ドイツ報告19

ドイツのバイエルン州のレーゲンスブルグは町全体がユネスコの世界遺産に登録されているだけあって、いたるところに古い、貴重な建物が残っています。街並みも美しい景観を見せてくれます。路地も狭く、所狭しと建物が並んでいます。それでいながら、その街の中にある幼稚園や保育園、学童クラブは、どうしてあんなに広々と、余裕をもって作ることができるのでしょうか?日本では、待機児解消といって、保育所を次々と建設していますが、都会では、場所がないといって、マンションの一室であったり、園庭がない園が多く作られています。また、子ども集団がいないような小規模保育園も作られています。特に、最近は、日本では学童クラブは基本的には全入のため、狭い中に押し込められ、床で宿題をしている姿もよく見かけます。

ミュンヘンも同様に、街中でも十分な広い園舎と広々とした園庭、緑の中を走り回る子どもたち、夏はダイナミックに泥だらけになりながら水遊びをする子どもたち、それでありながら、一人で静かに過ごすことができるスペース、少人数で活動できるような小部屋、ゆったりできる癒しの空間、そんな部屋も用意されています。今回訪れたレーゲンスブルグの学童クラブの園庭は、とても広いだけでなく、石で組まれた水を流す川があり、それをせき止めるダムがあり、流れ込んで水がたまる場所がありました。そこで、子どもたちは暑い盛りでしたから、水着を着て、水を流したり、掛け合ったり、溜まった泥だらけの水たまりに体をつけたりして遊んでいました。また、保護者達が作った土に埋めたトランポリンを飛んだり、最後は、石段にみんな並んで、私たちに歌を披露して歓迎の意を示してくれました。私たちは、その子どもたちの歌を聴きながら、おもてなしのごちそうを満喫しました。そんな余裕が随所に表れていました。

2018年6月22日、今回のドイツ研修の最後の視察の日になりました。毎年感じることですが、ドイツに着いたときは、1週間は長いなあと思うのですが、視察最後の日になると、もう終わってしまうのかと少し寂しくなります。最後の見学先は、レーゲンスブルグの3~6歳児96名の幼稚園です。1995年に設立され、4クラスで構成されています。スタッフは、各クラス2~3名で、合計12名の保育者、他に給食1名、清掃等1名です。この園は、幼稚園ですが、キンダーガルテンとは言わずに、キタ(Kita)と言います。それは、Kindertagesstaetteの略で、意味は、「子どものためのデイケアセンター」で、通常「保育施設」とか、名称としては「保育園・幼稚園」とも訳されているそうです。これは、キンダーガルテンとはどう違いのかは聞きませんでしたが、昨年もらった園の紹介には、「ようこそKITA」と書かれてありました。

この園は、郊外にあるために、もちろん園庭は広々としています。子どもたちはその中で自由に遊んでいるのですが、平均台を渡るような慎重を要する場所にはキチンと保育者がついていました。園庭には、小道、水をせき止めたり流したりする水路、皆で囲んで焚火をする場所、久しぶりに見た虫ハウス、子どもたちが興味を持ちそうなものが自然の中に点在しています。

室内もミュンヘン同様、様々なゾーンで構成されています。その豊富さには目を見張ります。

今年も、いろいろと刺激を受けたドイツ研修でした。オープン保育の実施、そしてそこから見る二者関係愛着からソーシャルネットワークでの愛着の考え方。子どもの権利条約の批准に対して取り組んでいる子どもの保育への参画。そして、小さな科学者への取り組み。そして、保育への取り組みに対しての「ねらい」の考え方など、今後の日本での保育への取り組みに参考になる実践でした。

ドイツ報告19” への4件のコメント

  1. 見るもの殆どに新鮮な驚きを感じるドイツ報告ですが、今回もまた様々な発見と共通項に出会えました。本質や目指すものにとても似通う部分を感じるからこそ、その実践に心惹かれますし、日本の社会全体が保育や教育というものに目覚めた時、きっと同様の感動を得ることになるのでしょう。現場目線でですが、来たるその日のために積み重ねていくべきこと、取り込むべきアイディア、その方向性を具体的に知れたような気がして、ゆっくりかもわかりませんが、これからまた行動の日々を送っていきたいと思いました。
    先生、改めてになりますが、ドイツ研修本当にお疲れ様でした。

  2. 毎年、このドイツ報告から学ぶものが多くあることと、一緒に載っている写真から環境のヒントを得ることなどとても参考にさせていただいています。
    今回の報告からも「なるほど」と思ったもの、取り入れていけると思ったものについてはチャレンジして行きたいです。
    〝子どもたちはその中で自由に遊んでいるのですが、平均台を渡るような慎重を要する場所にはキチンと保育者がついていました〟とあり、ドイツのゆったりとした中にも芯があるような保育者の姿勢がみえますが、その感じは国を挙げて行われていること、そして、そのためにしっかりと保育者サイドからの発信があることなど前の報告からの学びがありました。
    ありがとうございました。お疲れ様でした。

  3. 毎回、ドイツ報告を読ませていただき、世界水準の保育というところから園のなかで、実践する自身の保育に対する考えはどうかと考える機会となると共に、刺激を受けます。進化しているドイツの保育環境からやはり、参考になるのは子ども主体であること、玩具も子どもたちが使おうとするような配置や興味を引くものなど、専門性たる知識が含まれているところは、今後の取り組みかたをどのようにすることが必要なのかを考えるきっかけとなります。

  4. 本年のドイツ研修、例年通り、実り多いものであったことがこれまで連載されてきた「ドイツ報告」から伺い知ることができます。子どもたちにとって、どんな環境が必要なのか、洋の東西という区別を超えて、実感することができます。ドイツのバイエルン州のKITAをはじめとする各施設に日本からも多くの研究者や実践者が訪問しているはずです。そして、そのすばらしさや先進性に心打たれてきているはずです。しかし、報告にもあったように、「日本では、待機児解消といって、保育所を次々と建設していますが、都会では、場所がないといって、マンションの一室であったり、園庭がない園が多く作られています。また、子ども集団がいないような小規模保育園も作られています。特に、最近は、日本では学童クラブは基本的には全入のため、狭い中に押し込められ、床で宿題をしている姿もよく見かけます。」といったありさまになってしまっているのは何故だろう?と思ってしまいます。行政の人々は、お金がないから、とか、必要に迫られて、とか、できない理由を並べます。需要がないから、とも言います。政府の諮問会議には多くの高名な研究者が名を連ねます。しかし、結果は、上記引用の様子と化しています。ドイツと日本との違いはこれから先の未来に大きな違いを生み出すことになるのでしょう。

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