ドイツ報告1

人類は、南アフリカで誕生し、世界中に拡散していきました。それは偉大な旅、グレートジャーニーと呼ばれています。その旅先で気に入ったところで定住していきます。そして、その地域で住むためにその地域の気候、風土、その地域に生息する生物に応じて適応していきます。そして、進化をしていきます。その進化は、自らの身体だけでなく、能力、使う道具も進化させていきます。この道具の進化は、大きい集団で暮らしていたホモサピエンスの生存戦略としてとても有効的だったと、先日のNHKの人類の誕生という番組中で取り上げていました。

ヒトは地域によって、自分たちの民族を形成していき、それぞれの文化を築いていきます。そして、自分たちの遺伝子を子孫に残していきます。その営みが育児であり保育であったのなら、地域によってその方法、その考え方は違ってきます。しかし、世界中の民族の笑顔が変わらないように、赤ちゃんの発達は基本的には世界中あまり差はありません。地域によって、その大地の危険性によって若干ハイハイから立ち上がるまでの時期に差はあるものの、ハイハイをしないで立ち上がることはしません。これは考えると不思議なことです。誰に教わることなく、また昔は情報の共有もほとんどありませんでした。他の生物と違って、生息地域も限定されず、世界中に散らばっているだけでなく、赤ちゃんの発達は、世界中が共通している部分が多くあるのです。したがって、その発達を促す育児も、それほど差はありません。

明日から、今年のドイツツアーが始まります。毎年、新たな発見があります。今年はどのような変化があるでしょうか?以前、ブログでも紹介しましたが、最近オープン保育という取り組みを始めています。日本では愛着を含め、二者関係から論じることが多い中、担任王国から子どもたちを開放し、複数の保育者みんなで子どもたちを見ていこうというものです。この内容は繰り返しにはなりますが、私が現在発行に向けて進めている本の中で、海外の保育という中で、ドイツの保育を紹介しています。今年のドイツ報告の前に、もう一度復習してみます。

オープン園へと変化するドイツ・バイエルン州の保育についての背景があります。それは、ドイツで、こんな事がありました。2000年に経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査、いわゆるピサの学力調査において、社会階層による学力格差が大きい国であることが示されました。そこで政府は、就学前段階での教育的側面をより重視することにしたのです。ドイツでは、子どもの学びは「遊び」を通して行なわれるということはぶれずにきちんと抑えています。さあ、就学前教育をしましょう、何かをわからせたり、できるようにさせましょうということではなく、どのように子どもの遊びを豊かなものとし、それを自発的に行なわせようということが徹底されています。その結果が「オープン保育」という形態に次第に各園が変わり始めているのです。同時に、あらためて子どもの権利条約を批准したことに対する具他的な取組みを考えようということで、「参画」という取組みを始めているのです。

ドイツ報告1” への12件のコメント

  1. 本質がわかることで応用が可能になる。保育の本質とはと問うことの答えの一つが子ども理解であるとするならば、目の前の子どもたちを理解することは世界の子どもたちを理解することと言うことができそうです。子どもたちの思いと保育者の思いががっちりと噛み合うような毎日を作るために今日も保育者は子どもを理解することについて、そして子どもたちを取り巻く環境について思いを巡らせています。その成果はドイツと日本、異なるものがあるのでしょうか。
    オープン保育、とても興味深いことです。

  2. 私も人類の誕生を拝見しましたが、感じたことは、誰にも教わることなく、集団のなかで考え、生きるためにはどのようにしなければならないのかを常に試行錯誤をしながら生き延びていく力には、私たちが失ってはならない共生心であったり、学ぼうとする好奇心や探求心と思います。そのなかで、”世界中の民族の笑顔が変わらないように、赤ちゃんの発達は基本的には世界中あまり差はありません”とあることをあたり前ではありますが、私達は、専門性をもちながら保育をするということには、赤ちゃんからの発達をしっかりと理解しておいた上で、保育のなかの環境を作り上げることが大切になると思います。そうしたことがドイツで取り組まれているオープン保育という自発的に行える環境として徹底されているように考えることができました。これからの報告を楽しみに見ていきたいです。

  3. NHKは「人類の誕生」という特集を組みましたが、その前に「人体」を特集しました。後者から私は、ヒトは生物としてもヒトとしても「自発」的であることをしっかりと認識することができました。そして前者からは、ホモサピエンスの生存戦略の優位性により現在の「人新世」が誕生してきたのだということがよくわかりました。現在の地球はヒト、特にホモサピエンスの帝国です。そして全盛を迎えているかのようです。一方で、そのホモサピエンスは、自らの手で自らの種を亡ぼすことを可能にしています。そうした時代状況にある私たちは、未来を担う眼の前の子どもたちに如何なる願いを託してその育ちに寄り添おうとしているのか。このことは、とても重要な課題であると私は思っています。ドイツ・バイエルン州での「オープン保育園」。私は「子どもの世界」「子どもの文化」の生起、継承はこのオープン保育園という方法によるのだろうと直観しています。AIの時代を迎える今だからこそ、未来社会の形成者である子どもたちには本来有する自発性と、主体的在り方の大切さを血肉に沁み込ませてもらいたいと思うのです。

  4. グレートジャーニーで世界中へと散らばっていった祖先たちは当然といえば当然ですが〝気に入ったところで定住〟していったのですね。そして、よりよく暮らしていけるように身体を変化させていったり、道具を進化させていったり、他の場所に移ったりを繰り返しながら今日の人類の繁栄がある。暮らしの始まりはやはり「主体性」であり、今とつながるには「感じたり、考えたり」というようなことの繰り返しであるのですね。
    オープン保育は〝子どもの遊びを豊かなものとし、それを自発的に行なわせようということ〟を考えた上での保育の形態であるということで、今回のドイツ報告も興味深く読ませていただきます。

  5. ドイツツアーでの「新しい発見」。ブログを拝見させて頂いているだけでも、毎年違った、そして大きな発見があるので実際にドイツツアーに参加されていると、より大きな発見があるのでしょうね。そこに先生の視点とわかりやすい解説があり、今回もとても楽しみにしております。
    残念ながらNHKの「人類の誕生」を見逃してしまったので、何とかそれを確認し人、ホモサピエンスの生存戦略をおさえながら、ドイツツアーへのブログの準備としたいと思います。

  6. 今年のドイツ報告も楽しみです。初めてドイツの保育を知った時の印象は今でも覚えています。まだまだ、ドイツについて知らないことばかりですが、保育環境や文章中にもあった「オープン保育」など興味ぶかいものがたくさんあります。また、保育だけでなく前回の報告でドイツの街並みを見て、ドイツという国の景観や文化、伝統にも興味をそそられます。今回の報告でも、学びにつながる部分があると思うので、自分の保育の幅を広げられるように、ブログを読ませていただきたいと思います。

  7. 冒頭の話で思い出すのが、以前鹿児島に職員旅行に行ったとき桜島の見えるホテルに泊まりました。その際藤森先生とのお話であそこに住んでる人もいるんですねという話から「その地域で住むためにその地域の気候、風土、その地域に生息する生物に応じて適応していきます。」というように正にその風土に合うように適応をしていくんだねという話を思い出します。本当にグレートジャーニーというのはヒトの原点のようでワクワクします。そこから考える保育の奥深さ。ドイツの保育の新しい発見を読ませてもらえる貴重な機会があり感謝です。

  8. 「進化は、自らの身体だけでなく、能力、使う道具も進化させていく」という進化の連鎖、その中でも道具の進化は、大きい集団で暮らしていたホモサピエンスの生存戦略としてとても有効的だったのですね。この連鎖は、模倣という形で他者のまで連鎖していくところも人類らしさであり、魅力であるように感じました。
    今年のドイツ報告も例年通りとても楽しみにしていました。「オープン保育」や「参画」などの取り組みもそうですが、何よりその経緯や背景に感銘を受けます。今年はどんな驚きや学びを得られるかとても楽しみです。

  9. いよいよドイツ研修が始まりましたね。今後、楽しみに読ませていただきます。
    その前に「オープン保育」の復習ということで書かれていますが、ピサの学力調査をふまえて教育的側面を重視するとして、日本のように大人との二者関係ではなく、もっと子ども自身の自発的な遊びから「学び」を重視するという考え方が、藤森先生が言われるようにブレないですね。そのあたりは私達も実践しているところですが、「参画」という考え方を取り入れてみると、より保育に深みが増しそうですね。

  10. 「ヒトは地域によって、自分たちの民族を形成していき、それぞれの文化を築いていきます。そして、自分たちの遺伝子を子孫に残していきます」とありました。藤森先生は常々、変えていかなければいけないもの、変えてはいけないものという不易と流行を見極めることの大切さをお話されます。それぞれの地域、文化によって教育を変えていく、しかし、変えてはいけないことを見極め、柔軟に教育を楽しむことが保育でも大切ですね。そして、ドイツの保育ですが、しっかりと変えてはいけないことは理解しながら、時代に合わせた保育を行なっているという印象を受けます。私たちも見守る保育を実践していく中で、核となる部分はしっかりおさえて、様々なアプローチで保育を工夫していくことは忘れずにどんどんやっていきたいなと思いました。

  11. 今年のドイツ報告はまたどういったものになるのかとても楽しみです。「就学前教育をしましょう。何かを分からせたり、できるようにさせましょうということではなく、どのように子どもの遊びを豊かなものとし、それを自発的に行わせようということ」という言葉は今の日本でも叫ばれている言葉ですが、それが実際に実現化しているかというと程遠いものがあります。「日本では愛着を含め、二者関係から論じられることが多い」ということに対し「担任王国から子どもたちを解放し、複数の保育者みんなで子どもたちを見ていこう。」といったオープン保育を思い切ったドイツ。こういった保育に踏み込むことができる社会や保育士の意識は見習っていかなければいけませんし、実際どう行っているかは今後の保育により刺激になることだと思います。報告を踏まえ、今の保育を考えていこうと思います。

  12. 人類の誕生はとても気になります。「誰に教わることなく、また昔は情報の共有もほとんどありませんでした。」今でこそ、情報の共有がかなりありますが、赤ちゃんの持ってもまれたものの素晴らしさを感じます。
    オープン保育は、とても理想的な形です。「子どもの学びは「遊び」を通して行なわれるということはぶれずにきちんと抑えています。さあ、就学前教育をしましょう、何かをわからせたり、できるようにさせましょうということではなく、どのように子どもの遊びを豊かなものとし、それを自発的に行なわせようということが徹底されています。」とあるように、なんでも先取りしてはいけませんね。ドイツの保育は、今の保育に必要なキーワードがたくさん盛り込まれています。オープン保育や参画。子どもの権利を考えた上での保育というのは、ドイツは国としても魅力があります。僕の中で、まだしっかりと理解できていない部分があるので、ブログを通じて、ドイツの保育を勉強させていただきます。

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