教育の重視

PISAで成績上位の国の多くでは、一般的に教員に高い給与が支払われており、教員免許の価値は高いのです。そして、教育支出の大半は教室内の出来事に使われています。これはヨーロッパの多くの国やアメリカと大きく異なります。ヨーロッパの多くの国やアメリカでは、子どもに弁護士、エンジニア、医者になるチャンスがあると考える保護者は、学校の教員になるようには勧めません。

教育をどれくらい重視するかは、生徒の進路選択に影響を与える可能性があります。現在、保育士不足が叫ばれていますが、その原因は様々ありますが、数人から聞いたところ、高校の先生から進路相談の時に、保育士になりたいと言ったところ、そんな将来性のない職業はやめなさいと言われたそうです。また、地位が低い職業だとも言われたと聞きました。どうも、保育をどのくらい重視するかということが、生徒の進路選択に影響を与えていることもありそうです。

また、最も有能な生徒が教育を仕事として考えるかどうかにも影響します。もちろん、教育の地位は、人々が教育の専門家の見解を重視するか、それらを真摯に受け止めるかどうかにも影響を及ぼすのです。

2013年のOECD国際教員指導環境調査(TALIS: Teaching and Learning Survey)は、教員が自分たちの職業の専門性を社会から評価されていると感じるかどうかは、国によって大きな違いがあることを明らかにしました。これは驚くべきことではないとシュライヒャーは言います。マレーシア、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦フィンランドでは、教員の大半が「社会が教員の専門性を認めていると感じる」と回答しました。フランス、スロパキアでは、そのように回答した教員は20人に1人よりも少なかったのです。日本は、大体真ん中ぐらいですが、平均よりは少ないようです。

では、「全ての生徒が学び、高い水準に達することができると信じる」ということに関してはどうでしょうか?教育の重視は、ワールドクラスの教育システムを構築するための前提条件かもしれません。重視されるのは、その国の教員、保護者、その他の市民が、少数の生徒だけが高い学問的水準に達することができる、またはその必要性があると信じている場合には、その国が得られるものにも限界があると言います。

最近までドイツでは、労働者階級の保護者の子どもたちは、自身が労働者階級の仕事に就くと考えており、ギムナジウムか提供する学問的なカリキュラムから学べるものはないと考えていたそうです。ドイツの多くの地域の教育制度は、今でも10歳の子どもたちを知的労働者になるために大学に進学する生徒と、知的労働者のために働くための準備をする職業学校に進学する生徒に分けています。

PISAの結果によると、これらの態度は将来の教育に対する生徒の考え方に反映されているようです。15歳の生徒の4人に1人が大学進学、あるいは高度な職業資格(実際にそうする人々よりも少ないのだが)の取得を期待していますが、日本や韓国では10人の生徒のうち9人がそのようになると回答しているそうです。