いつ、どのように

最後の公準は、どのように言いたいことを言うかという作法の公準です。「はい」か「いいえ」のどちらかで答える単純な質問をしただけなのに、10分間にわたって、「はい」か「いいえ」では答えられない理由を長々と話し続ける子がいたとします。その子をディナーパーティに誘いたいとは思わないでしょう。作法の公準とは簡潔明暸に語ることを意味し、大人になれば自然に育つ能力ではなく、意識して身につけるべきスキルと言います。子どもの場合、4歳ぐらいでまだ「心の理論」を持たない時点では、聴き手の立場や知識を考慮できないので、作法の公準に従うことは難しいと言います。

レベル4のコミュニケーションを実現するには、以上述べてきた公準を、いつ、どのように適用するか知らなければなりません。Eメールなどのソーシャルメディアは、レベル4のコミュニケーションを妨げます。声の調子も、顔の表情も分からないので、ノンバーバルな情報を伝えられません。そのためスマホやPC上で誤解が誤解を生み、とてつもないトラブルへと発展してしまうことがあると言います。

子どもは良いコミュニケーションの公準を、やり方を教えられて学ぶというよりは、経験を積み重ねて学んでいきます。レベル3のやりとりする対話を積み重ねることが、自分の言いたい意味を的確に伝え、他者の反応をきちんと聴きとる、レベル4のコミュニケーションの礎となるのです。母親が息子に土曜日、ミニゴルフに行けなくなったと伝える時、さりげなくウインクをします。こうして母親は息子に土曜日が父親の誕生日だと思い出させたのです。こんなやりとりがレベル4の素地になるのです。

子どもがレベル4のコミュニケーションを獲得するのに何が妨げになるのでしょうか。それはテレビを見ながらの夕食であり、Eメールの読み書きに夢中になってしまうことです。せめてタ食の時はスマホのスイッチをオフにしようとキャシーは提案します。両親がスマホでメッセージを送り、Eメールに反応することに注意を奪われていると、子どもが発しているサインとせっかくの学びのチャンスを見逃すことになると言うのです。

11歳の兄が8歳の弟を恐ろしい顔で睨みつけ、つかみかかろうとしていました。これはノンバーバルではありますが、作法の公準に違反しています。どうしてこんな状態になったかというと、兄が恐竜の話をしている途中で弟が友達の旅行の話をしたいと言い出し、会話を遮ったからです。両親がスマホを切って、子どもの会話に耳を傾けていれば、弟に恐竜のお話が終わるまで待つこと、つまり会話のマナーを実際の文脈の中で学ばせることができたはすです。しかし、せっかくの家族団欒の夕食の間、ずっとスマホを手放すことをしないという悪いモデルを両親が示し、そうしても構わないというメッセージを子どもに送り続け、学ばせてしまったのです。

あるテレピドラマの中で面自いゲームをしているシーンがあったそうです。仲間とレストランに行った時、テーブルの真ん中に携電話を置きました。食事をしながらワイワイ盛り上がっている最中に、我慢できなくなり最初に携帯を手にした者が全員の食事代を支払うというのだったそうです。家族の場合も、ペナルティーを変えて似たようなやり方ができるでしょう。自然にレベル4に到達することはないとキャシーは言います。親や教師が会話のマナーについて意識し、実際の会話を注意深く観察するよう努め、折に触れて子どもが学ぶ機会を作ることが重要だというのです。