思考の実行機能のチェック

森口氏は、思考の実行機能のチェックテストを紹介しています。この項目を見ると、どのような力が思考の実行機能なのかがわかります。それは、自分をコントロールする力として設問ができています。

方法は、すべてのチェック項目を、最近6ヵ月間において、子どもの行動に「1.全然あてはまらない」から「7.非常にあてはまる」までの7段階で評価します。全部で13項目あります。

●言われれば、声を落とすことができる

●「ダルマさんがころんだ」のような遊びが上手である

〇指図になかなか従えない

●旅行や遠足に必要なものを考えて準備をすることができる

●待ちなさいと言われれば、新しい遊びに入るのを待つことができる

〇なかなか並んで順番を待てない

〇映画館や教会などでじっとすわっているように言われてもなかなかできない

●笑ったり、にやにやしてはいけないとき、こらえることができる

●指示によく従う

●危険だと言われた場所にはゆっくり、慎重に近づく

〇道路を横切るとき、あまり注意深く慎重ではない

●「ダメ」と言われると、していることをすぐにやめられる

●してはいけないと言われると、たいていその言いつけを守れる

この結果についての計算式はつぎのようです。●の合計得点+ ( 32-〇の合計得点) =全体得点 全体得点÷13 =得点

このチェックテストでは、得点が高ければ高いほど、実行機能が高いということになります。2002年の日本国内のデータによると、就学前の男の子は4.6~4.9点くらい、女の子は4.8~5.3点くらいが平均得点だそうです。ただし、森口氏は、このチェックテストはあくまで目安なので、得点が低いからといってすぐに問題があるというわけではないと注意しています。非常に厳しく評価する親もいれば、子どもに甘くつける親もいるでしょう。相対的に子どもの実行機能が高いかどうかの目安にすればいいのではないかと森口氏は言うのです。

彼は、ここで、実行機能について、次のようにまとめています。

・実行機能には、感情の側面と思考の側面がある

・感情の実行機能は、目標のために欲求や衝動を制御する能力

・思考の実行機能は、目標のために習慣やくせを制御する能力

・両者ともに、幼児期に著しく発達し、児童期には緩やかに発達する

森口氏は、なぜ、実行機能は子ども期に変化するのかという疑問を問いかけます。それは、子どもの脳の発達に答えがあるようだと言います。そこで、彼は、このような変化を引き起こす脳内の仕組みについて考察していきます。

 

思考の実行機能のチェック” への5件のコメント

  1. ちょうど就学前の時期であるので、小学校の先生たちが新入生を迎え入れる際に気にする項目と同じような印象を持ちました。このように実行機能が高い子どもほど、自らの学びを深めることができるのでしょうね。そこで大人が大切にしなくてはいけない事柄として、「このチェックテストはあくまで目安なので、得点が低いからといってすぐに問題があるというわけではない」、学校だけの姿、自宅だけの姿、保育園だけの姿だけでなく「相対的に子どもの実行機能が高いかどうかの目安にすればいい」という点だと感じました。一つの姿ではなく、その子が相対的にどのような育ちをしているのかを、関係機関は連携して情報を共有する必要があることを再確認できます。

  2. 森口氏が紹介する「思考の実行機能」を測定する項目で、〇に当てはまる子どもの割合はどれくらいあるのだろうと思ってしまいました。1割なのか2割なのか。実行機能のまとめ中「思考の実行機能」について「目標のために習慣やくせを制御する能力」が著しく劣っている人たちは幼児期においてこの機能が何らかの原因で発達しなかった、ということになるのでしょうか。性犯罪に始まり、その他「くせ」と思えることが結果として犯罪になってしまうケースがあると思います。性犯罪にとどまらず、喫煙や飲酒の習慣も目標達成のために制御できないことになればこの実行機能の欠落ということが考えられます。特に目標がないから飲酒喫煙も可という人がいるでしょう。こういう人たちは結局、生きるという目標達成を放棄していることになるのではないでしょうか。「子どもの脳の発達に答えがある」ということから成人以降の課題も実はこの脳の発達に関わってくるのでしょう。

  3. チェックテストの結果は〝相対的に子どもの実行機能が高いかどうかの目安にすればいいのではないか〟とあります。子どもの姿は家庭や乳幼児施設、外出先など場面で違うことがほとんどであるように思われますので、その違いから〝相対的に〟ということになるのではないかと思いました。乳幼児施設や学校、支援施設など子どもの周囲の施設などでは、そこそこの子どもの状況から子どもを判断するのではなく、連携をとりながら把握していかなければならないのではないかと思いました。そしてちょうど、その時期に当たります。このチェックリストの中身を見ていると、学校側からの質問等に近い、先生たちが気になる部分に近い内容になっていることを感じました。

  4. 「感情の実行機能」と「思考の実行機能」がこうやって一言で整理されると分かりやすいですね。これらの力があることは実際、小学校や学業に入っていく中で、役に立つ力であるということは言えるでしょうね。よく保護者は「待つこと」についての質問が多くあります。子どもが自分で待てること、周りを見るということは「言われないとできない」と思われていることが多いです。そのため、「子どもの主体」が大切とは言われていても、それがなかなかできないのは大人のこういった先入観があるからだと思います。しかし、これまでの内容から見ても、やはり「子どもが自分で気づき、自分が必要とする力を身につけている」のだと思います。以前、赤ちゃん学会の小西先生も「子どもを動かすことが保育」と言っていたのを思い出します。やはり大人が安心基地としているくらいの距離感で子どもが自分から主体的に動ける環境があることが子ども本来の力を引き出すことにつながり、結果として学習にもつながっていくのでしょうね。

  5. こういったチェック項目があることははじめて知りました。実行機能という言葉があまり広がっていない日本でもこのような指標があることは嬉しく思います。ただそれと同時にこういった目に見える指標が存在すると、ここさえ抑えれば問題ないんだ、と曲解してしまう大人が出てきてしまうのではないかと少し心配にもなります。ひとつの指標にしか過ぎないとは言っても上記の項目を神格化して子育てや保育をすることがないよう自分の胸に刻まないといけませんね。

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