教員への期待

私たちは教員に対して、彼らの仕事として定義された以上のことを期待しています。私たちは教員にまた、情熱的で思いやりがあり、思慮深いことを期待しています。すなわち、生徒が何かに参加し責任を持つように促したり、異なる背景と多様なニーズを持つ生徒に対して、寛容さや社会的結束を促すこと、さらに生徒への継続的な評価とフィードバックをおこない、生徒が自尊感情と仲間意識を感じられるようにし、協同学習を促すことです。そして、私たちは教員自身がチームとなり、他校や保護者と一緒に共通目標を設定し、目標達成のための計画を立てて行動することを期待します。

これらは、教員の仕事を他の専門職に比べて、より高度で特別なものにする側面の一つであると考えられます。シンガポールの権威ある国立教育研究所のウン・セン・タン局長は、教員は同時に様々な学習者のニーズに応えるため、マルチタスクの専門家である必要があると述べています。教員は、常に予想不可能で、どのように反応するかを考える時間がない教室の中で働いています。教員がすることは何でも、たった一人の生徒と一緒であっても、全ての生徒に見られており、その日からその教員が学校でどのように見られるかを決定づけます。ほとんどの人が、少なくとも一人くらいは、自分の人生や希望に深く関心を持ち、自分が誰かを理解し打ち込むことを見つけるのを支えてくれた、学ぶことの喜びを教えてくれた恩師を覚えているものです。

教育システムの質が決して教員の質を超えることがないことは、すでに明らかです。そのため、教育システムが立ち向かうべき最大の課題は、優秀な教員を引きつけ、育成し、確保し続けることだとシュライヒャーは考えています。その課題を解決するために、政府は企業がチームを構築する方法から学べることがあると言います。企業は社員を採用し、選抜するための人材プールの重要性を理解しています。すなわち、新入社員が採用前に受ける初期教育、新入社員を指導して業務を担当できるようにする導入教育、継続的な社員教育、報酬体系、成績優秀者を評価する方法、課題を抱える社員のパフォーマンスを改善する方法、昇進や昇格を目指して高いパフォーマンスを発揮する機会を与える方法等です。

教員採用を研究したときにシュライヒャーが最初に学んだことの一つは、ワールドクラスの教育システムは、教育の専門家を排他的にし、教育を包括的にすることだったそうです。

どんな業界や組織も専門家を採用する際、最も高い成果を見込める層から人々を集めるためにあらゆる努力を尽くすでしょう。ほとんどの業界や企業は、その選抜のために学校や大学、テスト制度に大きく依存しています。それは、日本のトップ省庁が東京大学から採用する際、ウォール街のトップ企業が主にハーバード大学、イェール大学、スタンフォード大学の卒業生から採用する際におこなっていることと同じだというのです。彼らがこれらの機関をターゲットにするのは、卒業生が何か特別な知識やスキルを持つからではなく、最も才能のある若者がそこに集まっていると信じるからです。一方、卒業生の中でも最も高い能力を示す層から全ての専門家を採用する余裕はないので、企業は最も優れた人を鍵となるポジションに配置し、それほど優秀でない人を補助的なポジションに配置する仕組みも作っています。多くの場合、企業は最も優れた専門家を最大限に活用できるようにキャリア構造を利用するのです。