外国語学習

社会的認知とことばの発達の関係は、外国語学習においても重要であることがわかってきたそうです。たとえば、生後9~10ヶ月の英語圏の赤ちゃんは、中国人が目の前で中国語を話してかかわった場合では、新奇な言語、この場合は、中国語の音韻を学習したそうです。一方で、画面越しに中国語を話す人が出てくる映像を視聴するだけでは、中国語の学習はできなかったそうです。このクールらの研究結果は、他者との対面(ライプ)での相互作用が、赤ちゃんの外国語学習の音韻学習に効果を及ぼすことを示していることになります。

では、なぜ他者との対面での相互作用が外国語学習に効果があるのでしようか。クールは二つの要因をあげて説明をしているそうです。第一に、対面での相互作用は、赤ちゃんの注意を引く効果があります。対面と映像を比較すると、得られる情報量は前者の方が圧倒的に多いと考えられます。第二に、対面で相互作用する人は、ことばの学習に重要な視線、指さしなどの参照的情報を、赤ちゃんの反応に応じて提示することができます。

クールらは、さらに、赤ちゃんの共同注意の能力が、外国語の音韻学習にかかわることも示しました。生後9.5~10.5ヶ月の英語圏の赤ちゃんが、外国語であるスペイン語を話す大人とモノである絵本とおもちゃを介して遊ぶ1回25分間のセッションに、一ヶ月間で計12回参加しました。そして、セッション中の赤ちゃんの行動を分析し、セッション後の外国語の音韻を区別する能力を、ミスマッチ陰性電位の測定によって評価したそうです。実験の結果、セッション中に大人の顔とモノを交互に注視する頻度、視線追従が多かった赤ちゃんほど、スペイン語の音韻の違いに対するミスマッチ陰性電位の反応が強いことがわかったそうです。それは、どういうことかというと、共同注意は、モノとその名前を対応づける役割を果たし、語彙の獲得に重要であるということを示しているのです。また、語彙の獲得は、語彙を形成する音韻の学習につながります。ですから、共同注意をより多く行うことで、外国語の語彙の学習が行われたために、音韻の知覚が向上した可能性が考えられると言うのです。このような知見は、乳児期から外国語をどのように学ぶかの参考になるのではないかと今福氏は言うのです。

そのような研究結果から、今福氏はこんなことを言っています。「現在、日本においては英語教育の低年齢化が進んでいます。英語は2011年に小学五年生から必修となり、2020年には小学三年生から必修化、小学5年生から教科化が始まる予定です。日本で生まれ育つ人の多くは、自然と日本語を習得し、運用することができます。しかし、英語については、そう上手くはいきません。中学校や高等学校の時代に、英語に抵抗感を覚えた経験がある人も多いのではないでしょうか。もしかすると、乳幼児期から英語に触れる機会があると、このような抵抗感はなくなるかもしれません。英語の低年齢化に合わせて、英語の教育方法を考えていく必要があります。」

次に、今福氏は、赤ちゃんとの会話について考察しています。

ことばは、思考するためのほかに、相手との会話のために用いられます。赤ちゃんが音声を発すると、周囲の大人は自然と赤ちゃんに対して語りかけます。これが、赤ちゃんと大人との「会話」になると言うのです。

外国語学習” への6件のコメント

  1. 自園でも、地元の英会話スクールと契約しているアメリカ人やフィリピン人が月に一度来園して3、4、5歳と触れあっています。初めは、英会話に対して良い印象は持っていませんでしたが、先生方は「教える」よりも「楽しさ」を優先してくれているので、安心しています。また、異文化交流の機会にもなるということで、英語の先生たちの地元の話を筆頭に日本にはない食べ物や文化、そして一番は先生自身のことを子どもたちに伝えてほしいと思いました。将来、ただ英語を学びたいと思うより、あの国のあれを学びたい、だから英語を学びたいというように、英語が目的ではなく自分のやりたいことの手段の一つとして考えられればいいですね。そして今回、乳児期からの英語と触れ合うことによる効果もあるということで、今後考えていかなくてはと思いました。

  2. 中学生の頃に英語に抵抗感を覚えて、今も抵抗感がある自分としては、低年齢で英語の学習ができる環境をうらやましく思っています。小さい頃から英語を学べればそうはならなかったんじゃないかと。もう過ぎた話しなので、なんとでも言えるのですが。ですが、それだけでなく対面しているかどうかも影響しているんですね。映像だけでは入ってくる情報量が少ないということで、やはり面と向かっての学習の方が成長しやすいのは、タブレットやスマートフォンを使っての学習の限界を感じました。自園でも英語の講師が来ての英語学習をしていますが、学習よりも「触れて楽しむ」ということを重視して行って頂いてます。大切なのは、英語の習得が目標になるのではなく、英語を使って何がしたいのかだと思います。

  3. 中国では小学校低学年から英語の授業が学校で実施されているようです。ところが、就学前教育では「小学化」は禁止されていますから、英語教育が取り入れられることはないのかもしれません。その点は今後確認しなければならないと思っています。いわゆる母語以外の言語をいつから学んだら良いかという問いがあるかもしれません。早ければ早い方がいいのか。中国の若者の中で英語が堪能な人々に出会うことが最近多くなりました。彼らに留学経験があるかと尋ねるとほぼ、ないと答えます。つまり、国内に居ながら外国語である英語を不自由なく使用しているのです。日本ではそんなことはあまりないですね。その違いはどこから来るのでしょうか?私は流暢ではありませんが、英語でコミュニケーションをとることができます。自分の経験を振り返った時、まず重要だなと思えることは、他者とのコミュニケーションが好きだということです。如何なる言語であれ、他者と話をする、特に知らない他人と積極的にコミュニケーションをとる、このことがあると、外国語についても必要に応じてある程度の習得が可能な気がします。日本人が外国語をものにできるようになるためには乳児から他者とのコミュニケーションが大切になってくると私は考えています。外国語習得には母語で構わないので積極的な子ども間のコミュニケーションが大切だと思うのです。

  4. 映像と対面では映像の方が圧倒的に情報量が多いのではないか、と初めに読んだときは感じましたが言語習得における、と前置きをつけると対面の方が圧倒的に情報量が多いことがわかりますね。言語を習得するべき時に不必要な情報は邪魔なノイズでしかなく、それはどのような成長段階においても言えることなのでしょう。子供が必要なときに必要な環境を十分に用意するというのは正しく見極めなければ全く検討違いのことをしてしまいそうです。

  5. 英語を話せることなく成人しましたが、それでよかったと思えるのは、交渉や商談において海外の方と接する際に、必要なのは言葉の中身であり、それをその国の人の言語に訳すのは、翻訳者や機械がやってくれる、という先生の教えがあるからです。英語の低年齢化によって、またその指導法を更新するにあたってどのようなアプローチが成されるのか気になるところでもありますが、自国以外の国の言葉を話せることの必要性をもう一度考えることも大切なのかもわかりません。人には得手不得手があり、それについては言語も例外でないと思えるからです。

  6. 英語が苦手という人は多くいるでしょうね。私もその一人です。しかし、その中でも海外に行くことが増えていく中で、「英語でコミュニケーションをとってみたい」と思うことが多くあり、つたないながらも使ってみたりすることがありました。そこにおける動機付けというものが何においても重要な気がするのですが、乳幼児期にそれが「自然にある」ものであれば、あまり抵抗感もなくなってくるのでしょうか。日本の環境では海外の人と普段から関わる機会というのはなかなか難しい環境です。しかし、今後、今以上に海外にルーツを持った人が流入してくる社会においてはこういった抵抗感といったものも無くなってくるかもしれません。学びは就学からというよりも生涯学習であるということをより強く感じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です