ビッグデータ

私達はビッグデータの時代に生きていて、情報を至るところで無料同然で手に入れられるようになりました。ビッグデータの特徴をキャシーは4つのVで語っています。まずVolume (容量の大きさ)です。地球上の全人口70億人のうちの60億人が携帯電話を持っていますし、コミュニケーションをとるための電子機器は携帯電話の他にも色々あります。次にVelocity (頻度・スピード)です。2016年現在、ネットワーク接続できるポイントは1890億か所で、地球上の一人ひとりが2.5か所ものポイントを持っていることになります。続いてVariety (多様性)です。動画や音声など様々な形でデータが入手可能です。最後にVeracity (正確さ)です。一体巷に溢れるデータのどれが正確なのでしょうか?19世紀の教室では学生は州都、詩、公式、化学式など多くの事柄をひたすら覚えなければなりませんでした。しかし今の子ども達が情報を記憶する意味はなくなりました。9の平方根、ノルマン人がイギリスを征服した年代といったような知識はこれからもずっと変わらないかもしれませんが、10年前に発見された知識の殆どが最早通用しなくなっているのです。アメリカの高校には、成績上位者のみが受講できる、大学の単位を取得できるクラスがあります。それは、大学の教養課程の単位として認められます。そのクラスは、Advanced Placementを略してAPと言いますが、MITは、このAPの生物については、たとえテストで満点だったとしても単位として認めないことを決めたそうです。なぜならテストされている内容が既に時代遅れの情報になっているからだそうです。

ビッグデータの時代では、情報は恐ろしいほど多岐にわたります。企業間の取引情報、体につけたセンサーからの健康情報、GPSによって追跡された地図情報、ツィッターに投稿された情報など枚挙にいとまがありません。キャシーらが7歳だった頃と比べて、100倍、いや1000倍の情報の渦の中に今の子ども達は晒されているのです。しかし相変わらず学校のカリキュラムではテストで正解することを求めているのです。グーグル時代において、事実は子ども達の指先の操作だけですぐに手に入るのです。7歳の子がさっと指を動かせば、一瞬でカタールにある世界で一番高いビルの名前が判るのです。最早子どもはコンピュータと共に成長していると言ってもいいとキャシーは言うのです。

ローマ帝国時代の歴史家プルタルコスは「教育とはバケツをいっぱいにすることではない。火をつけることだ」と言ったそうです。しかし未だに私達は必死になって。ハケツを満杯にしようとしているのです。バケツは学校で「基礎学習」という名の下に詰め込まれたコンテンツだけで溢れそうになっているのです。国語や算数ばかり重視して、社会の人々をどう理解するかということも子どもが学ぶべき知識だとは殆ど考えないとキャシーは言います。ご近所さんの中には自分とは違う文化から来ている人がいること、人々は多様な価値観を持っていることなど、社会に生きるために大事なことを学ぶ機会を与えないのだと言うのです。