ドイツ報告9

1園目の園のそのほかに参考になる環境がいくつかありました。以前ドイツに来た時にも見たのですが、いろいろなところに子どもの飲み物が置いてあるのですが、必ず2種類、ここでは水とお茶ですが、どちらを飲むか子どもが選択できるようになっています。また、文字ゾーンには、パソコンとタイプライターが置いてあって、子どもたちはいつでも文字が打てるようになっています。科学ゾーンには、目を保護するメガネと手袋をするようになっています。トイレには鍵がかかりませんから、中に入っているか空いているかを表示するようになっています。入るときに手形を赤にします。階段の踊り場は、1階と2階の子どもたちが出会う場所ですが、そこには、自分がどこで何をしているのかを貼るボードがありました。同時に、何時には何をするのかを示すデーリープログラムが貼ってありましたが、そのデザインはとてもきれいでした。

ランチルームには、壁に幾何学模様が貼ってありましたが、これは吸音材だそうです。この時間帯は見学先を二手に分かれたのですが、もう一つの園にも同じものがあったそうです。ランチルームのように少しうるさい部屋にはこれが貼ってあります。また、この部屋では朝食やおやつも食べるのですが、子どもたちはいつ来て、いつ食べてもいいそうです。

職員室の壁には、参画についてのいろいろな言葉が書いてあります。これは、職員が、いろいろなところで見つけてきたものだそうです。たとえば、その中の一つには、「参画は自己肯定感を高めます。」と書いてあります。

次に、3,4歳児に対しての科学遊びを見せてもらいました。この時間は、5歳児は、近くの小学校でのコンサートに誘われたということで留守でしたので、3,4歳児の希望者だけが科学の部屋に集まりました。まず子どもたちの前にいろいろな液体の入った容器を置きます。その容器の液体のにおいを子どもにかいでもらいました。顔をしかめるにおい、いいにおい、何も匂わないものがあります。実は中身は、レモン汁、洗剤、りんごジュース、お酢、ベーキングパウダーの液体が入っています。

においをかいだ後、スポイトで、どれか好きな液体を自分の前にある小さな容器に入れます。そこで、先生はリトマス試験紙を子どもたちに配ります。それは、下の方にいろいろな色がついています。それを液体に漬けると、色が変わります。先生は、色見本を子どもたちにどれに近い色に変わったかを確認させます。これは、酸性かアルカリ性かですが、この言葉は使いません。別にその言葉を覚えさせようというわけではないからです。次に別の容器に入った液体をスポイトでとって自分の前にある容器に入れます。すると、子どもたちの容器に入れた液体の色がみるみる変わっていきます。薄い赤、濃い青、ピンク、様々です。色の変化に子どもたちは興味を示します。子どもたちの入れた液体は紫キャベツの汁だったのです。それぞれに変わった色に驚いたところで、先生は、「では、この続きは明日しましょう」と言って、子どもたちは散っていきました。色の変わった理由も、入れた液体の正体も、何も説明せず、驚いたことで終了しました。

これが科学だというのです。不思議さを感じること、それに驚くこと、続きをしたいと思う気持ち、それが大切であることを私たちに見せてくれたのでした。

ドイツ報告9” への10件のコメント

  1. 今回のブログで紹介されている保育環境を創造する職員の皆さんが、養成課程において何を学んできたか、よくわかります。子どもたちにとってどんな環境が大切なのか、養成校及び実習、そしてインターンの期間、徹底して学んで園の職員になっているのでしょうね。「3,4歳児に対しての科学遊び」のところを見て、私たちが小学校の高学年から中学2年の頃までに学んだことがその「科学遊び」の環境に展開されています。養成校の課程において習得したスキルに基づく環境設定なのだろうと思いました。「先生はリトマス試験紙を子どもたちに配ります。」の部分を読んでそう思いました。私が勤める園でも「紫キャベツ」が子どもたちの驚きを引き出したことを思い出しました。それは、保育士さんではなく栄養士さんによるものだったと記憶しています。ドイツでは教諭の先生たちが子どもたちに学びの機会を提供するのでしょうが、我が国では保育士さんを含む「保育者」の皆さんが自分の経験体験及び学びを、子どもたちを取り巻く環境に反映させることでドイツの保育環境と相当のものを実現できるのだろうと思いました。つまり、園に関わる一人ひとりの大人が資格や職種にとらわれることなく、自ら発揮できるスキルや力を存分に活かすことが求められているのだろうと思ったのです。例えば、看護師さんが自分の好きなお菓子作りを園の子どもたちと楽しむように。

  2. 素晴らしいですね。とても感動しました。科学あそびを終えた子どもたちがその後どのような行動を選んだか、或いは図鑑を手にとってみたり、色々と調べてみたりしたかもわかりません。しかしそれより何より、「これが科学だというのです。不思議さを感じること、それに驚くこと、続きをしたいと思う気持ち、それが大切であることを私たちに見せてくれたのでした。」意図やねらい、というものを保育者が立てれば立てる程、子どもたちの心に広がるものを狭めて、制限していくような気がしてなりません。こちらの思いや、その後何に繋がったか、そういったこと以上に子どもたちの心にある好奇心に触れることの尊さを、保育者はもっともっと純粋に追求していいような気がします。

  3. 科学の大切なものをとして〝不思議さを感じること、それに驚くこと、続きをしたいと思う気持ち、それが大切である〟とありました。こちらからの何かしらの意図やこうして欲しいと思う気持ち、結果についてのことを教えたいと思うことなどのこちら側の気持ちは子どもからすると余計なものとなってしまうように感じます。
    そして、保育者の子どもへの言葉かけは「明日また続きをしましょう」とあり、明日保育園にくるのが楽しみになる、そんな専門性溢れる言葉かけだと思いました。
    子どもたちはそんな風に言われ、どんなことをしたのでしょう。調べたり、帰ってお母さんに聞いたり…いろんなことを想像してしまいます。

  4. 壁に幾何学模様が貼ってある、吸音材は、とてもおしゃれですね。トイレや飲み物の選択、遊びに対する環境が当たり前のように子どもが自ら行動できるようになっているところが、とても参考になります。また、”「参画は自己肯定感を高めます。」”という参画に対する言葉、イメージは、もっと参画を意識した取り組みから見えてくる子どもが姿から感じていきたいと思うところです。科学への興味を引くような展開は、私自身が行う際にも、何かを教えたいのではなく、何かを感じて欲しい、不思議さを感じることが必要なものだと考えているところもあり、参考になります。

  5. 本当にドイツは参考になるところばかりです。いたるところに子どもたちが自らで選択して決めていける環境が用意されているのもそうですし、ランチルームには、壁に幾何学模様が貼ってあり、それは吸音材というのも一石二鳥で参考になります。また、科学実験においてそれぞれに変わった色に驚いたところで、先生は、「では、この続きは明日しましょう」と言って、色の変わった理由も、入れた液体の正体も、何も説明せず、驚いたことで終了しましたとありました。興味をその回で完結させるのではなくて、興味を継続、連鎖させていく取り組みや声かけは、子どもたちの好奇心を刺激することで、好奇心が豊かになっていくのだろうなと想像できます。

  6. ドイツの科学実験の実践はいつ聞いても勉強になります。不思議さ、驚く事、そして次もまたやってみたい!という気持ちを大切にし、結果よりもプロセスを重要視していることに、もっと自分たちの取り組みの振り返りをさせてくれます。そして、子ども用の道具を用意するのでなく、大人が使うもの、本物を用意し、使用するか否かは自分で決める。飲み物を二種類用意するのもそうですが、保育者がちょっとした意識をするだけで、子ども達が自分で決める事ができる環境をこんなにも用意する事ができますね。

  7. 科学実験の内容を読むと、参考になります。リトマス紙の実験で、酸性やアルカリ性のことには触れず、なんで色が変わるのかの説明もせず、子どもたちが不思議に感じること、続きをやりたいと思えることが大切なのですね。科学と聞くと、難しか考えてしまいがちかもしれませんが、その不思議に感じること、続きをやりたいと思えることを基盤とすることで、様々な取り組みに繋げていけそうな気がしました。大人の声かけにしても、「不思議だね」と子どもたちと一緒に気持ちを共有したり、私たち自身が不思議に思うことを題材としてもいいのかもしれません。「科学」について参考になりました。

  8. 「不思議さを感じること、それに驚くこと、続きをしたいと思う気持ち、それが大切であること」が科学なのですね。一緒に科学遊びをしていてるとなにか最後までの結論といいますか、一つ一つを説明したくなりますが、それを明かさずに終わるというやり方は確かに子どもたちが続きをやりたいという継続的な関わりが生まれますね。やはり、このドイツ報告はワクワクさせてくれます。

  9. デイリープログラムのデザイン、とてもきれいですね。私もこの園を視察したのですが、このようなものがあったことを今知りました。そのような意味でも、やはり参加者の皆さんが撮影した写真を共有するという夜の研修の意味を改めて感じました。この園での科学の実験の様子を見れて、本当によかったです。「不思議さを感じること、それに驚くこと、続きをしたいと思う気持ち、それが大切であることを私たちに見せてくれたのでした」と藤森先生の言葉にもあるように、幼児期における科学の取り組みのヒントになる実践を見せていただき、とても貴重な時間になりました。先生の関わり方もとても参考になりました。しっかりと子どもたちに実験の手順は教えるのですが、なぜ、そうなったのかということを究明しようとするのではなく、子どもたちが感じること、感情をとても大切にされていたように思いました。

  10. 保育をしていく中で選択の重要性はこれまでも感じていました。選択をするだけでも子どもたちは納得をし、自分からしていこうとしてくれます。「参画」ということがドイツで行われているのは「参画は自己肯定感を高めます」とあるような意図もあるのですね。日本は「参画」と逆の方向に進んでいるように思います。特に最近の社会問題を見ていても「日本人はマイナス思考な上に、最近は他律的なルール作りをされることが多いな」と感じることがあります。禁止事項やペナルティが増えていって、根本的に「こうならないため」の対策が議論されていないように思います。性善説から性悪説に代わろうとしているような社会に思えて仕方がありません。今の社会こそ自己肯定感が高まるような教育というものが求められているように思います。

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