衝撃的な結果

1000人という規模は、世界的に見るとそれほど大きくはありません。この研究が世界中から注目されているのには二つの理由があるそうです。一つは、この研究では、対象となる子どもたちを、2~3年ごとに追跡調査をし、その成長の軌跡を長期問にわたって追跡しているという点です。もう一つの理由は、参加率が高いことです。こういう長期縦断研究では、年々参加者が減っていくそうです。たとえば、最初1000人の子どもが対象だったとしても、引越しなどによって参加が難しくなり、10年後には半分になるということも少なくないそうです。参加者が減ると、データの信頼性が落ちてしまいます。ところが、この研究では、38歳の時点において、90%以上の参加率を誇るそうです。つまり、非常に信頼できるデータということになります。

デューク大学カスピ博士らのグループによる2011年の報告では、子どものときの実行機能から、32歳になったときの健康状態や、年収や職業、さらには犯罪の程度までを予測できることが明らかになったそうです。この研究では、5歳から10歳頃までの子ども期における実行機能を、親や保育士などに評定してもらいました。マシュマロテスト一つで調べたわけではなく、さまざまな側面から実行機能を調べたのです。この点が大事な理由だと森口氏は言います。

それらの子どもを大人になるまで追跡し、大人になったときにどのような影響が見られるかを検討しました。その結果、子ども期において実行機能が低い子どもは、家庭の経済状態やIQなどの影響を統計的に除外しても、大人になったときに以下のような点で問題を抱えやすいことが示されているそうです。

健康面では、循環器系疾患のリスクが高い、肥満になりやすい、性感染症になりやすい、歯周病になりやすい、でした。

依存症では、ニコチン依存症になりやすい、薬物依存症になりやすい、でした。

経済面では、年収が低い、社会的地位が高いとされる職業につきにくい、将来への資産運用ができない、貯金が少なく破産もしやすい、でした。

犯罪面では、何らかの違法行為を行って、裁判で有罪判決を受ける可能性が高い、家庭面では、子どもがいる場合、シングルで育てることになりやすい、などでした。

かなり衝撃的な結果です。子どものときに実行機能が低いと、大人になったときに、経済面はもちろんのこと、健康面、家庭面、犯罪面など、多岐にわたる影響を受けてしまうようです。実行機能が高い子どもは、大人になったときに肥満や循環器系疾患で悩むことや、ニコチンや薬物に依存することが少なく、年収や社会的な地位は高く、犯罪を起こす確率が低かったのです。もちろん、これは全体的な傾向に過ぎないので、必ずそうなることを約束するものではありませんが。それでも、子どものときの一つの能力が、これ.ほど後の人生にさまざまに影響することはなかなかないと森口氏は言います。

こういう話を聞くと、お子さんをお持ちの方は、お子さんの実行機能がどの程度か、また、子どもの実行機能を伸ばすことができるのかという点が気になるのではないかと森口氏は言います。しかし、安心して大丈夫だと言います。

衝撃的な結果” への8件のコメント

  1. なかなかしっかりとした長期縦断研究ですね。確かにその結果の信憑性が増します。実行機能の高低で大人になった時の状態が左右されるとなると、これから子どもを育てていく親にとっては無関心ではいられませんね。わが子が「循環器系疾患のリスクが高い、肥満になりやすい、性感染症になりやすい、歯周病になりやすい」「ニコチン依存症になりやすい、薬物依存症になりやすい」「年収が低い、社会的地位が高いとされる職業につきにくい、将来への資産運用ができない、貯金が少なく破産もしやすい」さらに「裁判で有罪判決を受ける可能性が高い、家庭面では、子どもがいる場合、シングルで育てることになりやすい」となったら、これはまずい、と思います。わが子はまもなく選挙権を持つ年齢に達しますが、大人になって以上のことがわが子に起きるとすると・・・何だか不安になりますね。大丈夫だろうか?まぁ私はいいとして、これからお子さんの育ちに寄り添うヤングペアレンツの皆さん「安心して大丈夫」との森口氏の言葉を信じましょう。信ずるものは救われる、と言いますから。

  2. 実行機能、恐るべしですね・・。経済面、健康面、家庭面、犯罪面において、実行機能の存在が影響を及ぼし、多くの人が望んでいる未来に近づくために必要なようですね。しかし、よく考えてみると思考や行動を自分でコントロールする実行機能が、上記の面をより良くするのは納得ですね。本能的な要素を理解しながらも理性を保ちつつ、目先の誘惑に打ち勝つことができれば、うまい話に乗せられることはなく経済面が安定し、これが自分の体調を崩している要因であるとわかっていながらも欲求に負けて健康を害するようなことはせずにいられますし、家族に対しても思いやり持って良好な家庭環境を築けるでしょうし、もちろん、目先の喜びに惑わされるのとなく犯罪といったものに無縁になりますね。

  3. この長期縦断研究というのはマシュマロテストだけでなく、いろんな方法や側面からの研究であるんですね。前回書いたコメントが自分の軽率な文章であったこと、恥ずかしく思います。たしかに、そうでなければ正確性や信憑性に欠けることになります。
    しかし、子どもの頃の実行機能は将来を左右するものであると言って差しつかえないものですね。少し先のことを予測することによって、危険を回避できたり、健康的な行動や自制をしたり、本能的なものと上手に向き合う、といったことになるのでしょうか。よくよく考えてみれば納得いくものです。そして、最後の文章に子を持つ親として反応してしまいます。お言葉に甘えて安心させていただきます。

  4. 長期縦断研究は参加者数が減っていってしまうのですね。研究の方法については知識がなかったので、ほぼ参加者が100%だと思っていたのですが、人数が少ないと信憑性には欠けてしまいますね。
    それにしても、実行機能が低い子の結果内容がかなりの衝撃ですね。自分の娘たちも心配ですが、自分が小さい頃にこの実行機能が高められていたのかと思うと不安になります。
    しかし、森口氏が安心して大丈夫とのことなので安心したいと思います。

  5. マシュマロテストに限らず、様々な側面から実行機能を調べたとあります。そして、そこから将来多くの影響が出てきたことが分かったのですね。結果を見ていくと、やはり当然ながらマシュマロテストと同様の結果が見えてきます。精査されより、信憑性のある結果が出てきたと同時に、実行機能の重要性がよりはっきりとしてきたということが分かります。そのうえで、実行機能がいかに将来、経済面、健康面、家庭面、犯罪面に影響が出るかということを知っておかなければいけないですね。ただ、「安心して大丈夫」という言葉は一縷の望みもあるということなのでしょう。確かに、大人になり、仮に幼少期逆境の中にいたとしても、更生し、様々な面で活躍している人もいますし、統計から外れた人もいる事だろうと思います。マシュマロテストなどの実行機能が始めなかったとみなされた人も改善がみられることはあったのではないかと思うのです。

  6. 実行機能の研究結果やその参加率、さらにはそこに私がうまれるずっと前から着目して研究してきた人がいるということに大きな敬意を表したいところですが私が一番衝撃を受けているのは実行機能という言葉を大学の講義で全く耳にしたことがなかったことです。もしかしたら私が聞きもらしていたのかもしれませんが、もしやっていたにしても実行機能に関する内容の授業が教育者を教育する場であまりにも疎かにされすぎているようにここ数日のブログを見ていて感じました。

  7. 実行機能が発揮されるのは、どちらかと言えば家の外のような気がして、逆に言えば家の中で実行機能が発揮されている場合、相当家に気を遣っているような画を想像してしまいます。親子関係、家庭環境、様々な要因がその子をその子たらしめる一要因となって、家の外での姿を形作っているのだとすれば、家の中で我慢を強いられている子程外でその力を発揮することが困難なように見えるのは不思議なことです。きっと実行機能とは我慢するということとイコールではなくて、そして、日常我慢を強いられているから我慢強くなれるものでもないのだと思います。大体にして我慢を教わることで我慢が身につくならば、我慢とは認知的なスキルであることになってしまいます。

  8. テストという一つのことから判断するのではなく、様々な側面から実行機能を見ていくことが重要とありました。このようなものの見方はあらゆる場面で重要になりますね。それにしても実行機能の重要性すごいですね。人が生きていく上で、社会の中で過ごす上でどれだけ大切な力であるかということを感じます。同時に、自分にはそれがあるのだろうか、またどのようにそれが育っていくのだろうかということが気になります。「また、子どもの実行機能を伸ばすことができるのかという点が気になるのではないかと森口氏は言います。しかし、安心して大丈夫だと言います」とあったので、安心しました。これは楽しみです。

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