語彙の習得

赤ちゃんは生後半年を過ぎると、馴染みのある語彙を学習するようになります。たとえば、生後6ヶ月の赤ちゃんは、自分の名前を認識すると言われています。生後6~9ヶ月頃には、バナナ、リンゴなどの見慣れたモノの名称をいくつかは認識できるようになり、生後16ヶ月になると、およそ92~321の語彙を理解するようになると言うのです。随分と、急速に語彙が豊かになっていくようです。

実は、語彙を学習するしくみは新生児期からみられるそうです。新生児は、環境の中に潜む情報から規則性を抽出する統計学習の能力をすでに有しているということがわかっています。この能力は、文章から単語を発見するときなどに使われるものです。今福氏は、こんな例を出しています。「いぬはえさをたべています。このいぬはおにくがすきです。ごはんのあとはいぬのさんぽにでかけます。」という文章があったとします。このとき、一文目、二文目で「いぬ」がでてくるため、三文目でも「い」の後に「ぬ」がくる確率が高くなります。新生児は、この統計学習の能力のおかげで、「いぬ」という単語を文章から見つけだしやすくなると言われているのです。

ことばを話すことは、口の動きを制御する能力とも密接に関係しているのです。生まれたばかりのときは、まだ巧みな口の動きができません。しかし、新生児は、泣き、せき、くしやみなどの反射的な音をだしますが、これは、音声と口の動きの対応関係を学ぶ第一歩であると考えられています。事実、泣き声の抑揚が大きいということは、さまざまな音域で声をだせるということですが、そういう赤ちゃんほど、一歳半時点における話せることばの数が多いことがわかっているそうです。これを知ると、むやみに泣くことを恐れる必要はなさそうですね。しかし、最近の住宅事情や、近隣との関係で、赤ちゃんは、大声で泣くことを制止されることが多くなった気がします。

次に、乳児期になると、赤ちゃんは母音や子音を発しはじめます。生後3ヶ月では、「あーうー」など母音に類似した音声を産出するようになり、生後7ヶ月で、「ばばば、ままま」などの子音と母音を含む喃語を発声するようになります。生後12ヶ月には、意味のある単語である初語を話すようになります。一歳半以降には、単語を急速に獲得する語彙爆発の時期を迎えます。1歳半までは、およそ一日に平均0.18語、1ヶ月に平均5~6語を習得し、一歳半以降では、一日に平均0.83語、一ヶ月に平均24.3語という驚きのスピードで語彙を習得します。この時期において、言語環境が大切なことがわかります。

初語を話しだす1歳以降には、「わんわん」「ぶーぶー」「まんま」など、一つの単語で発話をする一語文が見られるようになります。1歳半頃からは、二つのことばを組み合わせて、「まま、ねんね」「わんわん、いた」などの二語文がみられます。その後は、「ぱぱ、かいしゃ、いった」などの三語以上を連続して発話する多語文がみられるようになります。二語文や多語文かでてくると、「が」「を」「に」のような格助詞を用いるようになります。はじめは格助詞の誤用がみられ、「わんわんがいた」が正しいところを、「わんわんをいた」などと間違ってしまうことがあります。

語彙を習得するためには、周囲の人が話すことばを真似する必要があります。音声を真似する能力のことを、音声模倣と呼びます。

語彙の習得” への6件のコメント

  1. 赤ちゃんはどのように語彙を獲得していくのか。もちろん、耳にしないことには習得できないことは理解できるのですが、詳細はわかりませんでした。「新生児は、環境の中に潜む情報から規則性を抽出する統計学習の能力をすでに有している」という点から、何度も使われている語彙に焦点があたるような能力があることがわかりました。まずは、その言葉に注目し、それを関連付けることを容易にするのですね。また、なるほどと思ったのが、「新生児は、泣き、せき、くしやみなどの反射的な音をだしますが、これは、音声と口の動きの対応関係を学ぶ第一歩であると考えられている」というところです。口からうまれる反射的な音が、その後の語彙習得に関わってくるというのは新鮮でした。安心して泣くことができる環境が、言葉にも影響してくるのですね。

  2. 赤ちゃんが泣くことの意味が理解されないと、「最近の住宅事情や、近隣との関係で、赤ちゃんは、大声で泣くことを制止されることが多くなった気がします。」ということになってしまいますね。中国の保育者から、赤ちゃんの泣き声が耐えられなくて乳児保育は難しい、ということを聞いたこともあります。言語発達のためにも泣くことが必要であることを知れば「むやみに泣くことを恐れる必要はなさそうですね。」赤ちゃんたちの語彙獲得の過程を知ると、私たちが外国語を習得する際にも参考になりますね(笑)まぁ、赤ちゃんたちはその言語を用いて生きていく社会の中で生きていかなければならないわけですから「語彙爆発の時期」を迎えられる。外国語を習得しようとする場合は、その「ねばならない」がないと学校で何年英語に触れても身につかないのは赤ちゃんの言語獲得の過程を観るとよくわかりますね(笑)

  3. 〝新生児は、泣き、せき、くしやみなどの反射的な音をだしますが、これは、音声と口の動きの対応関係を学ぶ第一歩であると考えられています〟とありました。将来の発声のために新生児がしていることを現代の環境が阻害していることがあるとするなら、あまり好ましくないですね。安心して泣くことができる環境が必要になるというのも、なんとも言えない気分になります。赤ちゃんをみていると、いろんな声を出しています。その一つ一つが必要で、意味のあるものであるということが理解できました。

  4. 赤ちゃんの泣き声の大小、その子の身体の構造上十人十色なわけですが、それを発揮できない環境がしっかり整ってしまっているようで、幼い内から色々と配慮をしながら生きていくことが余儀なくされるようなこの国の雰囲気と言えるのでしょうか。そう思うと気遣いが上手いことや、周囲の空気を読むことに長けていたり、そういう国民性であるのはこのようなところにも起因していたりするのかも、と想像してしまいます。社会が子どもを育てる、社会のより良い向上に向けて、そのゴールはいつまでも先にあるように思えますが、そのことはサボったりせずに、ただ、このような環境もきっと何か意味のあることに繋がっているだろうということ楽観さも時には必要かもわかりません。

  5. 今すぐに日本を離れ全く公用語の知識のない国へ行き言語を習得してこい、と言われたらどのくらいかかるのかも見当がつかないし、もっと言えば習得できるかも断言はできませんが、日本人の0歳の子供を同じ国につれていったらまず間違いなく言語を習得するのでしょう。赤ちゃんの持つ真似をする力、観察する力というのは我々大人は失ってしまったか、残っているが表面には見えないだけかわかりませんが、なになしてもとてつもない生きる力だとこのような事例からも再認識できます。

  6. 赤ちゃんが不意にする泣くことや咳をすること、くしゃみといった言葉の発話に大きく関わっているのですね。音域が広くなるというのは面白いですね。確かにそう考えると赤ちゃんが泣くこともむやみに泣かす必要はないですが、「泣き」一つとっても意味がある行為をしているのだということがわかります。また、語彙の習得における経緯は面白いですね。大人でも知らない言語を初めて聞いたときなどは統計によってその単語を確定していくだろうと思いますが、赤ちゃんにおいてもそのプロセスは同じなのですね。そして、その語彙を習得するにあたって言語環境の重要性は語彙の習得にとても大きく関わっているのですね。つい大人と子どもだけでは、「イエス」「ノウ」のやりとりが多くなってしまいます。相手から言葉を引き出すことはなかなか難しいものです。そのためにも共感を中心として、相手とのやり取りや会話が多くなるような環境を作ってあげることが必要ですね。園に来ている子どもたちを見ていても、乳児期からきている子どもたちのほうが語彙が多いように思います。それはこども集団の中で関わりを持たせているからなのかもしれませんね。

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