育休の二本柱

育休の取得は原則として1年間認められていますが、保育園に入れないなどの事情があれば最大で2年間まで育休を取ることができます。日本での育休導入当初は、いわゆる正社員しか取ることができませんでしたが、現在では、一定の条件を満たせば正社員でなくとも育体を取ることができます。ただし、厳密に言い換えると、「当初は常用労働者しか育体取得できなかったが現在では一定の条件を満たした有期雇用者も育休取得できる」ということです。そして、育休期間中に支払われる給付金は、日本では月額に上限はありますが、最初の半年が休業前賃金の67パーセント、そこから先は50パーセントが支給されます。

育児休業制度そのものは、ほとんどの先進国で取り入れられていますが、その手厚さは国によって大きく異なっているようです。なんと、一番短いのはアメリカで、なんとわずか12週しかありません。産休が産後8週とれるわけですから、そこからひと月しか育休が取れないことになります。対照的に、特に長いのは一部のヨーロッパの国々で、ドイツ、フランスなどでは約3年間も雇用が保証されているようです。下には下がありますが、上には上がありますね。保育園に入園できないときに限って2年間育休が取れるということで、意図的に入園できないようにしている保護者についてのテレビのコメンテーターは、このドイツやフランスの例を出して、日本でも2年間育休を取得できるようにすればいいのにということを言っていました。しかし、私は、そう簡単な話ではないと思っています。それは、後で書きますが、山口氏はどう考えているのでしょう。

次に、フルタイムで1年間働いた場合と比べて、支給される給付金は、何パーセント程度になるのかのデータについて検証しています。ここでも一番少ないのはアメリカで、なんと給付金はゼロです。一方、スペイン、ポーランド、メキシコといった国々では100パーセント支払われているようです。この点でも、日本はこのグラフの中央値を超えてやや多めのようで、諸外国と比べて、制度面が特に劣っているということはなさそうです。それにしても、女性の社会進出において先進的なアメリカが、こんなに二本柱が共に少ないのは、どうしてだろうかと思ってしまいます。

そこで、山口氏は、育児休業制度のあり方で、母親の働きやすさはどう変わるのかということを考察しています。その中で、制度上、父親も育休を取ることができますが、育休制度の影響を強く受けるのは母親であることが多いため、まずは母親の立場から見た育休制度を経済学的な視点から考えています。

育休が母親の就業を助ける最大の理由は雇用保障ですが、そのありがたみは社会のあり方によって大きく変わってくると言います。仕事を失っても、比較的早く次の仕事が見つかるような流動性の高い労働市場ならば、雇用保障は大きなありがたみを持たないだろうというのです。そうした社会では、出産に合わせて退職し、本人が仕事に復帰したいタイミングで仕事探しを始めても、大きな問題なく新しい仕事を始められるからだというのです。

一方、日本はそうではないと山口氏は思っています。諸外国と比べると、クビになりづらく、職は安定しているのですが、ひとたび仕事を離れると次の仕事を見つけるのは大変だというのです。これはいわゆる正社員の仕事によく当てはまります。