ふたつの基本要素

思考の実行機能には、二つの基本要素があるそうです。一つは、その状況で必要とされる目標を保ち続けることです。

実行機能は、目標にむかって自分の行動をコントロールする能力でした。目標を達成するために必要な能力なので、目標を見失わずに保ち続けることは極めて重要だというのです。

たとえば、先のケーキ屋の例で言うと、「ケーキ屋に行く」という目標を忘れてしまった場合、習慣となっている行動をとってしまいます。目標を定め、その目標を持ち続けることによって、目標を達成できるのです。

二つ目の要素は、いくつかの選択肢から、一つの行動を優先するということだと言います。特に、選択されやすい行動と選択されにくい行動があった場合に、必要に応じて選択されにくい行動を優先するということです。ケーキ屋の例で言うと、右に曲がるという選択肢と左に曲がるという選択肢があり、日頃の習慣によって右に曲がるという選択肢のほうが選択されやすくなっています。このような状況のなかで、左に曲がるという選択肢を優先する働きが必要になってきます。

目標を保つこと、ある選択肢を優先させること、この二つが最も基本的な働きとなるというのです。

これらの働きは、以下のような簡単なテストで測ることができるそうです。白いカードと黒いカードを用意します。このテストでは、子どもに白いカードと黒いカードを見せ、白いカードを提示されたら「黒」、黒いカードを提示されたら「白」と答えるように指示します。

子どもは、白いカードドには「白」、黒いカードには「黒」と反応しやすいのですが、このテストに正解するためには、「白いカードには「黒」、黒いカードには「白」と答えるという目標を保ち続けなければいけません。これが一つ目の働きです。また、白いカードに対して、「白」「黒」という2種類の反応をする選沢肢があるのですが、「白」と答えることよりも、より難易度の高い「黒」と答えることを優先しなければなりません。これが二つ目の働きです。

この点を踏まえたうえで、頭の切り替えが思考の実行機能の重要な要素だと森口氏は考えています。そこで、それについて、彼は次に考察しています。

私たちは、状況によって頭を切り替えないといけません。飛行機で大阪から東京への移動を考えていたにもかかわらず、空港が何らかの理由で閉鎖した場合、私たちは頭を切り替えて、陸路での移動を考えなければなりません。このとき、飛行機での移動に頭固に執着してしまうと、東京に着くという目標を達成するのは困難になってしまいます。

別の例を森口氏は挙げています。日本語と英語をしゃべる人がいます。この人は、日本人と会話をするときには日本語で、アメリカ人と会話するときは英語で、というように、会話をする相手によって言葉を切り替えます。「相手とコミュニケーションをとる」という目的のために、日本語をしゃべるという活動と英語をしゃべるという活動を切り替える能力です。

ふたつの基本要素” への5件のコメント

  1. 実行機能については、欲求をコントロールする感情の実行機能と習慣や癖をコントロールする思考の実行機能ということがわかりました。そのわかったと思ったところで、はたと気づいたのは、そもそも実行機能とは何のために、という根本的問いが問われなければならないということです。今回のブログを読んでその答えを実感できました。すなわち「目標を達成するために必要な能力」というところです。「目標を達成する」という目的のもと機能するのが実行機能。「目標を保つこと、ある選択肢を優先させること」が実行機能の基本的な働きになる。「目標」ということから実行機能のエグゼクティブさがわかりますね。「状況によって頭を切り替えないといけません。」私たちの日常を取り巻いていることからその重要性に関して推察することができます。この頭の切り替えはとにかく大切です。正しい方向に赴くには必要不可欠な能力でしょう。柔軟性とか臨機応変と言っていいかもしれません。頭はやわらかく。

  2. ケーキ屋へ行く過程や飛行機、言語面での事例があってとても理解しやすいですね。実行機能には「目標を達成させるための能力」ということで、生きていく上でなくてはならない能力であることを再確認できました。小さな目標を達成させていくことが「発達」でもあるように思いますし、「成長」でもあるように感じました。それを意識下で行うところに意味があるのでしょうね。子どもたちの姿を見ていると、日常の中で多くの目標を達成するための場面があることが想像できます。ご飯を食べるために遊びから切り替えて手を洗う。友達と遊びたいから話を聴く。パズルを完成させたいからお友達からの情報を遮断するなど、子どもたちは、自ら目標に向かって行動していることを改めて感じました。

  3. 〝実行機能は、目標にむかって自分の行動をコントロールする能力〟とありました。感情と思考と2つの実行機能がありましたが、そもそも実行機能とは「目標に向かうための能力」ということを忘れてしまうと、おかしなことになってしまいますね。
    よく受験生が机の前に「絶対合格」というような貼り紙をしていることがありますが、それも思考の実行機能を保ち続けるための補助的なものであるのでしょうね。
    よくよく考えると、子どもたちは日常でこの実行機能を使っていることに気づきます。「ランチを食べるためにあそびをやめてランチを食べに行く」「面白い絵本を読み進めたいから周りを遮断し集中する」など自分たちで考えて行動しているんですね。

  4. 思考の実行機能には目標を保ち続けることと、優先順位をつけることがあるのですね。なるほど、そのどちらもが「目標を達成する」ということには必要なことですね。そして、これは感情の実行機能とはまた違った機能があるということも納得できます。まさに実践的な取り組み方ともいえるように思います。しかし、こういった取捨選択を迫られたときに、その時の感情のコントロールがうまくいっていなければ、いくら思考的に判断はできても衝動性というものは止めることはできないということも分かります。思考の実行機能の土台にはやはり感情の実行機能がなければ、目標を達成することはできないということがより鮮明に分かりました。今の時代、やはりEQ力というものが置いておかれ、思考によって判断することばかりが優先されているように思います。そのため、思考の基となる感情のコントロールを得る環境をつくっておかなければ社会はうまくいかないのが分かります。やはり乳幼児教育で行うことは社会につながるということを強く感じます。

  5. 以前どこかである専門家が「拘ることに拘りすぎないことが仕事を長く続ける秘訣さ」というようなニュアンスのことを言っていたのを思い出しました。拘りを持つということはとても大事でありその人のアイデンティティーを保つ上で必要と言えますしそれを尊重し会える世の中というのは素敵だと思いますが、拘りすぎて本当に大切なことやものを取り逃がしてしまうというのはもったいないですよね。

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