教員への指導

「ターンアラウンド・フォー・チルドレン」は、「学習のための積み木」の報告書を作成した非営利団体ですが、やはり若者たちが負っている同種の「傷」に取り組もうとしています。しかし、ゲシュタルト療法を使って傷を診断するよりも、おもに不利な条件下にある子どもたちが受ける生物学的な影響について、科学的な知見を利用しているそうです。ターンアラウンド・フォー・チルドレンは現在、ニューヨーク市の七つの学校と、ニューアーク市の二つの学校と、ワシントンDCの二つの学校で仕事を請け負っているそうです。

ターンアラウンドの研究によれば、最貧困地域の学校の教師が直面する行動管理上の難題の多くは、教室内で生徒の二つのグループが一触即発の状態であることに起因するといっています。一つは、大きなストレスにさらされてきた、たいていはACEのスコアも高いゆえに怒りっぽく、反抗的かつ破壊的な行動をとる生徒たちの小さなグループです。ターンアラウンドの概算によると、最貧困地域の学校では、このグループがだいたい10パーセントから15パーセントを占めているそうです。もう一つのグループの生徒たちも逆境やストレスを経験してきてはいますが、最初のグループほどではありません。自分から問題を起こすことはあまりありませんが、闘争・逃走のメカニズムは非常に敏感で、ひとたび問題が起こればすぐに引き金が引かれます。

ターンアラウンドは児童精神科医のパメラ・キャンターによって設立され、運営されています。学校での仕事を請け負うときには、だいたい三人か四人の介入チームをつくり、問題行動を起こしそうな生徒の心のニーズに取り組むことからはじめるそうです。現場でカウンセリングや指導をおこなったり、コミュニティ内のほかの場所で個人、あるいは家族単位で受けられるセラピーなどを紹介したりします。ときには、生徒が学校にいるあいだに、家族がセラピーを受けるケースもあるそうです。その後、スタッフは教室全体の環境に注意を向け、授業を改善することで生徒の成績をあげられるように教師たちを指導します。ターンアラウンドの仕事のこの部分には、シカゴ学校準備プロジェクトの教員への指導、そしてABCやFINDの親たちへの指導と、深い共通点があります。教師たちは対立をやわらげるための行動管理のテクニックについて訓練を受け、帰属意識の持てる教室、集中できる教室の雰囲気をつくる戦略を教わります。

ターンアラウンドのリーダーたちは、プログラムの効果を示すデータをまだ持っていないそうです。しかし、バージニア大学の心理学者、ジョセフ・アレンと、同大学教育学部の学部長ロバート・C・ピアンタによる最近の研究が示すところによれば、教室によりよい環境をつくりだす方法について教師が訓練を受けると、生徒の成績に目に見えて影響が出るそうです。アレンとピアンタは、バージニア州の学校の78人の高校教師を対象として、ランダム化比較試験をおこなったそうです。処置群の教師たちは、「マイ・ティーチング・パートナー」と呼ばれるシステムを使って、当該年度のあいだ指導を受けました。この訓練は教室での教師と生徒のやりとりに焦点を合わせたもので、専門能力開発のワークショップと電話でのセッションを通しておこなわれました。コーチは教師たちに、「ポジティブな感情に満ちた雰囲気」をつくり、「自律性を求める生徒の気持ちを敏感に感じとる姿」を示す戦略を伝えました。

教員への指導” への8件のコメント

  1. 「マイ・ティーチング・パートナー」のように、直接的な教えをうける機会は、日本にはあまりない印象があります。それどころか、他の教師や保育者の行動には口を挟まないことが暗黙の了解のように存在している気がします。これでは、よい学び合いができませんね。そのため、グループディスカッションという場を設け、間接的に自分の行動の是非を理解したり、社会とのズレを感じる機会というのは非常に貴重であると感じています。本文では、専門能力開発のワークショップという専門家からの助言というのは、より効果あるでしょうね。

  2. ターンアラウンドの活動は重要ですね。生徒どころか、親や家族、そして教師の指導テクニックに関与していきます。生徒の周囲をプログラムの中に巻き込み、結果として生徒のポジティブさや自律性の獲得を支援している。教師たちに対する働きかけもいいですね。「「ポジティブな感情に満ちた雰囲気」をつくり、「自律性を求める生徒の気持ちを敏感に感じとる姿」を示す戦略」まさに教室や学校の環境づくりを通してその戦略が実現される。素晴らしいと思います。「教室によりよい環境をつくりだす方法について教師が訓練を受けると、生徒の成績に目に見えて影響が出るそうです。」これは保育園こども園にも言えますね。藤森先生やGT活動はまさにこれでしょう。めげずに実践していけば必ずよい結果が生まれてくる。つまり、見守っていられる子どもたちの成長を期待できるのです。生徒が自分の成績を上げられるのは、生徒自身がその気になることです。ですから、環境づくりとは、子ども自身がその気になって熱中し没頭できる環境の創造でしょう。まさに子ども自身の自律がものを言ってくるのでしょう。

  3. 生徒だけではなく、家族や教師においても、同様の指導やカウンセリングも行われているのですね。最近では、スクールカウンセリングなども多くの学校で行っているということを聞きます。しかし、その反面、効果が大きく出ているかというとそうではないのも事実としてあります。今回のターンアラウンドやマイ・ティーチング・パートナーでは、やり取りなどの関わり方だけではなく、それを含めた環境作りにまで言及されています。「ポジティブな感情に満ちた雰囲気」や「自律性を求める生徒の気持ちを敏感に感じ取る姿」といった教室の雰囲気を求めると同時に、家族にもセラピーの紹介やカウンセリングを行います。その対象の子どもだけではなく、家庭を含めた大きな環境からも変化を起こしていこうとするのはなかなか難しいことだろうなとは思いますが、やはり、そこも含めて手を入れていかなければ大きな変化にはつながってこないのでしょうね。園においても、保護者の協力や理解というのは切っても切り離せないものであります。そして、カウンセリングを求めている保護者もいます。「子どもの主体性や自発性」が大切なのはみんなわかっているのでしょうが、ではそれがどういったことなのか、そこに安心する材料がこういったプログラムを通して得ることができるのは大切なことです。こういった意味合いの者は日本では現場レベルで求められているようにも思いますが、専門家がはいることで円滑にいくところもあるのでしょうね。

  4. 生徒だけでなく、家族や教師などが学ぶ機会があるというのは、日本にあまりないものではないかと思いました。日本では、お互いの家族や違う担任のクラスのことにはあまり口を出さないというような雰囲気が自然とあるような気がしますので、お互いを知る機会というのはとても貴重ではないかと思います。やはり感じるのは、生徒が問題行動を起こすのはその周りの環境によるものだという視点からこのような取り組みがなされている、周りが変わることの重要性を感じます。

  5. 私が大学の教員養成コースに通っていたときに最も嫌に感じていたこととして、大学では良い教員を作るための授業はしないということです。その代わりに教員採用試験に合格させるためだけの授業は毎日していました。正直そこまでしなければ受からない採用試験のやり方にも問題はあると思いますが、本当に教育者としての才能があり子供をより良い方へ導ける人を見極める試験の方式をとらないから、ある程度要領がよく勉強できる人が合格し不祥事を起こすのではないかとも感じました。

  6. 「教室によりよい環境」やはり環境であることを改めて感じます。そして、最後の段落にある、「ポジティブな感情に満ちた雰囲気」ももちろん環境であると思いますし、これにおいては物的環境、人的環境、空間的環境の全てが含まれているように感じます。「自律性を求める生徒の気持ちを敏感に感じとる姿」、これは教師側の立場を指す人的環境ととることが出来るように思います。保育において環境を通して行うことが重要であることは指針にも書かれている通りでありましたが、就学し、更に年齢を重ねた学生にとっても環境というものが重要であることを知ると、改めて教育の一貫性というものが見えてくるようにも思えます。一貫して、環境から保育する、教育するという教育形態になることが、国の教育水準を上げる一つの策なのではないかと思えてきます。

  7. このように第三者的な団体が介入し、学校環境を改善しようという取り組みが行われているのですね。日本では、保育現場でも学校現場でもどうしても第三者的な存在をあまり好まないような印象を受けます。それはある意味では王国化してしまっているからなのでしょうか。それとは違い、アメリカにはターンアラウンドのような取り組みを行う団体が存在するのですね。現場の先生方は日々の授業などで手いっぱいということもあるのかもしれません。そんな時に、このような介入をしてくれる団体があるのはありがたいですね。このようなあらゆるアプローチから子どもたちを支えるという仕組みは素晴らしいなと思います。そういう意味ではGTというつながりも大きな輪で子どもを支えるということに繋がっていきますね。

  8. 教室によりよい環境をつくりだす方法について教師が訓練を受けると、生徒の成績に目に見えて影響が出ると書かれてあります。いかに子どもにとっての教室の環境は学業にも大きな影響を与えていることが理解できます。生徒自身が学校という空間が居心地の良い場所であったり、学ぶことが楽しいと感じ取れることができれば、学業の成績が上がるのは必然のような気がします。何よりも私が思ったのは教師が改めて学びなおすという経験です。人に教える立場の人が、自分の指導方法を変えるというのはとても勇気のいることだと思います。何のために学びなおすのか?生徒のため、子どのためにと思えば、教師も保育者も変わる必要があると思いました。

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