厳格な品質保証

私たちは、よくPISAの学力調査とか到達度調査と言いますが、その作られた経緯はほとんど知りません。また、その内容が数学リテラシーと、読解力、科学的リテラシー、革新的な分野であることの意味などは詳しくは知りません。シュライヒャーは、入門として、少し説明しています、まず、受験対象は、多くの国で義務教育が終了する年齢が15歳で3年ごとに実施されます。そのもとは、16歳から65歳の読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力を測定するOECD国際成人力調査であるPIAAC(Programme for the International Assessment of Adult)と緊密に連携しているそうです。この二つの調査目的の違いは、PISAは学校システムが人生の基盤をいかに効果的に達成しているかを評価します。それに対してPIAACは初期スキルがどのようにその後の学習、経済、雇用、社会的な成果につながるかを調査します。

そのために、PISAは、学んだ内容に関する知識、学んだ内容を未知の状況で創造的に活用する能力の両方を評価します。そのために、基本的な調査設計は、初めて調査を実施した2000年以来一定なのです。これにより、各国は政策変更と教育成果の改善を経年で比較できるのです。

また、PISAは、幅広い文化や言語に対応し、評価に用いる題材のバランスをとることに相当な労力を費やしているそうです。テストのデザイン、翻訳、サンプリング、データ収集においても、厳格な品質保証がおこなわれているそうです。

さらにPISAは様々な関係者の協働で推進されるプロジェクトです。ですから、出題範囲と内容、収集される背景情報は参加国・地域を代表する専門家が決定しているそうです。政府は、政策的な共通の関心に基づいてこれらの決定を監督するそうです。

このような調査は、言うのは簡単ですが、実際に実現していったのには随分とエネルギーを必要としたでしょう。また、出題内容も、各国に共通するものを模索すると同時に、時代によって、子ども達に求められる力が変化していくわけですから、それに対応していくのも大変でしょうね。また、その結果に対しての改革が、真の教育改革に繋がっていけばいいのですが、たんに点数を上げるための対策に終わってしまっては意味がありません。そのためにも、きちんとPISAを理解し、何を求めているのか、そのためにどのようにしていけばいいのかを考えていかなければなりません。

では、ふたたびシュライヒャーが明らかにしようとした間違った仮定を紹介します。次の仮定は、「移民は学校システムのパフォーマンスを低下させるのか」というものです。

近年、何千人もの移民や前例のない数の子どもたちを含む亡命希望者が、ヨーロッパでの安全とより良い生活を求めて荒海や有刺鉄線のバリケードを越えようとしています。私たちの学校は、移民の生徒が新しい社会に受け入れられるように助ける準備ができているのでしょうか?そして、異なる文化的背景の人々と協力し合う準備ができているでしょうか?多くの人は、それは単に不可能だと考えています。

しかし、次の点を考慮してほしいとシュライヒャーは言っています。PISAの結果は、ある国の移民の背景を持つ生徒の割合と、その国の生徒全体の成績には関係がないことを示しているそうです。同じような移民履歴と背景の生徒であっても、各国の成績レベルには非常に大きな違いがあるようです。移民問題が起こる前から教育移民はありましたが、近年移民生徒への注目は高まっています。