両親の離婚の影響

現代の女性たちも、物心両面で助けが必要なときに、身内が頼りになる可能性が高いので、身内と親しく付きあうとミラー氏は言います。このことから、二つの事柄が推測できると彼は言います。まず、女性の場合、子育てを助けてもらうために、身内に頼るのだとすれば、物質的に豊かで、身内の支援を必要としていない女性は、身内との関係を維持する必要がないだろうということが推測できます。もう一つは、夫がいる女性は、シングルマザーほどには、身内の助けを必要としないということです。父性の不確かさは否めないとはいえ、夫も子どもに一定の投資をするので、夫がいれば妻の子育て負担は軽減されます。裏を返せば、男性の場合、身内との関係は、所得が多いかどうかや妻がいるかどうかにはまったく影響されないはずだとミラー氏は言うのです。

アメリカで集めた膨大なデータを分析した結果、これらの予測はいずれもあたっていたそうです。女性の場合は、世帯の所得が多く、夫がいれば、身内との関係はそれほど親密でなくなりますが、男性の場合は、所得も既婚かどうかも、身内との関係に影響しないようです。標準社会科学モデルの立場からは、こうしたパターンを説明できないとミラー氏は言います。

発達心理学では20年近く前から、子どものとき、とくに5歳以前に両親が離婚すると、女の子は早めに初潮を迎えることが知られているそうです。離婚家庭の女の子は、セックスを経験するのも早く、より多くの相手とセックスをする傾向があり、10代で妊娠する確率が高く、最初の結婚は離婚に終わる確率が高いと言われているそうです。初潮を迎えることは、生物学的には生殖キャリアが始まるということだそうですが、早めに初潮を迎えた少女たちが、早い時期にセックスを経験し、多くの相手とセックスし、早い時期に妊娠するのは、進化的には理にかなっているとミラー氏は言うのです。しかし、進化的に理にかなっているからといって、よいとか望ましいとはかぎらないということは肝に銘じてほしいと言います。しかし、なぜ子ども時代に父親がいないことが、初潮を迎える年齢、ひいては活発な性行動の開始時期に影響するのでしょうか。

これについては竸合する二つの説があると言います。一つは、初潮を迎える時期が早いか遅いかは遺伝的に決まるという説です。もう一つは、環境によって決まるという説です。どちらのモデルが正しいのでしょうか。

初潮の時期については、両方のモデルが部分的に正しいようだとミラー氏は言います。初潮の時期はかなりの割合で遺伝することを示すデータがあり、5~8割方は遺伝で決まるとされているそうです。このモデルでは、初潮を早く迎える娘たちは、性的に活発であるために、離婚率が高く、その遺伝子が娘にも受け継がれると説明できると言います。そのため、母親が離婚し、父親なしで育った少女たちは初潮を早く迎え、性的に活発になるわけだというのです。

遺伝モデルはデータで裏づけられているのですが、環境要因も無視できないとミラー氏は言います。遺伝子が決めた一定の幅の中で、環境要因によって初潮の時期は早くなったり遅くなったりするようです。

両親の離婚の影響” への5件のコメント

  1. 離婚することが子どもの為となることもあると思いながら、このようなデータがあると、やはり両親仲良くいることの大切さを感じてしまいます。遺伝的な素養、環境的な要因、どちらもその後に影響を与えるものであることは、親としての生き方を問われているかのようで、どう生きることが子どもにとって良いことなのか、改めて考えさせられるものがあります。今は、毎日楽しく過ごしているだけの日々ですが、これから心と共に身体的な成長が我が子たちにもくるわけで、その時にどのような人間になっているのか、楽しみであると同時に、親としてどのような生き方をしてきたのか、子どもたちの成長の仕方にそれが現れる部分が0ではないような気もしてきます。

  2. 「女性の場合は、世帯の所得が多く、夫がいれば、身内との関係はそれほど親密でなくなります」というなんとも言えない現実があるようですね。子育てへの投資は有限であるからこそ、所得が身内との関係性を構築することもあるということを知りました。同時に、男性の「所得も既婚かどうかも、身内との関係に影響しない」というもの面白いですね。まぁ男性の方が女性よりもコミュニケーションスキルは得意でないことが影響しているのでしょうか。そして、5歳以前の両親の離婚が初潮の早さに関連すること、また、遺伝的要因を含んでいるということには驚きました。幼い頃に両親が離婚したという環境によって離婚に繋がるような行動形式をとってしまうのはイメージがつきますが、遺伝子の中にも離婚に導く可能性が存在していることはイメージできませんでした。個人的に、遺伝子の重要度が高まりました。

  3. 進化心理学が標準社会科学より説得力があるような気がします。もっとも、説は説であり、絶対性も永遠性および普遍性の観点ではまだまだ考えさせられるところがあります。しかも「アメリカで集めた膨大なデータを分析した結果」とあれば、東アジアや南アジア、あるいはモンゴロイドとアーリアンではどうなの?と疑問が頭を擡げます。という、ひねくれた感想をまず表明し、本文の「分析の結果」に果たして自分は当てはまるか、やってみます。「物質的に豊かで、身内の支援を必要としていない女性は、身内との関係を維持する必要がないだろう」これはたぶん正解の可能性が高い。家内はどう思っているか?「男性の場合は、所得も既婚かどうかも、身内との関係に影響しない」これは正解!2つだけですが、何か先の疑問が払しょくされそうです。遺伝子ということはそうだろうと思います。その影響は社会環境要因より大きいかもしれないと思いつつ、やはり社会環境要因も過小評価できないと思います。ハリス氏の学説により環境要因としての親の在り方、生き様は、本人を取り巻く他の環境、たとば、付き合っている人や貧困地域で暮らしているかどうか、などと比較するとさほどでもないような気がします。親からの遺伝子は認めつつ、子には子が選択する環境がある。しかし、その選択も38億年の生物の歴史によってなされている。話は飛びますが、私たちが選択すること、そして子どもが選択すること、いずれにせよ、子どもが選択することは全面的に認めることが肝要だと思いました。

  4. 子どものために離婚の道を選ぶという男女がいる中で、このようなデータがでてくると、子どものためにどうするべきなのかというのは、先を見据えて慎重に考えなければならない問題であることを感じます。しかも、そのことは〝進化的に理にかなっている〟ということで、考えられる最悪のケースというものの方が自然なことだという捉え方もできます。
    親になった今、改めて親としての日常をどう過ごしていくべきなのか、我が子たちの成長を喜びつつ慎重に見つめていく必要があることを感じました。

  5. 初潮を早く迎える女性が、より多くの相手との性行を経験し、よりはやい妊娠を経験すると聞けば、なんだかデメリットしかないような気もしてきますが、そんな女性達でも淘汰されずに、遺伝子を今この現代まで残し続けていることを考えると、そこには何かしらのメリットや需要がこの現代にあるということなのでしょうか。安心安全な家庭で、より安定した相手を吟味し家庭を築いていくことだけが世界に必要とされているわけではないというなんだか複雑なテーマにも感じます。

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