見直し、スクラップ

教育を見渡すと、目的と手段の不一致はもちろんのこと、手段自体が目的化されているようなケースがたくさんあると言います。加えて、そうした矛盾に多くの人が気がついていないか、あるいは「見て見ぬふり」をして、何らアクションを起こさないでいることについて、寝座なのだろうと、彼はずっと考えてきたそうです。今こそ、目的と手段の不一致がないか、徹底的に検証していく必要があると言うのです。

そもそも「学校は何のためにあるのか」「学習指導要領は何のためにあるのか」「いじめ調査は何のためにするのか」というようなことを、普段は疑問に思っていながら改めて考えることをしないことが多いようです。このような既存の教育活動を目的と手段から見直し、スクラップします。彼は、麹町中学校での学校づくりは、そこからスタートしたというのです。

しかし、見直しだけでは意味はありません。その結果、新たな取り組みを構築していくことが必要になります。その時には、リーダーは先を見る力がないといけないと私は思っています。それは、工藤氏がいうように「未来を生きる子どもたちに必要な力」というものをきちんと捉えていかなければなりません。彼は、カリキュラムとは、子どもたちが「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ために学ぶ内容であり、社会において必要な知識や技能を念頭に置くべきだというのです。

そんな時に忘れてはいけないのは、学習指導要領にどう当てはめるかを考えることよりも実社会を見て、これからの時代を生きていくうえで何が必要な力なのかを考え、授業の中身を組み立てることだと言います。教員には、そうした柔軟な発想が求められるというのです。

そのために、麹町中学校では、教科以外のカリキュラムについては、企業や大学、民間事業と連携して協働しながら実践しているそうです。これは民間企業などといっしょに授業を行えば、常に修正が加えられ、「時代遅れ」にならないからだと言いまs。産業界等で、世界を相手に戦っている大人や、ビジネスの最先端で活躍している素敵な大人にも来てもらい、生徒に話をしてもらっているそうです。大切なのは、既存の枠に捉われず、また、常識やタブーに捉われることなく、未来を生きる子どもたちに何が必要なのかを見据え、教育を考えていくことだと強調します。

このような時代に合わせた実践を進めている麹町中学校ですが、実は授業は昔ながらの一斉講義が主流だそうです。教科以外の行事や特別活動などでは、社会を念頭においてリニューアルをしているそうですが、本当は、授業スタイルこそ変えていかなければいけないと工藤氏は考えているそうです。

これからの社会でどのようなコンピテンシーと言われるような資質能力が求められるのか、それを踏まえて、どういった学び方がよいのかを選ぶことが重要であると思っているそうです。「非認知スキル」や「コンピテンシー」は、近年、話題になることが増えてきました。これらはとても重要な力であり、経験を通してしか身に付かず、しかし、一度身に付けると、その力は人生において繰り返し発揮してくれるものです。