学校の成績

PISAの最も重要な発見の一つは、生徒が努力して学習成果を出さなければならないと思っている国の大半では、実際に全ての生徒が好成績をあげていることでした。

PISAの成績と学校の成績を比較すると、生徒の読解力、学習習慣、学校と学習への態度において、社会経済的に恵まれた生徒の方が社会経済的に恵まれない生徒よりも学校の授業では高い成績を示しています。二つの理由により、この結果は広範かつ長期間にわたって続く可能性があると考えています。一つは、多くの生徒が学校の成績をもとにその後の教育とキャリアを期待されること。もう一つは、学校システムでは学校の成績を使って、生徒への進路指導と大学入学のための選考をおこなうことです。

要するに、全ての生徒を支え、十分な努力を払っている最も成績の良い国の成果を認めないかぎり、学校システムが同じ結果を出すことはできないとシュライヒャーは言うのです。

次の仮定は、「文化的背景は教育に大きな影響を及ぼすのか」というものです。

教育政策や実践は根底にある規範や伝統に基づいているため、幅広い文化を持つ国々の教育システムを比較しても無意味だという意見があります。類似の文化的状況においてのみ比較可能であり、異なる文化的規範の国を比較するとまったく違う意味になるというのです。それに対してシュライヒャーは次のように考えています。

確かに文化は生徒の成績に影響を与えます。例えば、儒教の伝統に基づいた文化を持つ国々は、教育と学校の成績を高く評価することが知られています。多くの評論家は、この文化的特徴がこれらの国々に大きな利点をもたらすと考えているそうです。

しかし、その伝統を共有する全ての国がPISAで高い成績を上げているわけではないようです。儒教の遺産は資産かもしれませんが、それが必ずしも成功を保証しません。カナダやフィンランドのようなPISAの成績上位国は儒教文化と同じくらい教育を重視しているのです。

成功の決定要因は文化であるという主張への強烈な反論は、世界各国で見られる生徒の成績の急速な改善です。たとえば、コロンビア、イスラエル、マカオ(中国)、ポルトガル、カタール、ルーマニアでは、2006年から2015年に科学的リテラシーの平均成績が大幅に向上しました。この間、マカオ(中国)、ポルトガル、カタールは好成績の生徒の割合を増やし、同時に低成績の生徒の割合を減らしたのです。

これらの国や地域は、文化や人口構成を変えたり、教負を変えたわけではなく、教育システムと教育実践を変えたのです。これらを踏まえると、PISA参加国の相対的な位置関係は主に社会的および文化的要因を反映したものだと主張する人は、継承された文化だけでなく、思慮深い政策と実践の結果だと認めるべきだろうとシュライヒャーは言うのです。

次は、「成績の良い生徒が将来教員になるべきか」という仮定です。

自国の学習成果が悪い理由として最も頻繁に使われるのは、最も優秀な卒業生が教員にならないということです。PISAで成績上位の国は、成績上位3分の1の卒業生から教員を採用しているそうです。