言語発達指標

回収率が低い場合、知りたい対象の全体像を正しくつかめていない可能性が高いと山口氏は言います。「21世紀出生児縦断調査」の回収率が極めて高いということは、この調査が、日本のを子どもたちの発達具合の全体像を知るために必要な情報を正しく含んでいることを保証してくれるのです。

山口氏は、彼自身の職業病的な見方かもしれませんが、この回収率の高さから、日本中の親御さんたちが、いかに子どもを大切に思っているのかを強く感じると言うのです。虐待など悲しいニュースを耳にすることが少なくありませんが、多くの子どもたちは、父親、母親

に大切に育てられているのだという認識を新たにしたと述べています。

このようなアンケートの多くのサンプルは、非常に研究者にとっては参考になるために、彼は、もし、国勢調査やその他の公的統計のための調査をお願いされることがあるかもしれません。公的機関では、プライバシー保護には最大限配慮していますから、せひ協力してほしいと訴えています。こうした調査があって初めて、世の中の正しい姿が見えてきますし、そこから実現すべき政策が明らかになってくると言うので。公的調査に協力することは、選挙で投票するのと同様、世の中を少しでも良くすることにつながっているというのです。

「21世紀出生児縦断調査」では、子どもの発達に関して、さまざまな質問をしています。そこから以下の三つの質問を利用して、山口氏は言語発達指標を作ったそうです。

1、「ママ」、「ブーブー」など意味のある言葉を言う2、ニ語文(「ワンワンキタ」など)を言う3、自分の名前が言える

これらの質問は子どもが2歳半時点のもので、一つずつ、保護者(実際には母親が9割)が「はい」「いいえ」で回答します。山口氏らの分析では、これら三つの質問のうち、いくつ「はい」と答えたかに基づいて、言語発達指標を作成したそうです。正確に言うと、さらに平均0、分散1になるように正規化しているそうです。

彼はこんなことを言っています。「ひょっとしたら、これらの質問は2歳半の子どもには簡単すぎるのではないかと感じた方もいるかもしれません。その感覚は正しく、この調査では上の三つの質問に「はい」と答えたものは、99パーセント、96パーセント、88パーセントで、ほとんどの子どもにとっては間題なくこなせるものです。」

どうして、こんな簡単な質問をしたのでしょうか?

これらと同様の質問は、世界中世の小児科医の先生方が子どもの発達具合を確認する際に利用しており、たとえば、アメリカの疾病対策を防センターが配布する「発達の目安」にも掲載されているそうです。その目的は、発達上、専門家の助けが必要な子どもを見つけ出すことにあり、これらの質問に対する回答から、どの子が天才児なのか、あるいは英才教育を受けるべきなのかといったことはわかりません。

また、なぜ自分の名前が言えるかどうかが、子どもの言語発達なり、精神的な発達なりを測る上で役に立つのか疑問に思うかもしれません。実は、自分の名前が言えるということは、自己と他者の区別ができているということで、人間として立派に成長してきていることの証なのだそうです。

言語発達指標” への8件のコメント

  1. 5年おきに行われる国勢調査が自宅のポストに入れられていた時、これは何に使うのだろうかと思っていましたが「世の中を少しでも良くする」ことにつながっていると考えると、協力する人も増えるでしょうね。また、山口氏のアンケート回収率には驚きですし、そこから養育者の育児への関心の高さを感じることもできます。そして、2歳半で確認する事項としてありました『1、「ママ」、「ブーブー」など意味のある言葉を言う2、ニ語文(「ワンワンキタ」など)を言う3、自分の名前が言える』という指標は現場でも使えますし、何よりも藤森先生が言っていた、社会性が芽生える時期であり発達の遅れを把握するタイミングのため、2歳児は単独クラスにしているということとまさに一致します。

  2. 保育のセミナーでよく聞く質問は、気になる子をどうするか、とか、輪の中に入れない子への対処の仕方とか、どう考えても、決して大多数の子どものことではないな、と思えるものです。ある意味で、普通の子のことは気にされていないのかな、と思えることが多いですね。気にならなければ問題ない、と言った場合の気にならないは大人にとって、でしょう。しかし私たちが考えなければならないことは気になる子たちと同様に気にならない子たちにどのような環境を創設したらよいか、ということではないでしょうか。「世の中の正しい姿」を見極めるための調査は本当に必要で、本当はどうなの?このことを理解した上でさまざまな施策が講じられるべきでしょう。「多くの子どもたちは、父親、母親に大切に育てられているのだ」という認識の大切さ。だからこそ、園に集う子どもたちも保育者によって大切に育てられなければならない、よって子どもたちが生き生きと過ごせる環境は、とか子どもたちが喜々として活動に取り組めるようにするには・・・を考える必要があると思うのです。そうすることによって、気になる子を気にしなくて良い、そういった保育者のマインドになるような気がします。

  3. 「これらの質問は2歳半の子どもには簡単すぎるのではないか」ということが言われています。簡単すぎるからこそ、99%の子どもが答えるからこそ、そこから外れた子どもに何らかの問題があるということがいえるのかもしれません。保育をしていても思うのですが、活動においても、いわゆる「できる子」に合わせたものが多いように思います。そして、「得意でない子、苦手な子」は「できる子」に合わせなければいけないような状況になることが多く、そのため、「遅れている」という見方をされることもあるように思います。しかし、実際のところはブログにも書かれているように99%ができるもので図る必要があるのではないでしょうか。子どもの保育においては「得意ではない子や苦手な子」に合わせることも重要であるように思います。そして、そのためには子どもが選択できることや発達に合わせた選択を用意すること、子どもを見る視点というものが求められ、一人一人にあった見方というものを見つけていかなければいけないのだと思います。

  4. 山口氏が作った言語発達指標は自分たちが子どもたちの発達を知る上でも役に立つものですね。そして、「自分の名前が言える」という項目について詳しく説明がなされていますが、その部分は自分たちが2歳児を単独でクラス編成していることの理由とほとんど同じです。この単独のクラス編成の意味を言語発達指標からも見出すことができるのですね。
    そして、だからこそ大切にしていることなんだということを改めて再確認ができ、これからに生かすことができる。このように知る機会があることが自分にとっては良い学びです。

  5. 子供の名前を呼ぶときに、例えばたつやくんという子がいたとして、たっくん、たつくんといったような呼び方をした時子供にとってはどのような影響があるのだろうと考えることがあります。全く問題がないのか、実はかなり子供にとっては自分の名前の認識に悪影響を与えているのか、自分の何気ない呼び方ひとつで大切な子供に悪影響を与えてしまってはいないかと心配になります。

  6. 海外では、子どもの時から大人になってまで追跡調査をしていくような研究に対して理解があるという話を聞いたことがあります。海外の研究もとても参考になりますが、それぞれに異なる文化背景や国民性を思うと、やはり自国を知るためには自国の研究が必要なのだろうと想像します。しかしながら選挙の投票率も決して高くなく、そう思うと、国のことに興味関心がない、という現代日本と言えてしまうのかもわかりません。であると、皆何に興味関心があるのでしょう。海外では、どうなのでしょう。生活の当たり前が、海外比較の中で実は当たり前でないのではないか、という疑いの気持ちが湧いてしまいます。

  7. 「公的調査に協力することは、選挙で投票するのと同様、世の中を少しでも良くすることにつながっているというのです」とありました。公的な調査、アンケートは私が思っている以上に重要なものであるということを知ったので、今後、そのようなものがあればしっかり記入していきたいと思いました。子どもの発達というのは個人差があります。だからこそ、普通の発達というものはないのかもしれませんが、ある程度大まかに把握することで、支援が必要な子どもたちへアプローチすることができるのかもしれませんね。その指標を作るということ、何だかとても難しく、大変なように思います。データの活用の仕方、収集の仕方というのが鍵になってくるのですね。

  8. 初めて選挙に行った時のことを思い出しましたが、当時は自分の一票はそこまで大きく影響しないと思っていました。しかし、こうした考え方がよのなかを良くしないのかもしれません。公的調査も同様、一人一人が意識して積極的に取り組む姿勢が大切ですし、そう言う姿を子ども達に見せることも大事なような気がします。「21世紀出生児縦断調査」も実際に行うと面倒かもしれませんが、自分一人のためではなく、我が子のため、何よりもこれからの社会を少しでも良くしようと思う事が大切です。まさに共生と貢献だと思います。

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