深い学び

私達は深く学び、深く知る存在にならなければいけないと言います。それはロボットやコンピュータがこれまで人がしていた単純作業を奪ってしまうからではありません。ロボットがもっと深く考えられるようになってきているからだと言うのです。自動運転する車が実際に走り始め、様々な分野でロボットの活用は進む一方です。入皖している時にナースコールを押したらロボットがやってきて、至れり尽くせりの世話をしてくれるという想像は夢物語ではないどころか、目前に迫っているのです。あなたの手を握り、共感し、あなたを心地よくしてくれる「ソフトスキル」を備えた社会的なロボットが会社にやってきます。会議室から工場まで全ての場所で、最高に教育されて柔軟で、世界で最も創造的かつイノベーティブなロボットが活躍しています。こうして簡単に仕事は機械にアウトソーシングされ、私たちの子どもの仕事はなくなっていくと言うのです。

知識コンテンツを獲得することに親も学校もそして教育産業もこれまで囚われ過ぎていました。しかしどうしたら子ども達の深い学びを促進できるか改めて問い直し、コンテンツの意味を再定義する時期に差しかかっていると言うのです。私達が身につけるべきコンテンツは人が発見した事実ではなく、問題を解決するための答えを自分でどのように見つけるかということと、そのために情報やリソースをどのように組み合わせるかということなのだと言うのです。

ダーウィンは「強い種や高い知性を持つ種が生き残るのではない。変化に対応できた種が生き残った」と書きました。今まさに子どもが必要とすることを見抜いていたのだとキャシーらは言います。では不透明な状況に直面した時、柔軟に用いることができるように、私たちはどのようにコンテンツを身につけてゆけばよいのか、ということを、キャシーらは、4半世紀にわたる学習科学の知見に基づいて、コンテンツを学ぶプロセスについて明らかにしていきます。

レベル1は、「特定の状況・領域について学ぶ」ということで、「初期の学び」です。それは、「同時に起こる二つの事象を結びつける赤ちゃんの学び」ということで、考えていきます。

乳児の世界は混沌とした状態にあるとかつては考えられていました。もし物体や人が自分の方に向かってきた時、まるでおかしな万華鏡を覗いているかのような滅茶苦茶なイメージに見えていると思われていたのです。しかし今では赤ちゃんは生まれる前から知識を学び始めていることが解っています。

胎内にいる時に母親が語ったお話や口ずさんだ歌について意味は理解していませんが、メロディーはしっかり覚えています。誕生すると学びは急速に広がります。いつも楽しいことをしてくれるおじさんと怖いおじさんを区別し、お母さんが食事の時に高い椅子に座らせてくれて、ごはんを口に運んでくれることを認識し、お気に入りの歌とお話がいつも同じ終わり方をすることを理解します。赤ちゃんは見て、聞いて、嗅いで、触って、味わって、つまり五感を全て使って学んでいるのです。手と口を動かして色々試そうとする様子はまるで小さな科学者のようだとキャシーは言います。