本当の学び

キャシー氏とロバータ氏は、子どもはどのように学ぶか研究を続けてきた科学者の立場から、この現状にどう立ち向かってゆくか考えています。彼女らの目標は二つの単純な問いに集約されます。一つは、あなたにとって子どもの「成功」とはどういうことかです。そして、もう一つは、あなたの文化や生活スタイルを活かし、どのような方法で子どもの「成功」を実現するか?です。そのために、彼女らは、学びと教育についての新しい定義を示し、子どもが多様な道をたどって「成功」を目指す時に、信頼できる情報に基づいて判断できるようにサポートしたいと言います。

本当の学びは何種類もの言語が描かれている赤ちゃん用モビールによって生まれるものではないと強調します。巨大な教育産業は、魅力的なメッセージで誘いかけてくるので、思わず信じてしまいそうになります。しかし、取りこまれてはいけないと警告します。

さらに、あともう一つ挙げています。それは、子どもがどれだけ事実を覚えたかチェックするテストで良い点数をとるだけでは、やはり、真の学びとは言えないということです。国連の事務総長による教育についてのグローバルイニシアティブと言われている国際指針はこう指摘しているのです。

「世界は地球規模で解決が求められる大きな課題に直面している。相互に関わりを持つ地球規模の挑戦は、全ての人々の尊厳のために、私達がどう考え、行動するか、大きな意識変革を要求している。一人ひとりが、読み、書き、計算できるようになるだけでは、教育の目標として不十分だ。教育は変わり続けるものであり、重要な価値観を生み出すものである。……教育は、また、私達の日々の生活に繋がる大きな問題について答えを出すものでなければならない。」

今、世界のどこにおいても、教育について議論する際に、まず取り組まなければいけないと考えられている課題は、中核となるいくつかの価値観と到達目標を作り出すことだとキャシー氏らは言います。ティーチ・フォー・オールというような、アメリカから発展してできたグローバルな教育団体のネットワークのウェンディ・コップ達のチーム、セサミストリート、ブルッキングス研究所のグローバル・エデュケーション・イニシアティブ、そしてニューヨーク科学アカデミーでさえも、21世紀において「成功」するためには、「対話する能力」が全ての子ども達にとって最も大事なスキルとなることを認識しているそうです。このティーチ・フォー・オールは、アメリカ、イギリス、チリ、インド、中国など世界26か国が加盟し、有望な未来のリーダーを教師として派遣することで、教育格差を解消するための活動をしています。そして、これらのスキルは、グローバルな視野を取り入れながら、文化の違いを意識して伝えられるべきだと考えられているそうです。衣服でたとえてみるとこのことがよく解るだろうと言います。衣服は、二本の腕と二本の足を入れられるようにするという制約がありますが、それ以外のデザインは文化によって様々な違いがあって構いません。グーバル化が進み、世界は小さくなり、地理的な境界線も曖味になった結果、西洋社会に生きる子ども達は、画一化したスキルを身につけるように強いられていますが、文化ごとに衣服のデザインが異なっていいように、それぞれの文化によって違いがあっていいのではないかというのです。

本当の学び” への3件のコメント

  1. 一斉画一、確かにグローバリゼーションが目指す方向性かもしれません。そして、実際、そうした傾向にあることの脅威を今日の政治経済から感じてしまいます。AIの発達は、個々を尊重すると見せかけながら、実は、一斉画一の方向に人々を誘っているような気がします。「国連の事務総長による教育についてのグローバルイニシアティブ」この発言については、我が国の教育関係官僚たちはもちろん、文科大臣をはじめ、主だった教育者、そして各自治体の教育委員会の皆さんには周知なこと、と信じています。今、世界は、same, same, but differentを教育の標語にしているようです。本来ならば、different, different, but same、だと私は思っています。「文化ごとに衣服のデザインが異なっていいように、それぞれの文化によって違いがあっていいのではないか」と疑問形で示すのではなく「違いがあっていい」と断定した上で、それでもホモサピエンス生存という共通課題まさにsameの部分。そのsameに人々の目が向けられる必要があると思うのです。核の脅威、気候変動、そしてバイオテクノロジー、AIの進化深化、これらのことについて私たちは共に考え対処していかなければならないと思うのです。そして、子どもたちにこそ、このことを実現してほしい。「子どもが多様な道をたどって「成功」を目指す時に、信頼できる情報に基づいて判断できる」そうした施設なり学校を作っていきたいものです。

  2. 「子どもがどれだけ事実を覚えたかチェックするテストで良い点数をとるだけでは、やはり、真の学びとは言えない」ということは、これまでの学びの中にもありましたが、実際にどのような学びが「真の学び」であるのかということは明確に理解していませんでした。言われたことのみをするのではなく、自ら考えどう行動するのか、そういった経験値からまた思考し、行動し、着実に成長を遂げていく過程に、「真の学び」がある印象を持ちました。つまり、“”変わり続けること”が真の学びであるように感じます。そして、本文にもありました「教育は変わり続けるものであり、重要な価値観を生み出すものである」というように、既存の価値観の枠組みのみを活用するのではなく、そういった価値観すらも超えたり、新しい価値観を生み出せる人に育てることが教育の目標でもあるように感じました。

  3. この度の新型ウイルス拡大防止について、日本人の国民性については海外から賞賛を受けたことを耳にしました。国民性、学校で習ったり、直接誰かから教わったり、もしかしたら教わったり習って覚えたりした人もいるのでしょうが、多くはそれを自然と身につけていった部分があったりはしないでしょうか。それは学校の授業で習うような教育ではないながら、はっきりとした日本という国で生まれて身についた教育であるようにも思えてきます。教わっていないのに教わっていて、教えていないのに教えている、そういう実態がないのに確かに在るものを伝える、その具体性を見守る保育Fujimori methodに見ることができるように思えてきます。

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