犬ぞり師達のおかげで、私達は地球の果てについて理解を深めることができたのです。偉人な事業は失敗に見える出来事から生まれます。こうした失敗は変化と成長のチャンスになります。もし私達が遠い星を目指さなければ、失敗することはありません。しかしグリットを発揮して、何か新しいことを成し遂げ、私達の人生を変えることもないでしょう。

自分自身を見つめる研究結果によれば、私達がどんな経験をしたか、そして他者からどんな期待を受けるかが自信の形成に影響を与えることが分かりました。このことを踏まえて私達はどのように自信を育ててゆけばいいのでしょうか?

キャシーは、まず、あなたの「自信」のレベルについて振り返ってみようと言います。警告するサインがあったとしてもそれを無視して、衝動的に突き進もうとするレベル1でしょうか。それとも自分が前に出る勇気がなく、他者からどんな評価をされるか不安に感じ、身動きがとれなくなるレベル2でしょうか。自分の抱える「宿題」を色々な側面から見直すことができる人ならば、プロジェクトの進め方を新たに提案するために「リスクを計算して取り組む」ことができるレベル3の「自信」の持ち主でしょうか。プロジェクト自体の前提を疑い、それを超える新たなプランを出し、たとえ失敗しようとも粘り強く挑戦し続けるなら、あなたはレベル4の「自信」に達しています。自分の行動を振り返り、どのレベルの「自信」を普段示しているのか分かればどんなことを変えればいいのか見えてくるとキャシーは言います。

失敗覚悟

もし失敗覚悟で挑戦するレベル4の自信(Confidence)を育てたいなら、女性は数学が苦手だというような世の中に広まっている根拠の乏しい決めつけに触れさせないようにすべきなのです。そのためには子どもに与えるおもちゃも可能性を狭める恐れのあるものを選ばない配慮が必要です。私達は学びがどんなに大変でも、諦めずに挑戦する学習を支えていかなければならないとキャシーは言うのです。

「失敗覚悟で挑戦する」ことは「勇気を持つ」という意味も含んでいると言います。ピーター・ドラッカーは企業のCEOは落ち目の会社であっても成功に導く力を持っていると確信していました。そのために求められるのは会社の強みと弱みを幅広い視野で捉え、苦難の道が待っていても会社全体で何を目指すのか真剣に問い続ける気持ちだというのです。

レベル4の自信を持ち、失敗覚悟で挑戦した先人の例は数々あります。バラク・オバマはそんな自信の持ち主であろうと言います。だからこそ彼は強い政治基盤を持っていたわけではないのに、有色人種として初めての大統領となることができたのです。

エレノア・ルーズベルトがホワイトハウスに入る以前、大統領夫人の役割は夫である大統領を支える良妻を演じることでした。高級な茶碗を選び、お茶を入れるタイミングを見計らうことが仕事だったのです。しかし彼女はそんな因習を打ち破り、市民権と女性の権利を拡大し、第二次世界大戦中時代、女性が工場で仕事を得られるように活動しました。当時多くの人々が関心を抱いていなかったことに対して献身的に取り組もうとする自信はどこから生まれたのでしょうか。彼女はこう書いているそうです。

「目の前の恐怖に立ち向かう経験をするたび、あなたは強さと勇気と自信を身につけることができる。そして「こんな恐ろしいことを切り抜けられたのだから、次にどんなことが起きても大丈夫だ」と言えるようになる。自分にはできないと思うことをやってみなさい。」

ルーズベルト夫人は、私達そして子ども達に対して、目の前の問題にどう真剣に立ち向かうべきか教えてくれるモデルと言えるとキャシーは言います。私達も全ての人が自分達の努力を認めてくれるわけではないということを心に留めて、それでもなお前進する自信を持ち続けなければならないというのです。

1957年、デラウェア州ニューアークの地下室でボプ・ゴアと彼の息子、ロバートの二人によってゴアテックスは発明されました。その時父はデュポン社で働いて、この発明を社内で発表し製品化することを提案しましたが却下されてしまったのです。そこで彼は起業したのです。今では年商320億ドルの大企業となり、世界初の通気性防水素材は医療機器から靴まで幅広く利用されています。ゴアは次のような企業理念を掲げているそうです。

「私達は従業員=アソシエーツが最大服の自由を感じて仕事ができる場を作りたいと考えている。何かをしようと思えば失敗するのは当たり前で、恐れることはない。多くのことを達成しようと焦らず、着実に進んでいこう。」

人工心臟を発明し心臟病の治療法を変えたマイケル・デバキーのことを紹介しています。彼は世界で初めて心臟バイパス手術を行いました。彼の早熟ぶりは群を抜いていて、医学生時代に人工心肺装置の主要部分を発明していました。医学的、更には倫理的観点からもかなりリスクの高いことに彼は果敢に挑んだのです。

努力と練習

努力と練習の価値を知ることは持続して取り組むように動機づけることに関係しているようです。別の言い方をすれば学びは瞬間的なものではなく、真剣に取り組む必要がありグリットを発揮することが求められ、生まれながらの素質だけでは不十分であることを子どもが理解すると、締めず難題に立ち向かい成功することができるようになるのだとキャシーは言います。

学習科学のどの研究者にインタビューしても一斉学力テストの点数や学業成績を上げるという、今まさにアメリカがやろうとしているアプローチは、これまでの研究が見出したことと相反するやり方だと断言しています。子どもがじっくりと取り組める余地を作ることが大事なのでというのです。すぐに理解できなかったら諦めるというマインドセットを育ててはいけないのです。「教師と親は成績やテストの点数ではなく、子どもの学びのプロセスに目を向けるべきである。学びには時間がかかるのであり、一つ一つのプロセスをじっくり進んでゆくことを認めよう。特に学びの初期の段階では学習者は必ず失敗するが、むしろそれは学びの種になると励まそう」とオーティンは言っています。

キャロル・ドゥエックはこれを別の言い方で言っているそうです。学習者が脳も筋肉と同じように練習によって鍛えられると理解すれば、学びの途中で障害にぶつかっても、諦めずに取り組み続けるようになるでしょう。学びに努力はつきものだと実感することで自信が生まれます。失敗は学びのプロセスにおいて避けられない部分であるという理解を学習者が持つように支えることで、強い意志を持ち、粘り強く取り組む姿勢が育つのだというのです。とはいえ学習科学の研究者が明らかにしているように、自信の形成は家庭環境、学校環境といった要因に左右されます。私達は親として、教師として、学びの傍に寄り添う者として、成果ではなくプロセスが大事であるということを強く心に銘じておかなければならないとキャシーは助言しています。

自信によってパフォーマンスは大きく変わります。失敗することが予想される状況に人々が置かれた時、パフォーマンスは大幅に低下し別人のようになります。思考停止に陥り、予想通り、良い結果を出せずに終わってしまいます。しかしうまくいくと予想される状況に置かれると良い結果を出すのです。

モエとパッツァグリアは、基準として提示された立体と同じものを心の中で回転させて、どのような形になるのかを四つの図から選ぶ課題に取り組む時に、事前に与える「期待」の違いがパフォーマンスに影響を与えるかどうか調べました。そこで男女のグループを二つに分け、一方には男性の方がこの課題が得意であると伝え、もう一方には女性の方が得意であると伝えた後、課題に取り組んでもらいました。結果は男性が得意と言われた場合、女性のパフォーマンスは落ち、女性が得意と言われた場合、男性のパフォーマンスが落ちたのです。自信は人為的な操作の影響を受けやすいことが明らかになったのです。どんなグループであれ、あるグループのメンバーはうまくできないということを信じてしまうと、自己達成的予言のメカニズムによって実際にそのメンバーのパフォーマンスは悪くなります。逆にあるグループのメンバーはうまくやれると信じれば、良い成果を出してしまうのです。これはグッドニュースだとキャシーは言います。それは、子どもに正しいメッセージを伝えれば、自信を伸ばすことができるという結果だからです。

プロセスを褒める

答えを自ら生成するにはたとえ間違った答えであったとしても、与えられた答えをただ選択する時には行いません。より深い思考を必要とするようです。このため記憶によい効果をもたらしたのではないかと考えられます。また人は間違えるのが嫌なので、間違えた時にはより注意が向き、強く記銘されたと言えるようです。

親はどうしても学びの結果ばかり注目してしまい、学びのプロセスをうまく褒めることができません。ある子どもが父親に通知表を見せた時のエピソードをキャシーは紹介しています。100点満点中95点という輝かしい結果でしたが、父親は「あと5点はどうした?」と言ったのでした。父親は冗談のつもりだったらしいのですが。このような親の反応は良い成績をとるために一生懸命行ってきた努力に価値を置かないことを如実に示しています。結果のみ重視し子どもの努力はどうでもいいと言っているのも同然だとキャシーは言います。こうした評価がなされることで挑戦し続けようという自信が弱まってしまいます。

最近の研究では高い学業成績を出せ!というプレッシャーをあまりかけない方が子どもは成功するという、私達を困惑させる結果が報告されているそうです。ただ先に述べたキャロル・ドゥエックの「マインド・セット」の研究を思い出せば、この結果は困惑どころか、むしろ予想通りと言えるだろうと言います。頭の良さを評価された子どもは努力を評価された子どもより、難題に直面した時にすぐに諦める傾向があったそうです。学業成績へのプレッシャーとは頭の良さを示すように迫っているのであり、その結果諦めが早くなります。もちろん挑戦しなくなれば成功することはできないのです。

フランスの研究者フレデリック・オーティンとジャン=クロード・クロイツェットは、小学6年生の子どもに対してとても興味深い実験を行いました。まず子ども達全員に解くのが難しい単語または文の中の文字を並び替えて別の意味の言葉に作り替える言葉遊びであるアナグラム課題をやらせました。その後子ども達を二つのグループに分け、一方のグループには「このアナグラムは難しいが自転車に乗れるようになるのと同じように、練習すればうまく解けるようになる」と伝えました。そしてもう一方のグループには、アナグラムの難易度や練習の意義について一切語りませんでした。その後で別の課題「ワーキングメモリー」を与えたのです。これは電話番号を忘れないために何度も暗唱するのと類似した頭の中に情報を保持しておかなければならない課題です。ワーキングメモリーは問題を解くためにとても重要です。もしこれがうまく働かないと問題の前提を覚えられないので、いちいち前提を確認し直して問題を解かなければならず、パフォーマンスが落ちるからです。さて実験の結果はどうなったかと言うと、二つのグループにこの新しい課題の成績で大きな違いが生まれたのです。練習の意義について言われたグループの子ども達は全く繋がりのない記憶テストにおいて、何も言われなかったグループの子ども達よりも成績が良かったのです。恐らく練習すれば改善できると言われなかったグループの子ども達が難解なアナグラムをほとんど解けなかったのは、自分が馬鹿だからだと考えやる気を失ったのでしょう。しかし練習の大事さを伝えられた子どもたちは一生懸命努力し、諦めなかったのです。努力と練習の価値を知ることは持続して取り組むように動機づけることに関係しているようです。

失敗を繰り返す

キャシーは、自信(Confidence)の最終段階は失敗を覚悟して挑み続けることであると言います。安全圏を飛び出さない限り偉大なことを成し遂げることはできないからだと言います。実際に計算した上でリスクを引き受けた人々は失敗を繰り返すのですが、そのたびに再チャレンジし続けます。ただ失敗を重ねるのではなく必ずそこから学びを得て、何とか乗り越えて成功に繋げようと考えるグリットがあるというのです。彼らはまさにグリットを体現しているとキャシーは言います。心に決めたミッションを達成するまで、どんな障害があろうとどれだけ時間がかかろうと、全く動じることなく取り組み続ける情熱を持っているというのです。

アンジェラ・ダックワース達はグリットを測定する方法を開発したそうです。たった12項目のテストだそうですが、ペンシルバニア大学の学生を対象に行ったところ、大学の成績評定の平均点であるGPAや大学進学適性試験であるSATの点数を予測することができたと言います。ダックワースは陸軍士官学校で地獄の夏のトレーニングに初めて参加する1200人の十官候補生に、グリットを測定するためのテストであるグリットスケールを受けてもらいました。その結果グリットスケールの方が、士官学校が全候補生に行っている独自のテストスコアよりも、誰が途中で挫折し誰が粘り強いか確実に予測できたそうです。

直感と反してグリットスケールの重要な構成要素の一つは、挑戦し続けて成果を出すには失敗が必要であるということです。グリットスケールは子どもにも適用でき、どの程度一生懸命取り組むか、始めた課題を完遂するかといった属性を計価することが可能だそうです。急速に変化し続ける世界の中で私達が未開拓のアイデアに挑戦する学生を育てたいと思うなら、教育システムの中に実験すること、仮説を立てること、問いを立てること、そして失敗することを組み入れないといけないというのです。こうなって初めて学生は間違いから学べるようになるというのです。

粘り強く取り組む自信と過信は紙一重だとキャシーは言います。ともすると私達の考えは頑迷な誤りに陥ります。しかし十分な知識コンテンツを持ち、クリティカルシンキングを働かせれば —つまり二つの「C」を使いこなせば― 発見した考えが価値のあるものかどうか評価・判断できるというのです。失敗は色々比較しながら、何がうまくいき、何がうまくいかないか測定するための道具になると言ってもよいと言います。もし正解を得ることばかり気にしていたら異なった方法で間題を解こうと試すことはないだろうと言います。

失敗は常に学びの機会とすることができると言います。学びの最中に間違えることで新しい情報をよく覚えられるという研究さえあるそうです。イギリスの研究者ポッツとシャンクは大人に対して新たに知った単語の意味を記憶する実験を行いました。一方のグループはどんな意味か自分で考えないといけませんでした。例えば、「aboulomaniaはどんな意味ですか?」と尋ねられたら自分で意味を考えます。もう一方のグループは二つの意味を是示し、そのどちらかを選ばせました。その結果、受動的に提示された意味を選ぶ場合より、間違った意味を答えながら正しい意味を知った場合の方が、単語の意味をよく覚えていたことが解ったそうです。積極的に間違えた結果、新しい言葉をより多く思えることができたのです。

グリット精神

昨日のブログで紹介したような父と娘の会話はどう判断すればいいのでしょうか?このような父親のかかわりは、明らかに子どもが知らない動物について学ぼうとする気持ちを削いでしまっているとキャシーは言います。恐らく彼は我が子が宿題をうまく進めることができずに困ることを心配しているのです。しかし子どもが新たに興味を持った時に、それを追究するように促さないと、長期的に見て子どもの自信はいつまでも高まらず、知っていることを乗り越えて挑戦したいという気持ちは生まれないでしょう。もちろん、このような会話が一度なされただけで彼女がリスクを回避するようにはなりません。しかしこの後彼女は挑戦して得られる利益よりも、自分の知らない動物について書くことで生じるリスクを計算し「知らない動物について書いてもいい評価をもらえるか?」ということばかり気にするようになる可能性は高いというのです。

長期的に見た目標、例えば、優れた学生になる。優良企業を経営するなどの目標を達成する唯一の方法は、新しい物事に取り組むチャンスがあったら果敢に挑戦してゆくことでしょう。たとえ長い時間がかかっても、よい結果をもたらすかもしれない新しい方法について研究したり、高価ではありますが生産の仕方を変えるかもしれない新しい機械を導入したりすることによって「これまでのビジネス」を変えようとします。そんな自信を持つことが現状をより良くしていくためのただ一つの道であるとキャシーは言うのです。

どんなにリスクを計算しても失敗は起こります。従って大事なのは失敗からいかに学ぶことができるかです。ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンソンは誰もが失敗から学ぶことの大切さを認識していながら、実際にはそうならないのはどうしてなのかについて考えました。トラブルがあった時、企業が真っ先にしなといけないことは「責任のなすり合いを避けること」です。「報告した人を非難する」のではなく、むしろ報告者を受け入れ、罰したり、排除したりすることがないようにしないといけないのです。トップは誰かに責任を取らせないと、社員に示しがつかず、モラルが下がり、規律が失われるのではなかと考えるかもしれません。しかし失敗を罰することで新しいことに挑戦しなくなる方が弊害は大きいのです。

多くの人が関わる研究室を運営しているばあいでも、他人事はありません。もちろん全てのメンバーが新しい物事に立ち向かっていこうとするわけではありません。そんな中で長期間使用している方法でしぶとく研究し続けたり、一方で良い結果を得られるまで、あるいはこのやり方はダメだとはっきりするまで新しい方法を粘り強く試したり、グリットを発揮するメンバーがいてくれるのは本当にありがたいことだとキャシーは言います。こうした研究者がいてくれるおかげで研究成果を得られるからです。彼らが素晴らしいのは良いリスクと悪いリスクを区別する手段を身につけていることです。ただ闇雲に挑むのではなく、どちらのリスクをとった方が良いか見極めた上で努力を重ねているのです。

次に、レベル4として、「失敗覚悟て挑戦する」です。「枝先に身を乗り出すような危険を冒すのをためらうな。そうすれば必ず成果を得ることができる」と言ったのは、アメリカ合衆国第39代大統領であったジミー・カーターです。

学校、家族、気質

精神分析的に考えるのはアメリカでは最早目新しいことではなくなっていますが、エリクソンは核心をつく発見をしました。子どもは毎日の生活を通じてより有能になり、できることとできないことを理解していきます。これがリスクを計算するということだとキャシーは言うのです。

教室では「自分はどの位置にあるのか」というレベル2の自信にどうしても子どもの目がいってしまうので、自分がベストを尽くしたかどうかを問うことよりクラスメイトと比べることに躍起になります。学びのプロセスよりも唯一の正解を目指す教育システムではクラスメイトより優れていることを見せつけることが重要なので、リスクを冒してまで挑戦しようという動機づけは生まれません。これは算数のような正解がはっきりしている問題に取り組む時には有効かもしれませんが、アンジェラ・メルケルに手紙を書くというような、多様な答え方があるような問題に取り組む時にはうまくいきません。リスクを計算した上でチャレンジする方法を子どもが学ぶには自分で考え、新しいことを受け入れ、知的、社会的、文化的世界への問いを持ち続ける必要があるとキャシーは言います。

臨床心理学者のナンシー・エップラーウルフとスーザン・デービスは著書「伸びる子どもを育てる」(未邦訳)で、リスクを引き受けることの利点について述べています。何かを成し遂げることで自信と有能感が生まれると言います。高い岩によじ登ろうとしている子どもは失敗しても自信を失わず、ミスを次のチャンスに生かすことを学びます。宿題であれ何であれ子どもが難しい課題に直面した時、すぐにうまくいかなくても試行錯誤し続けるように励まします。新しい物事に挑戦し、あれこれ試し続けることを称賛します。これが親に求められる大きな役割なのです。「グリット」は簡単に諦めさせず、できることをしっかり見つめるように促すことで育つのです。時には大きな課題を細かく分けて考えることが、成功するために必要だと知ることが子どもにとって大事なことになるだろうというのです。

しかしながら子どもの気質の違いはやはり無視できません。ある子どもはリスクのある状況でも積極的にチャレンジします。親は常に子どもが次に何するか心配ですが。一方どんなに家でチャレンジするように励ましても、自分が最初にやることは誰かが先に試すのを待つ子どももいます。リスク回避型の親を持つ子どもはそうでない子どもに比べて大学進学率が低いというデータがあるそうです。リスク回避型の親が子どもの選択にどのような影響を与えるのでしょうか。このようなタイプの父親と小学年6生の女の子との実際の会話をキャシーは紹介しています。

「六年生の女の子:理科のレポートでカエルのことについて書こうかな。それともラーテル(訳者注・イタチのような動物で「世界一怖いもの知らずの動物」とギネスブックに認定された生き物としても知られる)にしようかな?本当はこっちの方が知りたいんだけどね。

父親:(子どもがうまくレポートを書けるよう支援をしようとして)自分が知っていることにした方がいいに决まっているじゃないか。」

性役割のステレオタイプ

4歳から7歳までの女の子にお医者さんのバービー、普通のバービー、ミセスポテトヘッドのいずれかのバービー人形で遊んでもらいました。その後で10枚の写真を見せました。写真はお医者さんの職場、消防士の職場など色々な職場の写真で、それぞれの写真について「この仕事は女の子に(男の子に)できそう?」と聞いていきました。ドクターバーピーでも普通のバーピーでも、バービー人形で遊んだ女の子は10の仕事のうち、女の子の就ける仕事と判断したのは6つの仕事だけでした。対して殆ど全ての仕事(平均で9つ以上)は男の子には可能だと言いました。逆にバービー人形ではなくミセスポテトヘッドで遊んだ子は、男の子は平均で9つの仕事に就けると言ったのに対し女の子も8つの仕事に就けると判断し、性別の差は見られませんでした。これは何ともショッキングで怖い結果だとキャシーは言います。ほんのわずかな時間の遊びであってもバービー人形のような性別を強調するような玩具は、社会が持つ女性に対してのステレオタイプを子どもに持たせることが分かったのだからと言います。たとえ短い期間であっても、子どもが何と遊ぶかによって、自分をどう見るかというイメージが変わり、自信の形成にも深くかかわるのです。

子どもの時期に性役割のステレオクイプに触れることは、長期的に見た時、女性の成功と自信との間にどのような影響を及ぼすのでしょうか。明らかに非常に高い社会的地位を獲得した女性でさえ強い自信を持てずにいる場合が多いようです。カティ・ケイとクレア・シップマンは、高い社会的地位に到達した女性の数が相変わらず痛ましいほど少ないと指摘しているそうです。これは制度的な間題以上に、多くの女性が自信を育てることができていないことに起因すると二人は主張しています。しかし男性に比べてずっと数は少ないにしても、困難に負けずに失敗覚悟で挑戦し続けた女性もこれまでいました。例えばドイツの汽相、アンジェラ・メルケル。下院議長を務めたナンシー・ペロン。自分のテレビチャンネルを持ったオプラ・ウィンフリ。何年にもわたってニュース番組のアンカーを務めたダイアン・ソイヤー。オーストリアの女優、ヘディ・ラマーを知っているだろうかとキャシーは言います。彼女は絶世の美貌を持つと共に第二次世界大戦を勝利に導くカギとなったワイヤレス通信技術を発明したのです。この発明はGPSやWiFiの先駆けとなったのです。1903年に車のワイパーを発明したのはメアリー・アンダーソンであり、1970年代に非常に強力で壊れにくいジオボードと呼ばれる建築資材を作ったのはパトリシア・ビリングス。彼女達はどうやって女性の役割のステレオタイプを打ち破り、偉業を成し遂げたのでしょうか。私達はそれを考えるべきだとキャシーは言うのです。

では、自信を形成する上で学校、家族、そして気質が果たす役割は何でしょうか?世界的に著名な心理学者エリック・エリクソンは、フロイトの研究に基づいて、人間の発達段階を八つに分けて説明しました。その中で自信の発達に最も関りがある6歳から12歳までの児童は、勤勉さと劣等感との間で揺れ動く時期です。学校で子ども達は新しいスキルを習得し、新しいことを試しながら多くの課題をこなせるようになります。文字を読めるようになります。計算できます。安全に道路を渡れます。自転車に乗れます。靴紐を結べます。そして家事ができるようになるのです。

リスクを計算

リスクをとりイノベーションを目指す環境でなければ、ビジネスは停滞し、ただもがき苦しむだけになるだろうと言います。そこでマッスルホワイトは企業がイノベーションを奨励して「賢くリスクと向かう姿勢」を育て、多少の失敗はあっても、小さなリスクを常に受け入れることを提唱しています。

もし実敗を隠蔽するかあるいは事後に行われる論議において失敗を非難するような組織だったら、知識労働者は「自分はどの位置にいるか」というレベルの自信に留まりイノベーションを起こそうとはしないだろうと言います。では知識労働者はどんな環境に置かれることで、より高いレベルの自信を獲得するのでしょうか。

そこで、レベル3として「リスクを計算する」になります。「計算されたリスク」とはインターネットの辞書による定義ですと、起こりそうな結果について注意深く分析した後でチャンスを引き受けるということです。「口論の仲裁に入ることはまさに計算されたリスク」です。

ここでの「計算」の意味は「事前の見通しを立てる」ということだと言います。このような意味で初めて使われたのは、第二次世界大戦において空襲作戦を実行する前に、自軍の爆撃機を失う可能性をきちんと見積もる際だったそうです。一般的にこの言葉は失敗と成功の可能性を天秤にかける場合に使います。一種の損得分析です。私達は日々の生活の様々な場面でリスクを計算しています。結婚相手を選ぶ場合、大学入学を受け入れる場合、転職を考える場合、車を買う場合、今通りを横切るべきかどうかも立派なリスク計算だと言います。レベル3の自信を身につけるには、リスクを計算し間違いから学ぶ必要があるとキャシーは言うのです。私達はいつも正解を選べるわけではありません。しかしながら失敗するリスクがあると思ってしまうとどうしても固まってしまいます。深く愛してる人がいるのに結婚を踏み切れない。現在の実力では到底の届かない大学にこだわってしまう。全然満足できない仕事を続けてしまう。古くてポンコツの車を手放せない……このように日々の生活において、リスクを計算した上でチャレンジすることに怖気づいてしまうために経済や教育システムは変革できず、停滞してしまうのです。

何かを変えようとする自信は家庭、学校、そして社会の中で形成されます。もし全人口の50%が、本来自分が持っているよりも低い自信しか発揮しなかったらどうなるでしょうか。実はこの50 %こそ女性です。女性はバーピー人形と同じようなスリーサイズを持った性的対象となることが望まれ、幼い女の子がまるで売春婦のような服をさせられる状況がある限り、失敗覚悟で挑戦する姿勢を身につけることはできないというのです。女の子は非常に幼い時から社会的影響に晒されています。このことについて調べるため、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のオーロラ・シャーマンとアイリーン・ツルブリッゲンが次のような実験を行ったそうです。4歳から7歳までの女の子にお医者さんのバービー、普通のバービー、ミセスポテトヘッドのいずれかのバービー人形で遊んでもらいました。その後で10枚の写真を見せました。写真はお医者さんの職場、消防士の職場など色々な職場の写真で、それぞれの写真について「この仕事は女の子に(男の子に)できそう?」と聞いていきました。