技術が急速に進歩した場合、私達が必要とするスキルは、父母の世代や祖父母の世代に必要だったものとは大きく異なるでしょう。簡単に言えば、いまだ世界において優勢な教育方法は、時代の変化に追いついていないとキャシー氏らは言うのです。世界中の組織が、これまでのやり方に疑問を抱き、変わろうと模索しているのに対して殆どの学校では、これから目指すべき方法とは正反対のやり方がまかり通っているのだと指摘します。
カナダのオンタリオ州は、これから必要となる共通スキルによって教育を再構築し、最先端の教育を既に始めているそうです。州教育のミッションステートメントでは、21世紀を生き抜く子ども達を育てるために必要な共通の到達目標を定義しているそうです。それは、オンタリオは、思いやりがあり、創造で、責任感のある大人を育成するために、健康で幸せな子どもと若者をサポートする環境を作ることを目指すというものです。そこで、キャシー氏らはこのオンタリオ州の目標に少し言葉を足して、これから目指すべき姿をまとめてみています。それが、次のものです。
「私達は、学校の内外を問わず、健やかて、思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる、幸せな子どもをサポートする環境を作る。そんな子どもが、やがて、他者と協力し、創造的で、自分の能力を存分に発揮する、責任感溢れる市民となり、社会を活性化する。」
もし、これが、共有すべき目標を示しているならば、この目標を目指す挑戦こそ、私達が取り組むべきミッションではないかというのです。しかし、この目標は、私たちが目指しているものと、全くと言っていいほど、共通なものを感じます。ここには、子どもに育ってほしい力を環境を通して行うことを中心に据え、それを他者と協力して、望ましい市民として、社会を構成することを表しています。そこで、キャシーとロバータは、そのレベルの高いミッションをどのようにしたら達成できるかということを提案していきます。
彼女らの提案は、今まで私たちがよく目に触れるような抽象的なことではなく、意外な視点を持ちます。それは、子ども自身からであり、子どもの学びを研究する科学からだというのです。どのように子どもが学ぶか研究することで、これからの子どもが身につけてほしい、システムとして統合的に働くスキルが見えてきたと言うのです。このスキルこそ、「はじめに」で述べた「6Cs」であるというのです。
繰り返しますが、6Csとは、「Collaboration.Communication.Content.Critical Thinking.Creative Innovation.Confidence」です。これから、それぞれについて、詳しく説明していきます。
まず、コラボレーションCollaborationです。私たち人類は、誕生した瞬間から、乳児は家族というコミュニティに入り、家族のメンバーとの接し方をコントロールするために、初期のコラボレーションを発揮します。コラボレーションしながら、文化のパターン、人によって反応を変える方法、交代する方法、一緒にレゴを組みてて経験を共有する方法、社会的な状況で自分をコントロールする方法を学び、次第に本当のコラボレーションができるようになっていきます。