世界の仕組みを知る

別の実験で、ゴプニックは、現作はマサチュ一セッツ工科大学にいるシュルツとともに、スイッチが一つと上部に2つの歯車(青と赤)がついたおもちゃを4歳児に見せました。スイッチを入れると歯車が2つとも回るという簡単なおもちゃなのですが、どのようにして歯車が回るのか、さまざまな可能性が考えられます。例えば、スイッチが入ると両方の歯車が回転するのかもしれませんし、スイッチで青い歯車が回転し、それによって赤い歯車が回るのかもしれません。

ゴプニックたちは子どもたちに、こうした動き方を描いたイラストをいくつも見せました。例えば赤の歯車が青の歯車を押している図です。次に、そのうちのある方法で動くおもちゃを見せ、それがどう動いているかを示すやや複雑な手がかりを与えました。例えばこの因果連鎖おもちゃの昔の歯車を取り除いてからスイッチを入れても赤の歯車は回りますが、赤の歯車を取り除いてからスイッチを入れると何も動きません。

次に、子どもたちにそのおもちゃに合った動き方のイラストを選んでもらいました。4歳児は、ゴプニックたちが見せた手がかりに基づいて、驚くほど上手におもちゃの動き方を当てることができたそうです。さらに、何の説明もなくおもちやを渡された子どもは、歯車が動く仕組みを探るように遊んでいたそうです。その様子はまるで実験をしているみたいだったそうです。

シュルツは別の実験で、アヒルか人形が飛び出す2つのレバーがついたおもちやを使いました。未就学児のグループに、一方のレバーを押すとアヒルが出て、もう一方を押すと人形が出るところを実演して見せました。別のグループには、両方のレバーを同時に押すと両方のおもちゃが飛び出すのを見せましたが、レバーを別々に押すとどうなるかは見せませんでした。それから子どもたちをおもちゃで遊ばせました。

最初のグループの子どもたちは2番目のグループの子どもたちに比べ、おもちゃで遊ぼうとしなかったそうです。おもちゃがどう動くかをすでに知っていて、仕組みを探ることにあまり興味がなかったからだと考えています。ところが2番目のグループは謎に直面したため、自発的におもちやで遊び、どのレバーが何をするのかをやがて探り当てたそうです。

これらの研究結果から、子どもたちが自発的に、“ものすごく熱中して”遊んでいるときは、因果関係を調べたり、実験を行ったりしていると考えられると言うのです。実験は世界の仕組みを知るための最良の方法だとゴプニックは言います。

子どもたちのこうした特性を知って、科学ゾーンに取り組むべきでしょう。単に、早期教育だとか、また、何かを教えるような科学では意味のないことを知ります。ただ、子どもたちのこうした試行錯誤は、一人で黙々と集中して取り組むときと、皆でわいわいと言いながら取り組むときとでは、身につくものが少し違う気が私はしています。それは、個人差があるのでどちらがいいかということは言えませんが、今までの研究や、取り組みに、子ども同士が知恵を出し合うことの意味が少ないようです。しかし、“助っ人理論”ではありませんが、社会に出てそれは大切なことだと思うのです。特に、私たちの先祖であるホモ・サピエンスは集団の中で、知恵を出し合って道具を進化させていったのです。

世界の仕組みを知る” への7件のコメント

  1. へぇ~そうなんだ、と単純に思ってしまいます。子どもたちは私たちが想像しているよりすごいことをするのですね。「子どもたちのこうした特性を知って、科学ゾーンに取り組むべきでしょう。」ここでは「科学ゾーン」とありますが、ブロックゾーンでもほかのゾーンでも同様のことが言えるような気がします。それは、ブロックゾーンでの玉転がしのルートを子どもたちが作り、そこでビー玉を転がしては、うまくいかず、修正しながら、つまり実験しながら玉転がす動画を見てそのことを思うからです。「因果関係を調べたり、実験を行ったりしていると考えられる」ということでしょう。「一人で黙々と集中して取り組むときと、皆でわいわいと言いながら取り組むときとでは、身につくものが少し違う気が私はしています。」という先生のコメントは、子ども集団のかかわり方の質の高さに言及しているように思われます。

  2. 研究結果にありました「謎に直面したため、自発的におもちゃで遊び、どのレバーが何をするのかをやがて探り当てた」という一連の流れから、謎や不完全な物に対する好奇心が子どもの主体性を高めたり、試行錯誤の探究心を刺激することを感じます。また、全てを教えるとか、やり方を伝えるという行為が、子どもから好奇心や探究心を妨げる行為になってしまっているということも感じました。世の中の仕組みを理解しようとする子どもの自然な行動を、大人社会の多くの目や便利さ、手厚すぎる対応がそれを失わせてしまっている現状を、私たちは知る必要がありますね。そして、それを「科学」という分野が担っているのであれば、今後の「科学」の考え方は、より身近でとっつきやすいものであることを環境を通して構築することが重要だと思いました。

  3. 0歳児クラスを担当していた時に、遊んでいた玩具が手から離れてしまい、ハイハイでとろうとするのですが手が届かず泣き出してしまった子に、隣に座っていた子が笑いかけて励ますような仕草をしたり、その子もお座りができたばっかりだったので、玩具を取りに行ってあげるというのでなく、泣いているその子の気をそらしてあげるような働きかけをしていたことが思い出されます。「今までの研究や、取り組みに、子ども同士が知恵を出し合うことの意味が少ないようです」子ども同士という関係の中で育まれていくものの大きさを改めて感じると同時に、0歳児クラスの子どもたち同士でもこれだけの関わりを見せるのですから、成長するにつれその関係が深まっていくことはとても理解できることだと思いました。

  4. 〝2番目のグループは謎に直面したため、自発的におもちやで遊び、どのレバーが何をするのかをやがて探り当てた〟というところと、その前のグループはあまり遊ばなかったというところから、子どもたちは直面した謎を探る過程を楽しんでいるのだと考えられます。ということは、こちらから答えを教えてしまうような方法では子どもたちの興味や関心、主体性を引き出すことはできないということが理解できます。そうしたものを「科学」から学ぶのだとすれば、大人が余計に手を出さないことがそのまま「科学」に通じるのではないかと感じました。

  5. 子供の持つ知識への探求心というのはすごいですよね。知らないこと、聞いたこともないことを前にすると目をキラキラさせながら知識を得ようとします。ただここで最近気づいたこととしては子供は新しい現象や見たことのない動きには敏感になりますが、それに関する理論などにはあまり興味を示さないということです。もちろん例外もいますがほとんどの子はどれだけ噛み砕いた説明をしようとも理論になるとすぐに飽きてしまいます。これは処理能力や集中力の継続時間以外にもなにか要因があるのでしょうか。

  6. 今回の2つのグループの様子を見ていても、保育者の距離感を考えることにおいてとても参考になる事柄ですね。初めから答えを言ってしまうと、そのものに興味を失ってしましい、むしろ不思議がったほうが子どもたちはより熱中すると藤森先生もかなり前から講演で話していた内容であったように思います。そして、「ヒトの進化の中でも、集団の中で知恵を出し合って道具を進かさせていった」というように人と人との相互作用というものはもっと考えていかなければいけませんね。どうしても、子どもの指導は語られていても、子ども同士の関係性について、それほど多く語られていないのは、確かにその通りだと思います。つい大人の思い描く活動を子どもたちに求めてしまうところがあります。そして、それが今の日本のカリキュラムの中でも普通になっています。だから、あまり自由遊びに関しては懐疑的な印象を持っている人が多いのだと思います。今一度、子どもたちがどういったプロセスで学び、どういった環境作りをしてあげることが必要なのか。そして、そこに大人はどう活動を取り入れていけばいいのか、その大人の環境と子どもの環境のバランスをしっかりと見据えなければいけませんね。

  7. まさに科学ゾーンでの子どもの姿ですね!このような子どもの姿を見るとワクワクします。だからこそ科学ゾーンは本当におもしろいです。改めて、また科学ゾーンを工夫したくなってきました。「子どもたちが自発的に、“ものすごく熱中して”遊んでいるときは、因果関係を調べたり、実験を行ったりしていると考えられると言うのです。実験は世界の仕組みを知るための最良の方法だとゴプニックは言います」とありましたが、このようなことが行えるようなものを科学ゾーンに揃えるとおもしろそうですし、科学ゾーンに置くもののヒントにもなりますね。最後に「子ども同士が知恵を出し合うことの意味が少ないようです」とありました。乳幼児施設だからこそ、やはり私たちはこのことを大切に考え、工夫していかなければなりませんね。

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