経済学

様々な分野で、様々な団体が公私含めて様々な統計を取っています。それは、どのような人を対象に、どのくらいの人数、どのような質問でそのデータをとっているかによって結果が違ってくることがあります。しかし、そのデータには、ある真実や、ある課題、ある示唆を与えてくれることも多いのです。山口慎太郎氏は、“「家族の幸せ」の経済学”(光文社新書)という本の中で、子育て、赤ちゃんに関するデータをもとに、私見を述べています。この本のサブタイトルには、「データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実」と書かれてあります。

彼は、東京大学の経済学部で結婚、出産、子育てなど家族にまつわる問題を分析対象とする「家族の経済学」と、労働市場や人事制度を分析対象とする「労働経済学」を研究、教育をしていると本人によって自己紹介されています。そして、彼が家族の経済学を専門にしようと思ったのは、海外経験が影響していると言っています。それは、留学していたアメリカやカナダでは、女性の活躍はめざましく、社会の重要な地位についている人も珍しくなかったと言います。そこで、日本でも、女性がより活躍することで、経済と社会の活性化につながるのではないかと考えて、「家族の経済学」研究するようになったというのです。

この本では、結婚の経済学、赤ちゃんの経済学、育休の経済学、イクメンの経済学、保育園の経済学、離婚の経済学の6章に分けて書かれてあります。その中で、いくつかを取り上げてみたいと思います。そこでは、彼によるデータの分析と、私の考えを少し入れた分析を書いてみたいと思います。

まず、育休についてです。以前のブログで、最近、それについて取り上げたことがありました。それは、2016年に「保育園落ちた日本死ね!!! 」と投稿されたフレーズが、国会で採り上げられ「保育園落ちたの私だ」デモが行われるなど大きな動きとなったことについてです。いわゆる入園できず、待機児問題がクルーズアップされた出来事でした。それが、数年後には、「保育園落ちろ!」という言葉がささやかれるようになりました。それは、育休の取得は原則として1年間認められていますが、保育園に入れないなどの事情があれば最大で2年間まで育休を取ることができるため、意図して保育園に入園できない状況をつくる保護者が問題になったのです。そのことが問題になった時、テレビでも取り上げられ、外国による育休制度が参考に示されました。私は、それのデータに対する多くのコメンテータの意見には、少し異論がありました。そのデータ分析には、片手落ちがあるからです。それについては後で述べますが、山口氏は、これらのデータから、どのような分析をしているのでしょうか?

まず、雇用保障と給付金について整理しています。それは、育児休業制度の二本柱は、雇用保障と給付金だからです。このように説明しています。「雇用保障があるということは、育休を取得しても、それが理由でクビになったり、給料を下げられたりといった不利益な取り扱いはされないということです。もう一つの柱である給付金は、育休前の勤務状況と所得に応じて、育休中に受け取れるお金のことです。」ただし、給付金は雇用保険(失業保険)から支払われているため、給付金の支給が会社の経営を圧迫するということはありません。では、そこにどのような問題があるのでしょうか?

経済学” への6件のコメント

  1. 統計学の重要さを最近少しずつではありますが、認識するようになりました。私たちはややもすると、可哀想とか、大変そうとか、かなり情緒的に物事を判断します。保育園の待機児問題だって、就労支援の保育所というとらえ方ではなく、生まれた時から保育教育という認識があれば、40年前から出生数に見合った保育所を設置し、今日待機児などという不可解な児童を出さなくて済んだでしょう。3歳までは親が家で面倒見る、などという3歳児神話がまかり通ってきた結果が今日私たちが直面している課題でしょう。保育界や教育界の人々の多くは経済指標によって保育教育に関して判断されるのことに抵抗します。だから、OECD経済開発協力機構の就学前教育保育に関する提案を否定的に捉えようとします。問題はあるのかもしれませんが、教育を経済の対象にしてはいけない、という道理は通らないと思っています。なぜなら、教育と経済はかなり密接に連関しているからです。「結婚の経済学、赤ちゃんの経済学、育休の経済学、イクメンの経済学、保育園の経済学、離婚の経済学」どれもこれも興味関心をそそられますね。これからのブログに期待します。

  2. 「保育園落ちた日本死ね!!! 」からの「保育園落ちろ!」といった振り幅からも読み取れるように、昨今では社会の仕事や家庭状況が多様化し、様々な家庭スタイルが存在している気がします。それぞれに合う雇用スタイルを見つけるのはほぼ不可能であると理解していながらも、できる限りのサポート体制を整える必要があることを感じます。そこで、重要になってくるのは「雇用保障と給付金」を選ぶことができる「選択肢」だと感じました。その選択肢を社会が阻害している状況があることで、様々な問題が起きているのでしょうかね。

  3. 嫁が今回3人目の子どもにしてはじめて、育休をとることができました。それまではいいか悪いかは別として、一旦退職する形をとっていました。その理由としては予想ですが、賃金のことと職員数のことだと思っていました。ですが、賃金は雇用保険から支払われるとのことで、理由の一つは消えてしまいます。ますます、なぜ3人目にして育休なのか、それまではなぜ退職なのか、自分たちには分からない理由があるのでしょうね。これから社会はどうなるんでしょう。なんか退職なのか、保険を使うのか、こちらが選ぶことができると自分たちも将来のことを考えながら選択することができるのではないかと思います。

  4. 以前引っ越していた地域で、長男を保育園へという1次募集に落ち、これからどうやっていくんだろう、というような何とも言えない不安を感じたことを思い出します。幸いにも2次募集で入ることができましたが、自転車で行ける距離でなく、その日から車での送り迎えの日々が始まりました。今となれば懐かしい記憶なのですが、その渦中にいる人たちのことを思うと何とも言葉にし難いものがあります。住みやすい地域や働きやすい地域、子育てのしやすい地域があって、それぞれに特色があって独自性があって、ただそれを利用しようとする消費者にそれを考えて住む場所を選ぶ余裕のある人ばかりでないようにも思われます。地域ごとの特色が格差にならないよう、基準の底上げ自体は国が取り組むべきもののように思えてきます。

  5. 育休を夫婦両方がとらないと子育てが大変で難しい、といった風潮が広がっていますが果たして本当にそうなのでしょうか。もちろんこれは育休制度を批判するものではないのですが、藤森先生がよくおっしゃられている9ヶ月からの集団保育が行われれば母親の負担も大きく減ると思うのです。行政は様々なエビデンスを考慮した上でどのような形が国にとって、各家庭にとって最良なのかを考えた政策を練ってもらいたいですね。

  6. 保育と経済が密接に影響し合っているというのはこれまでのブログでも言われていたことですね。何よりもOECDが教育のことについても考えられているということが最たるものであると思うのですが、今回は「家族の幸せ」というものを経済学から見ていこうとしているのですね。経済が発展してく中で、女性の働き方が大きく変わっている現在で、雇用保障や育児休暇というものが日本でも多く言われていますが、なかなかうまくいっているともいかないようですね。以前、オランダに生かせていただいたときはワークシェアがすごく定着していて、家庭環境と職場環境とのバランスがとてもうまくできていたのを覚えています。また、海外に比べ、日本の場合はかなり就業時間が長いという話も聞きます。自園においても、開園時間から閉園時間までいる子も珍しくないのを見ていると仕事と家庭との両立の難しさもあるように思います。こういったデータの読み取りから見えてくるものは表面上のものだけではなく、その中に様々な問題が隠れており、その読み取り方によって受け方も変わるでしょうね。

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