政治的行動

『反逆者に生まれて』の書評の中で、歴史家ジョン・モデルは本の中に提示されている歴史上のデータをどうとらえるべきかが難しいと述べているそうです。著者の「熱烈なまでの唱道により、それは仮説を評価するためにというよりは、読者を圧倒するために必要なものとして提供されている。」それにはハリスも同感しています。そのためサロウェイの主張の真偽を見きわめるためには別の研究者がもたらした証拠に頼らざるをえなくなりました。

サロウェイは、第一子と第二子以降では政治的な見解も異なる、すなわち第一子はより保守的で、第二子以降はよりリベラルだと考えています。アルバート・ソミットとアラン・アーウイン、そしてスティーヴン・ピータースンは1996年に出版された出生順位と政治的態度に関する本の中で、文献を調べ、次のような結論に達したそうです。

「われわれは、われわれが確認しうる出生順位と政治的行動の関係に関するすべての文献に、目を通した。本研究のいうところの行動とは広範囲に及ぶ。個人として政治に参加すること、政治への関心、リベラルか保守か、言論の自由に対する態度、リーダーシップ志向、政治的社会化、マキアヴェリズム、伝統に反する行動、さらには役職の指名制と選挙制についてまで。これらの研究の多くでは、そこで提示されたデータからは出生順位との意義のある関連性は認められなかった。かかる関連性が報告されたものに関しても、控えめに言うならば、批判的な分析によって結果の有効性に重大な疑惑があることがわかった。」

サロウェイは、第二子以降はより反逆的で親の規準には従おうとしない傾向にあると断言しているそうです。子どもたちや思春期の若者たちがよく見せる反抗的行為の一つに、学業の怠慢があります。そうした行動は成績という実に収集しやすいデータとなって現われます。そうしたデータを収集すると世間一般の考えとは矛盾する結果が得られたそうです。学校で実力を発揮しない傾向と出生順位との関連性は認められなかったのです。心理学者ロバート・マッコールによると、「系統だった研究においても…実力以下の成績をとることが第一子よりも第二子以降においてより多く見られるという傾向は確認できなかった」と言っています。

サロウェイは第二子以降は、革新的な考え方を受け人れやすいと主張しました。心理学者マーク・ルンコは子どもにおける「拡散的思考」、すなわち風変わりな思考傾向に関して調査したそうです。第二子以降が「拡散的思考」項目において高い得点を記録するような傾向は見られなかったそうです。この調査で最高得点を記録したのはむしろ第一子もしくは一人っ子だったのでした。

一般的に、結婚生活は性格や態度が類似している夫婦ほどうまくいくということは、研究によって明らかにされているそうです。もし出生順位が性格や態度を大きく左右するのであれば、第一子同士や第二子以降同士の方が幸せな結婚生活を送れるはずです。ハリスが唯一見つけたこの内容に関する研究の結果は、その逆を示唆していたそうです。心理学者ウォルター・トーマンは出生順位の異なる者同士のカップルは離婚する可能性がより低いと報告しているそうです。