教員の質

PISAで成績上位の国は、成績上位3分の1の卒業生から教員を採用しているそうです。学校システムの質が教員の質を上回ることはないため、もっともなことです。そして、確かに成績上位の国の学校システムは、教職員の採川を重視しています。しかし、それらの国では、成績上位の卒業生が弁護士、医師、エンジニア等ではなく、教員という職業を選んでいるのでしょうか?

教員の知識やスキルを比較するデータを得ることは難しいため確認は難しいようです。しかし、OECD国際成人力調査(PIAAC)では、教員を含む成人の読解力と数的思考力を調査しているそうです。これらのデータを用いて、教員のスキルを他の大卒成人と比較することができます。

結果を見ると比較可能なデータを持つ国の中で、読解力と数的思考力の平均で、教員が大学の学位を持つ成人の上位3分の1にある国は一つもないそうです。また、下位3分の1の国もありません。実際、ほとんどの国では、教員のスキルは平均的な大卒成人と同程度のようです。数は少ないようですが例外はあります。たとえば、フィンランドと日本では、教員のスキルは平均的な大卒成人よりも優れていますが、チェコ、デンマーク、エストニア、スロパキア、スウェーデンではその逆だそうです。

しかし、もう一つの見方があると言います。PIAACでは、全ての国の教員は大卒成人と同程度のスキルを有しますが、大卒成人の知識と技能は国によって大きく異なるようです。日本とフィンランドの教員は、数的思考力でトップにあり、ベルギー、ドイツ、ノルウェー、オランダがそれに続きます。イタリア、ロシア、スペイン、ポーランド、エストニア、アメリカの教員の数的思考力は低いそうです。随分と日本の教員は、スキルが高いのですね。しかし、いい選手がいい監督になるとは限らないと思うのですが。

ある研究では、教員と生徒のスキルとの間に正の相関関係があることがわかっているそうです。しかし、エストニアや韓国などの一部の国では、教員の数的思考力は平均的だそうですが、PISAの数学的リテラシーを見ると生徒の成績はトップだそうです。さらに、成績上位の国では、その国の教員の平均的な知識とスキルから推定される以上の成績を収めているそうです。これは、生徒の好成績は教員のスキルに加えて、他の要因が関連することを示唆していると考えられます。

結局、フィンランドや日本の教員を雇う贅沢な国でないかぎり、教員が尊敬される職業でかつ魅力的な職業選択となるように、知的にも財政的にもよく考える必要があるとシュライヒャーは言います。教員の育成と競争力のある雇用条件にもっと投資する必要があると言うのです。もしそうしなければ、悪循環に陥るかもしれないと危惧しています。教員の雇用条件の悪さは模範的な授業をしている教員の自信を失わせ、授業力を低下させ、最も才能のある教員を退職させてしまう可能性があると言うのです。そして、それは教育の質を低下させてしまうのです。

日本では、教員個人のスキルは高く、比較的処遇もいいにもかかわらず、ななかな改革に遅いところがあります。今回のIT化にしても、随分と他国から後れを取っているようです。