何を学ぶことができるか

アメリカとは対照的に1960年代の韓国は今日のアフガニスタンと同程度の生活水準にあり、教育水準は最も低い部類にありました。現在、十代の高校卒業率については、韓国は世界で最も高いのです。韓国は教育基盤を構築し、ハイテク経済に変化しました。韓国や東アジアの教育システムの高い成果は、満足度が低い生徒の犠牲に成り立つと言われる向きもありますが、東アジアへの教訓として、最新のPISAの結果を見ると、エストニア、フィンランド、オランダ、スイスなどの教育システムは、生徒の高い満足度と優れた学習成果の両方を達成しているようです。もちろん、国際評価には思わぬ誤りもあり、信頼性の高いテスト設計にはまだまだ課題が残ると言います。成功といえる基準は、国家間の比較が可能であり、国レベルで意味のある方法でなくてはならないと考えているようです。比較可能な結果を得るためには、同条件でテストを実施する必要があります。それ以上に、政策立案者は新たな選択肢を探索するための手段としてではなく、既存の方針を擁護する結果を重点的に使用する傾向があるようです。どうしても、今まで取り組んできたことを変えることに躊躇するようですね。結果的に、何も変わらないという結果になってしまいます。

最新のPISA結果が2016年12月に発表される直前、今回のPISAの順位に大きな変化があるかと、世界中の人々から電話がかってきたそうですが、PISAのような国際比較には驚くようなことはないとシュライヒャーは言います。教育の質と公平性は、計画的で慎重に設計され、組織的に実施された政策と実践の結果だと言います。急速に改善した学校システムがPISAの結果という証拠を得たとしても、教育改善には地層ができるような時間を要します。しかし、国の相対的な立場は主に社会文化的背景を反映していると主張する者でさえ、教育システムの改善は可能だと見認めざるを得ません。PISAの結果で最も驚くべきことは、優れた学校や教育システムには多くの違いにもかかわらず、文化的、国家的、言語的な境界を超えた共通の特色が見られることです。だからこそ、国際的な視点から教育を調査研究する価値があるのだとシュライヒャーは言うのです。

彼は、今こそ間いかけようと呼びかけます。世界一先進的な学校システムから何を学ぶことができるか。他国の事例は生徒、教員、学校管理職にどのように役立つか。政治家や政策立案者は、類似の課題に直面している国からどのように学び、情報に基づいたより良い意思決定をおこなうことができるか。さらにそれに続く国際的な例があるにもかかわらず、なぜ彼らから学ぶのが難しく、同じ過ちを繰り返すのを止められないのか。このような疑間を尋ね、答えることはかつてなく急務だというのです。

この学校教育の改革に対して、乳幼児教育の改革は難しいものがあります。なぜなら、PISA調査のような比較基準がないからです。また、調査における課題の設定もなかなか目に見えるかたちでは表すことができないからです。しかし、改革は小・中学校教育同様、急務です。もし、できるとしたら、先進的な学校システムにつながるようなカリキュラム、類似の課題に直面している国からどのように学び、情報に基づいたより良い意思決定を行なうことをしていかなければならないのです。

私は類似した課題として、デジタル化とグローバル化に向けて、少子社会での子どもの環境の変化があると思っています。