目標を達成

非認知能力を子どもたちに身に付けてもらうことは、これからのAIの時代を迎えるにあたって、様々なことをAIがやるようになった時代では、どのようなスキルが必要になるかということを見通す必要があります。また、これからは、予測不可能な、変化の時代が訪れるであろうと言われています。その変化を前向きにとらえて、その変化に適応していくためには、どのようなスキルが必要であるのか。また、これからは、変化は人類において文化の面だけでなく、自然界でも起きうることです。地球温暖化を初めとして、環境汚染、地震や津波、様々なことが人類に降りかからないとも限りません。それに立ち向かい、生き延びていかなければなりません。また、これかの社会の中で格差が広がり、その格差が固定化し始めていくかもしれません。すると、将来に希望を維持し続けることは困難になり、また、現状を破壊しようとする人が現れないとも限りません。

それらの時代に向かう中で必要なスキルは、ただ知識があるとか、いろいろなことができるだけではなく、非認知スキルという能力が必要になってくるのです。そして、具体的に、そのスキルをどのようにして子どもたちに付けていくのか、どのような環境を用意したらよいのかなどを、具体的に考え、実践していかないと何も変わっていきません。そこには、新たな価値を創造する力が必要になってきます。

この非認知総力の中で、私が特に注目しているのが、「エモーショナルコントロール」と言われるもので、自分の感情をコントロール力です。この力が最近弱まっていると言われ、アメリカでは、この力の欠如から犯罪が増えているとも言われ、何とかこの力を子どもたちに付けていってほしいという試みが多くされていると聞きます。

私たちは、毎年同じ保育を目指す仲間たちに対して、セミナーを開催しています。そのセミナーの中で、リーダーや、園長向けのプログラムでは、様々な研究者をお呼びして、最新の研究を話してもらっています。少し前に、この「自分をコントロールする力」である「実行機能」について研修をしている森口佑介氏に話をしてもらったことがあります。その縁で、彼が昨年2019年11月に発行された「自分をコントロールする力 非認知心理学」(講談社現代新書)という著書を送っていただきました。 この本のはじめには、こんなドリー・バートンのことばから始まっています。「虹を見たかったら、雨をがまんしなくちゃね」

その言葉には、「私たちが大きな目標を達成するためには、さまざまな困難や誘惑を乗り越えなくてはなりません。決して容易なことではありませんが、その障害が大きければ大きいほど、雨が激しければ激しいほど、その後に見られる虹は美しいでしょう。」という意味が込められていると言います。

これと同じような言葉を、様々な著名人が残していますが、そのいくつかを森口氏は紹介しています。ジャズ歌手であるノラ・ジョーンズ氏は、ドリーン氏のはとほぼ同じタイトルの曲(If You Want The Rainbow (You Must Have The Rain))を発表していますし、作家のジョン・グリーン氏原作の映画『きっと、星のせいじゃない』のなかでも同じような表現が使われているそうです。彼女らのような成功者にとって、将来の目標のために、目の前の困難や誘惑を乗り越える力は、必須なのではないかと森口氏は言うのです。