共通項

自己制御は将来の成功や健康につながる重要な能力です。では、自己制御はどのように育むことができるのかということを今福氏はこう考えています。どうやら、ごっこ遊びをすると自己制御の一部が促進されるようだというのです。ごっこ遊びは2歳頃からみられるようになり、何かになったつもりで遊ぶものです。たとえば、子どもたちは、おままごとやお店屋さんごっこで遊びます。

3~5歳の幼児が、空想的なごっこ遊びをする群、空想的でない遊びをする群、普段通りの遊びをする群の三つのグループに分けられ、それぞれが遊びを5週間で1回15分、計25回行ったそうです。空想的なごっこ遊びをする群では、宇宙に冒険に行くなどの遊びをしました。その結果、空想的なごっこ遊びをする群は、歌やお絵かきなどの空想的でない遊びをする群に比べて、切り替え能力や更新能力が高くなることがわかったそうです。

家庭環境が貧しいSESの低い4歳の子どもを対象とした研究では、動物や人のキャラクターになりきって劇を演じたり、感情を表現するようなごっこ遊びをすると、感情的な自己制御が向上することがわかったそうです。これらの結果は、日常的に保育所や幼稚園で経験する演劇やごっこ遊びが、自己制御の発達に有効であることを示していることになるのです。

空想的なごっこ遊びをする群は、歌やお絵かきなどの空想的でない遊びをする群に比べて、切り替え能力や更新能力が高くなることがわかったということで、この遊びの差は、感情を表現する遊びと、そうでない遊びの違いとしてとらえています。確かにそのような遊びの内容の差はあるかもしれませんが、では、絵を描くことはどうでしょうか?絵を描くことは、感情を表現する活動です。しかも、子どもたちは空想の世界の中で絵を描いていることが多いのです。ですから、自己制御の発達を促しているのは、私は、子ども同士、集団で遊ぶものと、一人で遊ぶものとの差ではないかと思っています。たとえば、ごっこ遊びや演劇遊びは子ども集団が必要です。そして、その集団の中で、1つもモノを作り上げるには、個々の思いと集団の思いを両立させていかなければなりません。そして、その時には、一人の思いを抑制することが必要になってきます。そして、その時の条件として共感力が必要になってくると思います。それに対して、歌やお絵かきは、それほど他者と合意をする必要がありません。その活動には、個人の思いを優先させることができるのです。今後、子ども集団の役割を研究することが求められます。

また、養育者が二ヶ国語を話す環境で育ったバイリンガルの子どもでは、実行機能の発達が早い可能性が指摘されているそうです。また、生後11ヶ月のバイリンガル児では、第一母語と第二母語のそれぞれの言語の二種類の音を聞いたときに、実行機能にかかわる脳部位の活動がみられているようです。バイリンガル児は二つの言語を聞き分け、使い分ける必要があるために、実行機能を使って日常生活を送っていると考えられているそうです。