教員の自己効力感

TALISが示すのは、教員の教育実践に影響を与える専門能力開発は学校内でおこなわれ、教員が協同的な集団で働けるようにしていることです。専門家として高度な自律性を持ち、高度な協調性と教育的なリーダーシップによって特徴づけられる協同的文化で働く教員は、学校内の専門能力開発に頻繁に参加しており、その活動が彼らの教育実践に大きなインパクトを与えているそうです。

これを実際におこなうことは容易ではありません。ボトムアップ型の教員主導の協同と、誰かがリードする体系的な改善プロセスの間には緊張関係が生じます。多くの学校において教員は、一緒に働く機会を尊重しますが、その時間を最大限に活用しようとすることはないようです。一方、教員どうしの協同を一気に進めようとすると教員は反発します。

事実、学校に協同的文化を構築することは、口で言うほど簡単ではないとシュライヒャーは言います。ボストン大学リンチ教育学部のトーマス・モア・ブレナン委員会の委員長であるアンディ・ハーグリーブス教授は、学校で協同的文化を構築すること、そしてその文化を少数のリーダーシップが優れた熱心な学校や学区を超えて普及させていくことの難しさに注目してきたそうです。彼は、幾つかの学校制度が採用する方法が「仕組まれた同僚性」につながると論じています。それは、何をすべきか、誰とすべきかといった要件をあらかじめ定めた押し付けられた協同であり、ボトムアップ型による専門的で自発的な取り組みや真の協同を妨げます。

しかし、学習コミュニティを創造し、維持するリーダーシップ開発戦略を確立することで真の協同を促すためには、政策が大いに役立ちます。例えば、学校監査や認証評価に専門家との協同で作成した指標を組み込む、専門的な学習コミュニティへの参加を業績給や教員の能力評価と関連づける、校内または学校間での自己学習のための資金補助等です。集団で一緒に学ぶ時間や機会が含まれるような教員の協同を促す仕組みやプロセスは、教員集団としての自己効力感を高めるために不可欠だとシュライヒャーは考えています。このような活動には、教員主導の研究プロジェクト、教員ネットワーク、授業見学、メンタリングやコーチングを含む。効果的な専門能力開発に最も関係する条件や活動を支援することで、生徒もまた好影響を受ける可能性が高まるというのです。

フィンランドの教員は、職業人生を通して効果的な教育実践にかかわる研究に貢献することを期待されます。中国の教員養成制度もまた研究の重要性を強調しており、教員が取り組んだ研究に基づいて教育制度が改善されます。シュライヒャーは、中国の教員主導でおこなわれる研究の量の多さや、教員が研究のために政府の助成金を容易に獲得できる仕組みに驚いたそうです。成功の基準は、教員の研究成果を他校の教員の手で再現できるかどうかです。上海の実験校の元理事で、後に上海トップクラスの教員養成大学の学長になったツァン・ミンシャン氏は、学校がいかにして新しいプログラムや政策を施行したり、他校での適用可能性を実証するための政府助成金を獲得するかを彼に説明してくれたそうです。これらの学校の最も経験豊富な教員は、新しい研究の成果を評価するために共同研究者として参加するのです。