攻撃性傾向の発達指標

山口氏の研究では、攻撃性傾向の発達指標を、子どもの家庭環境によってどの程度異なっているのかを、母親の学歴によって測っているのですが、子どもにとっての家庭環境が直ちに決まるというものではない点は気をつけなければならないと言います。母親の学歴が低い場合、子どもにとっての環境が望ましくないものになる傾向が、学歴が高い場合と比べて強くなってしまうのですが、あくまで傾向であり、すべての人に当てはまるものではないことをありません。

また、子どもにとっての家庭環境が望ましいものでなかったとしても、母親が責められるべきだということにもならないと言います。ただ、母親、あるいは父親の学歴が低い場合、経済的に貧しかったり、子育てに必要な情報が十分に得られなかったりする傾向がどうしても出てきてしまうのが現状だと言います。だから、そうした家庭に十分な支援が届くような社会を築いていく必要があると言うのです。

さて、子どもの発達指標はすべて平均が0、標準偏差が1になるように作られているのです。したがって、数字がプラスであれば、全体の平均以上、マイナスであれば、平均以下であることを示しています。

標準偏差は、あまり馴染みがないかもしれませんが、よく知られている偏差値と関係していて、1標準偏差は、偏差値の10に相当します。ですから、この指標で1違うということは、偏差値で10違うことになるので、かなり大きな差なのです。

母親の学歴によって、子どもの発達度合いがどの程度異なるのかを見てみると、母親が4大卒以上である場合、子どもの言語発達は、0.04とプラスの値を示していますから、平均よりも進んでいることを意味します。しかし、その数字は小さく、偏差値換算で0.4ですから、大きな違いがあるとは言えません。

他にグラフを見ると、母親が高校を卒業していない家庭の子どもの言語発達は、マイナス0.03ですから、平均よりも遅れていますが、その数字は小さなものにとどまっているようです。

より大きな差が見られるのは、多動性、攻撃性指標です。母親が4大卒以上である子どもの場合、それぞれ、マイナス0.13とマイナス0.12ですから、平均よりも落ち着きのある子どもだといえます。一方、母親が高校を卒業していないと、子どもの多動性指標は0.18で、攻撃性指標は0.21ですから、多少の問題行動が見られる子どもであると判断されます。

保育園通いの効果を理解するためには、子どもだけでなく、母親の変化にも注目する必要があると山口氏は考えています。母親に注目するのは、やはり、子どもとの距離が最も近く、影響力が最も大きいと彼が考えているからです。

彼は、母親と子どもの関係を知るために、母親の子どもに対するしつけのしかたを見ています。子どもが3歳半時点で行われた調査では、子どもが悪いことをしたときにどのように対応するのか質問しています。具体的には、以下の五つの質問に対して、「よくする」「ときどきする」「まったくしない」のどれに当てはまるかで答えてもらいます。1、言葉でいけない理由を説明する2、理由を説明しないで「だめ」、「いけない」としかる3、おしりをたたくなどの行為をする4、子どものしたことを無視して悪いことに気づかせる5、外に出す・押し入れに閉じ込める

これらの中で、最も望ましいと考えられているのは、1の「言葉でいけない理由を説明する」で、逆に最も望ましくないとされているのは、3の「おしりをたたくなどの行為をする」です。

攻撃性傾向の発達指標” への8件のコメント

  1. 母親の学歴、まぁ、学歴、って一体何だろう?と思います。例えば、大学進学を一般受験で成し遂げた場合と推薦試験によって成し遂げた場合、しかし、学歴あるいは出た大学は一緒の場合、あるいは大学を出るまでの学業等々はどう考えるのだろう?さまざまな疑問が湧いて出てきますね。最後の調査項目「母親の子どもに対するしつけのしかた」についても「最も望ましくないとされているのは、3の「おしりをたたくなどの行為をする」」とありました。これもいけませんが、4と5の「4、子どものしたことを無視して悪いことに気づかせる5、外に出す・押し入れに閉じ込める」、こっちのほうがもっと望ましくないような気がします。どうなのでしょう。まぁ、調査項目の設定も大変ですね。そしてそこから得られた結果がどう使われるか、これも気になるところではあります。もっとも、調査も何もしないよりはましなことは言うまでもありません。さまざまな環境因子によって人は事細かに変わる。しかし、そこに最大公約数を見つけ出して結論としなければ施策、政策というものは立てられないのでしょう。やはり、大変ですね。

  2. 以前ある5歳児が、1歳児が使用している汚れ物袋かけに腰を落としてぶら下がろうとしてしました。その隣にいたその子の母親は「それはやめて」と言いました。子どもは「どうして?」と返します。すると母親は「これは赤ちゃんのタオルとか汚れた洋服をかける用に作られやつで、あなたの体重を支える用には作られてないからよ」と説明していました。そして、その母親は早稲田大学に通っている方でした。一度社会人を経験した後に、再び学びたいと大学へ入学したようです。育児をしながら働き、そして大学へも行くというのは大変な印象でしたが、お迎えにくる際はいつもにこやか穏やかでした。人が経験して得て熟成された思考が、育児を楽しくさせる要因にもなるのかなと、当時の光景を思い出しています。

  3. 子どもの攻撃行動や多動傾向には母親の学歴と関係性が見られるのですね。なんとも実際問題としてはショッキングな内容でもあるように思いますが、思い当たる節はないのかと言われるとなんとも言い切れません。まぁ、統計上の話なので全員が全員といったわけではないのですが、やはり納得できる部分もあります。ただし、学歴が低いということが家庭の経済状況や子育てに必要な情報が十分に得られないということであるならば、考えなければいけない事柄はとても多く出てきます。そういった家庭にどういった支援をしていくべきなのか、社会としてどう支えていくべきなのか。以前、このブログの中で出てきた「流動性のある社会」の内容を思い出しました。これからの少子化の社会においてはより、そういった環境を無くしていかなければ、社会として成り立たなくなってくる時代になってきているようにも思います。

  4. 最近家の中でですが、長男が次男に手をあげることがよくあります。前までは口で何かを言い、おさまっていたのが手が出るようになり、次男が泣いている姿がよくあります。話を聞くと、問題は前とたいして変わらない取り合いやら冷やかして笑われたなどなどです。そこでよくよくみていると、自分には長男は言葉で説明をしようとしている姿があり、でも、言葉が出てこないとか、適当な言葉が見つからないようで手が出ているように見えました。
    高校を卒業しているかいないか、というのと関係があるかは分かりませんが、子どもに状況を説明するというのはやってみると、相手に分かりやすい言葉のチョイスやらその状況に適切な言葉選びやら意外と難しいものです。そこには語彙数というものも関係してくるのかもしれません。その語彙数を増やすことや、適切な言葉のチョイスなんかは学歴と関係あるのかもしれないな、と息子たちの姿から考えました。

  5. IQが離れすぎていると会話にならないという話を聞いたことがあります。もちろん高卒と四大卒で圧倒的に四大卒の方がIQが高いと言いたいわけでもありませんし、勉強ができることと地頭のよさが必ずしも一致するとは限らないこともわかってはいますが、それでも傾向としてはやはり四大卒の方がどうしてもIQは高くなるように感じます。となると近しいIQ同士でママ友が集まったとき、お互いが干渉し会えば良い家庭はより良く、悪い家庭はより悪くなる可能性が高くなってしまうというのは否めない気がします。

  6. 海外における学歴と日本における学歴に違いがないかどうか、知りたくなります。というのも、日本の教育水準における高学歴というのは世界標準であるのか、むしろそういった教育を受けていない人の方が心が豊かであったりはしないのか、はたまた、大学に行かず早くから社会に出ることで積み重ねてきた毎日は実は海外のそれに匹敵したりはしないのか。子どもを環境が、それも、豊かな環境が育てていくとして、その豊かさとは現代において何を指すのか、知りたくなります。

  7. 学歴が全てではないと思いますが、やはり大学は幅広い学問を学ぶところだと思いますし、相対的にそのような意欲がある人が集まっている場所でもあるのかなと思います。そう考えると、様々な学びをすることで、本質を知るということにもあるのかもしれません。子どものへ関わり方というのもその学びの中には含まれているのかもしれませんね。様々な知識を知ることで、自然と関連付けることができているのならば、そういったことが、子どもへの関わりへの変化にもなるように思いました。

  8. 子どもの発達が親の学歴に関係していると思うとなんだか腑に落ちない気持ちになります。児童虐待のニュースを聞くたびに、若い親が幼い我が子を虐待をしているのが目立っているので、刷り込みかもしれませんが、学歴は影響している風に捉えてしまいます・・・。これは個人的な考察ですが、おそらく親になるためにも準備が必要な気がします。その辺は学歴というよりも、社会人になって色々な人と関わり、経験談を聞いたり、自分の知見を広げながら、その中でパートナーと出会い、結婚し、親になっていくことで、親が子どもに与える影響に大きな差があるように思いました。

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