待てるのはいつから?

マシュマロテストだけではなく、感情の実行機能を調べるために複数のテストが使われます。そして、子どもの感情の実行機能は、これらのテストの合計点のような形で表されるそうです。マシュマロテストだけであっても、三つのテストを使っても、似たようなものだと思います。しかし、マシュマロテスト一つだけでは十分ではない理由は、テストに参加した子どもの好みに大きく影響されるからだというのです。たとえば、マシュマロを使った場合に、当然のことながらマシュマロを好きな子どももいればそうはない子どももいるのです。

感情の実行機能をアクセルとブレーキの関係で森口氏は説明しましたが、マシュマロがあまり好きでない人は、それをほしいという衝動や欲求がないわけですから、容易にブレーキで抑えることができます。一方、マシュマロが大好きな人はアクセル全開になってしまいやすいわけですから、ブレーキで抑えることが難しくなります。つまり、マシュマロテスト一つだと、マシュマロを好きかどうかによって結果が大きく影響を受けるので、実行機能をしっかりと調べられないというのです。さまざまなテストを用いることで、マシュマロなどの特定の好みに依存しない感情の実行機能を調べられるのだと森口氏は言うのです。

このような感情の実行機能のテストで、子どもはいつ頃から待つことができるようになるのでしょうか。この点については非常に多くの研究がなされているそうです。総じて、2歳以下の子どもは目の前に魅力的なお菓子や食べ物があると、待つことはできないと言われています。2歳以下の子どもには、感情の実行機能は備わっていないのです。

2歳ころから少しずつ待てるようになり、3歳、4歳になると待つことができる時間が著しく伸びると言われています。ストラスプール大学のスティーランド博士のグループは、クッキーを2枚得るために目の前にあるクッキー1枚への欲求をどれだけコントロールできるかを調べたそうです。その結果、2歳児は1分待つことができればよいほうで、3歳では2分程度、4歳では4分以上待つことができるようになることが示されているそうです。このようなテストでは、5~6歳頃には10分待つことができる子どもも増えてくるそうです。これ以外にも、多くの研究から、幼児期に感情の実行機能が発達することが確認されているそうです。

では、なぜ2歳児や3歳児は長い間待つことができないのに、5歳児や6歳児は待つことができるのでしょうか。これには、大きく二つの理由があると森口氏は言います。一つは、当然のことながら、欲求を抑える力そのものが発達することです。先ほどの自動車の例で言うと、ブレーキの性能そのものが2歳児よりも3歳児、3歳児よりも4歳児のほうが高くなるということです。そのため、食べ物などに対する欲求をうまく抑えられるようになるというのです。

しかし、より重要なのは、欲求を抑えるための工夫ができるようになることだと森口氏は言います。2歳児や3歳児は直接的に欲求や感情を抑えつけようとしますが、実際にはこの方法はあまりうまくいきません。大人でもそうですが、感情や欲求を抑えつけようとすればするほど、むしろその感情を意識してしまって難しいものです。5歳児や6歳児になると、長く待つために自分なりの工夫をするようになるというのです。

待てるのはいつから?” への7件のコメント

  1. 私が「マシュマロテスト」なる実験を始めて耳にした時、マシュマロっておいしいものだっけ?とまず疑問に思いました。そして、実際にマシュマロを食してみて、さほどおいしくないな、と思ったことを今も思い出せます。米国の幼児はマシュマロが大好物なのでしょう。マシュマロが日常に存在しない暮らしを続けてきた私にとっては積極的に食べたいと思える代物ではありませんね。本文にもあるように「マシュマロを好きかどうかによって結果が大きく影響を受ける」ということは至極もっともなことだと思います。マシュマロではなくチョコレートだったら。こちらの方が実行機能の測定には有用な気もします。それでもモノ特に食べ物だったら被験者の好き嫌いが大きく影響していくでしょうから、実行機能の測定という意味では若干弱いところがあるような気がしますね。感情の実行機能はある環境下では成長発達するにつけ高まっていくようですね。もう一つの実行機能すなわち「思考の実行機能」について私の中で関心が高まってきています。

  2. 「2歳以下の子どもには、感情の実行機能は備わっていない」「2歳ころから少しずつ待てるようになり、3歳、4歳になると待つことができる時間が著しく伸びる」という具体的な年齢もあって非常にわかりやすかったです。社会性や集団を意識できる2歳児クラスというのは、まさに感情のコントロールをしようとする、そうできる発達が備わっているからこそ表出する姿であり、そのクラス構成を考えるうえでも大切になることを改めて感じます。そして、「欲求を抑えるための工夫」というキーワードが出てきました。具体的に想像してみると、サウナに入っている時、時計の針だけを見ていると時よりも、他人と会話をしたり、小さなストレッチをしたり、テレビを見たり、考え事をしている時の方が長い時間入ってられます。少し関連しているようにも思いました。

  3. 「マシュマロが嫌いな子はどうなの?」を初めて知った時に、確かに一度は疑問に思うところですね。自分の場合は、「アメリカだから、日本以上に好きな子が多いんだろうな」というように文化の違いとして受けとめていました。そうはいっても、好きなお菓子かどうかといった点において、違いが出てしまうのは当然でしょうね。さて、いつごろから待つことができるのかということですが、先日、実習生の設定保育でハンカチ落としをしていました。異年齢で行ったので3~5歳児がいたのですが、やはり、3歳児でルールが理解できなかったり、待てなかったりした子どもたちは抜けていきます。最終的にはほとんどが5歳児が多くなり、ゲームが成り立っていました。とはいえ、5歳児でもハンカチが回ってくるまで座って待てない子がいたり、待てたりする子どもがいます。この差が実行機能なのかなとふと感じました。また、面白いのが3歳児でもルールを理解して待てる子どもたちがいました。奇しくもその子どもたちは乳児から入園していた子ども達でした。もちろん、偶然なのかもしれませんが、乳児からの環境ももしかするとあるのかもしれないと感じたのです。こういった研究は発達にもかかわりがある分、一概に見えずらいのがまた、難しいところですね。

  4. 待てるのはいつから?

    2歳児というのは感情の実行機能が働きはじめる、アクセルとブレーキが機能し始める時であるんですね。ということは2歳児以前に感情のコントロールをさせようとしても無駄なことであるということになります。自分たちはこのようなことを知っておかなければなりませんね。そして、機能が高性能になるよりも〝欲求を抑えるための工夫ができるようになる〟ということも書かれてありました。たしかに、抗えないのであれば、自分なりに工夫をした方が対処としては適切であるのではないかと思いました。

  5. マシュマロが嫌いであれば、待つ必要がなく、やはり好き嫌いがある程度影響があるのですね。
    2歳以下は待つことができず、年齢を重ねるにつれて待てる時間がのびてきて、そして、それは欲求を抑えるための工夫ができるようになるからなのですね。
    私自身も欲求をコントロールするためには、抗うために工夫が必要なのでしょうね。その工夫の仕方が一人ひとり違うと思うのですが、やはり自分自身を知らないとできないことだと思います。

  6. 感情を抑制する様々なテストはどれも比較的得られるものが安価だが魅力的といったもので統一されているような気がしますが、この報酬が限りなく子供にとって価値の高いものになったら結果は変わるのでしょうか。倫理的にはあまり薦められない研究にはなるでしょうが極端に言えば報酬が親になったとき子供自身の中で感情を抑制する力がどこまでリミッターをはずせるのかというのは少し気になるものであります。

  7. 欲求を抑える為の工夫ができるようになるから食べずに待つことができる、なるほどそれは確かに2歳以下の子どもたちには難しいかもわかりません。ここでふと思ったのは、ではなぜ2歳以下の子どもたちには実行機能がそれ程の備わりなのだろうかということで、それがきっと生き抜く上で必要だったからだと思いました。欲求を表現することや、目の前の食べ物にありつくことこそが小さい子たちに必要な力であるのでしょう。やはり大人に置き換えて考えられてしまうように思えるのですが、目の前の欲求、自分本位の価値観、幼いと言えてしまうのかもわかりません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です