ドイツ報告17

四日目の午前中、ミュンヘン市の学童保育の視察が終わって、昨年同様、レーゲンスブルグに移動することにしました。午後はレーゲンスブルグの学童施設を見学する予定ですので、昼食は移動の中のバスの中で、日本食の幕の内弁当をいただきました。

午後の視察先は、90年に設置され、2002年に大改装された1年生から4年生までの80名定員のナポレオンシュタインという市立学童施設です。対象児童は、隣接しているナポレオンシュタイン小学校と、特別養護施設の児童を優先するそうです。開所時間は、11時15分から17時15分です。金曜日は、17時までで、学校休暇中は7時30分から17時まで改所しています。1年のうち学校は休暇が60日ほどありますが、学童は、年間30日以上は休所しないことになっているそうです。

保育料は、ひと月163ユーロから181.5ユーロ(約2万3千円ほど)で、保育時間の長さで決まっているそうです。この費用には、給食費も含まれています。ただし、低所得者には軽減措置があり、最も少ない場合は、給食費(17ユーロ25セント)のみが自己負担です。

ドイツでは、保育者には、1級と2級がいます。1級は5年制大学を卒業し、教育学専門家と言われ、2級は、短大か養成校を出て、教育学助手と言われています。この学童には、フルタイムと時短勤務の女性1級保育者が6名、女性2級保育者が3名のほか、1名の男性2級保育者、1名の女性実習生(1年を通じて週三日間自習)が勤務しています。ドイツバイエルン州では、日本同様、非常に保育者不足で、職員が定員に満たないことが多いようです。この学童でも1名不足しているそうですが、レーゲンスブルグ市では、そのために市としてフリー保育者をプールしておき、足りないところに派遣しているおり、この学童も1名はそのような職員だそうです。また、特別養護施設からも来ますので、1名の養護保育者がいて、ケアを必要とする子どもを中心に活動しているそうです。

保育内容としては、幼稚園、保育所同様、バイエルン州における「バイエルン」という陶冶保育プランの基準と、「小学校の終わりまでの陶冶と保育」のガイドラインに沿って計画されるそうです。その中で、この学童の重点項目として、「ジェンダー教育」「それぞれの人格形成における多様な能力を伸ばすこと」「社会性の育成」が挙げられています。

保育は、オープンコンセプトで運営しています。就学前施設同様、児童は、自由遊びの時間には、自分で決めた場所で、自分で決めた友人たちと、自分で決めた遊びをすることができます。そのために、環境として、多様な遊戯室や、学習室が用意され、少人数で遊んだり、一人で静かに過ごしたりできる場所が用意されています。保育者は、2週間ごとに担当する場所が変わります。しかし、保護者との面談のために、児童の発達状態についての記録をとるのは、担当する児童が決められていて、それは、1年間変わりません。この考え方は、私の園も同じです。保護者に「子どもについての相談がある場合、園の職員誰でもいいですよ!」と言っても、逆に誰にすればいいのか迷ってしまいます。ですから、「あなたのお子さんは、○○の先生が担当します」と言います。だからといって、その子を保育するのは、担当保育者がするのではなく、いろいろな保育者が担当します。この学童でも、それと同じようです。

ドイツ報告17” への10件のコメント

  1. 「ドイツでは、保育者には、1級と2級がいます。」水準の高い保育を実践していく為に質の高い保育者を学校で養成し、そして現場へ送り出していくいうことはとても重要なことです。資格取得までの教育内容がどのように日本と異なるのかとても興味が湧きます。幼稚園免許の更新の為に来月母校へ授業を受けに行く機会を得ましたが、今から楽しみです。卒業してから随分と時間が経ち、教育内容にどのような変化があり、また、今何を学ぶべきものと位置付けられているのか、しっかり学んできたいと思います。

  2. ドイツでも〝日本同様、非常に保育者不足で、職員が定員に満たないことが多い〟とありました。ですが、日本ではとにかく保育者を増やそうとしている節がありますが、ドイツではそうではなく、「質」は下げてはいけないという考えのもとで政策を行っているという報告が以前にありました。国の将来を考えていく、先を見据えていくのであれば、ドイツの考え方の方を日本は見習うべきであると思いますが、直面している課題を乗り越えることも必要なことではあると思います。〝ドイツでは、保育者には、1級と2級がいます〟ということで、日本でいう幼稚園免許のような形になっているということでしょうか。質を求めていくのなら同じように更新していくものなのでしょうか。個人も企業も国も先を見据えていくのは大切なことですね。

  3. ドイツにある1級、2級という学歴によるものを改めて、以前の報告も踏まえ、考えてみると、養成校での学習内容がより高度なものであり、実践に伴うようなことがしっかりとなされていることを考えることができます。
    日本での養成校で経験する内容とはずいぶんと違う印象が持てます。

  4. 日本の学童保育にはまだまだ課題が山積です。しかも、日本の行政は、学童保育に何だか後ろ向きです。学童ではなく、放課後子どもひろば、でいい、という考え方ですね。放課後校庭を開放し生徒はその子で帰るまで過ごす。これが基本のようです。紹介されているような学童施設は羨ましい限りです。放課後の子どもの「居場所」はどうあるべきか、しっかりと考え抜かれて設置されていることがわかります。保護者に対するスタンスは「私の園も同じです。」とあるように、保護者がどの先生と相談すればいいのか迷わなくても良いシステムになっています。このことは重要ですが、日本の多くの施設のように、子どもを独占する一人担任ではないところに注目したいと思います。ミュンヘンではない、レーゲンスブルク市でもBEPの考え方が浸透している様子が伺えます。

  5. 「ドイツでは、保育者には、1級と2級がいます」とありました。日本で言う幼稚園教諭1種・2種や正・准看護師と同じような感じなのかなと感じていましたが、1級が「教育学専門家」という立ち位置ほど差がないように感じました。この1級の人たちが以前の内容にあった行政の保育課のような場所に現場を知っている人や足を運ぶ人が多いという背景に繋がり、羨ましい環境へと繋がっているのかなと感じたのと同時に、そちらに流れるシステムがドイツにおける保育士不足の要因でもあるのかなと感じました。また「保育者は、2週間ごとに担当する場所が変わる」システムは面白いですね。全体の流れの把握や次の予測をしていく上で良いシステムだなと感じましたし、オープン保育に適しているなとも思え、改めてよく考えられて実践されていることがうかがえます。

  6. 学童施設もオープン保育の考え方を取り入れて、実践しているのですね。私の園も学童を行なっていた時のことを思い出しましたが、子ども達が自分達で活動を決めたり、時にはルールを新しく設けたり、同じような考え方の学童だったと思います。学童という存在が日本ではまだまだ重要視されていない気がします。ただ放課後に小学生が集まる場所として、目的も何もないような印象です。小学校ではない場所だからこそ、子ども達の自由な発想とアイディアを存分に発揮できる空間が学童には必要だと思いました。

  7. 「小学校の終わりまでの陶冶と保育」のガイドラインに沿って計画されるそうです。その中で、この学童の重点項目として、「ジェンダー教育」「それぞれの人格形成における多様な能力を伸ばすこと」「社会性の育成」というのが記載されています。「小学校の終わりまでの陶冶と保育」というガイドラインを少し拝見したいなと感じます。多様な能力を伸ばすことや人格形成に欠かせないのはやはりさまざまな人と関わることであるように思います。そうするとやはり担当制では限界がありますね。この学童のような先生の見方というのがやはり子どもにとってもいいことがわかります。

  8. 1枚目の写真の木の装飾は、オシャレでいいですね。ドイツ報告の写真を見ると、街並みや保育環境もオシャレで、実際に現物をみたくなります。
    子どもの発達についての相談をする場合、クラス担任が主となりますが、普段保育をするのは全体で行なっています。やはり子どもの発達について、あらゆる視点から見てそれをすり合わせる機会は大切だと感じました。
    それが、昼休みの時間であったりいろんな場面で自然と話題になっていたりするので、新宿せいが子ども園の良い部分だと思います。

  9. レーゲンスブルグで最初に訪れたこの学童施設の充実した環境には驚きました。広さももちろんですが、ごっこをするゾーンがあったり、癒しのゾーンがあったりとここは本当に学童なのだろうかと思ってしまいました。それも日本の学童施設の刷り込みが強いからかもしれませんね。『この学童の重点項目として、「ジェンダー教育」「それぞれの人格形成における多様な能力を伸ばすこと」「社会性の育成」が挙げられています』とありました。このような目標を持って教育をしているというのが素晴らしいですね。ついつい日本と比べてしまいますが、日本ではこのような目標を掲げて教育をしている学童施設がいくつあるのだろうかと思ってしまいます。それもやはり、国や市が教育のガイドラインをしっかり示しているからなのかもしれませんね。そういった本当の意味での質を向上するシステムが必要になるのですね。

  10. ドイツの学童の重点項目の「ジェンダー教育」「それぞれの人格形成における多様な能力を伸ばすこと」「社会性の育成」といったものは日本の教育における目標と似ていますね。この時期に必要になってくるものは日本も世界も同じなのですね。しかし、日本でも同じようなことが目的になっているにもかかわらず、それが実現しているような環境ではないように思います。特に学童では日本の場合多くはパートの職員で学童を行っているところが多く、子どもの託児といった意味合いのほうが多く学習的な要素は少ないような印象があります。ましてや発達といったものにまで理解があるようには思いません。業務体系や考えは日本とは大違いですね。小学校にしても、学童にしても、日本とは違い主体性や自立といったところに非常に目が向いているというのがわかります。

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